後半になるとこの苦しい展開が一転し、開始15分で2点を追加した日本代表。試合展開に余裕が出てくると、ブランはスタメンから外した海外組のアレックと桐生を起用し、2人も得点とアシストという形ですぐに結果を出してみせたが、一方で、10番を背負う花森には最後まで声が掛からなかった。
クウェート戦翌日、試合で出番のなかった選手と少なかった選手はゲーム形式で練習を行うことに。花森はいつもにも増してどんよりとやる気なさげだったが、チームメートになった椿から出される鋭いパスに少しは調子を取り戻したようで、彼本来のキレキレのプレーを見せ付ける。
アジアカップグループリーグの2戦目で日本代表に立ちはだかる相手は初戦で中国に敗れたヨルダン。後がない相手であるが故に引き分け狙いでガチガチに守りを固めてくることも予想されるが、ブランが選手達に課したミッションはあくまでも得点差を付けての大勝だった。
前半10分。スタメンに復帰した花森がゴール前の巧みなボールテクニックでディフェンスをかわし、放ったシュートこそ相手ヘディングに弾かれるものの、そのボールがオウンゴールを誘発し、結果として先制点に繋がる働きを見せて、代表における自らの存在感をしっかりと示した。
ただ、好事魔多しということなのか、先制点の入るタイミングが早過ぎたため、ヨルダン側が受けたダメージは思いのほか小さく、逆に日本側はそれほど勢い付けずに前半残り時間が経過し、結局前半は1対0のままで終了することになった。
☆巻頭のオマケは現在作中で描かれているアジアカップに選出されたサッカー日本代表23名の名簿。前巻に付いていたアジアカップの組み合わせ表に引き続き、読者にとってはなかなかありがたい情報が(全面的に)明らかにされました。
☆巻末のオマケはブランジャパンのアジアカップ必勝を期した青いダルマ。単行本が読者の手元に渡った時点では目が片方だけしか入っていないなど作りもなかなか凝っています。
☆前巻までを見ていた限りだと、ブランはなかなかやり手のダンディーなオッサンという印象だったのですが、この巻を見ていると、やっていることの意図は分かるにしても、性格が悪いというイメージを完全に上書きできるほどのものではないかな、という感じですね。
☆上の話と関連して。このジャイキリという作品の中なのでブランが何をやろうが上手くいく訳ですが、でも実は、前巻の感想にも書いたように、ブランってハリルと割と近いところがあって、それこそ代表のエースが花森じゃなくて本田だったら確実に反旗を翻されていたんじゃないかなぁ…。
☆本作のクウェート戦、ヨルダン戦もそうですし、現実の日本代表も割とそうですが、アジアの中では圧倒的に強くあることを理想に掲げつつも、実はそこまで図抜けている訳でもない、というのが現実だったりもします。
☆本巻では椿の見せ場は練習試合で花森に鋭いパスを出すシーンくらいでしたが、その花森が持田のいない周囲に対する欲求不満から不調に陥っている描写もあるので、案外、椿の試合での出番はすぐに訪れるのかもしれません。
☆先制する時間が早過ぎた云々は現実のサッカー日本代表もW杯でやらかしてましたね…とはいえ、日本代表にとってあれ以上の試合展開は有り得なかった、というのもそれはそれで事実な訳ですが…。
以上、ジャイキリ48巻について相変わらずまとまりのない感じでごちゃごちゃと書いてみました。