『でも……素直には信じられないな。………どうしても疑ってしまうよ。君は今【ナツ】だしね。
仕事なら誰に対してもこんな風に相手を魅了してしまうんじゃないだろうかって……不安になってしまうよ?』
室温が下がった気がした--
キョーコが見つめる蓮は、先程までの色気をたたえたまま
不安などと言う生易しい感情以上に激しい
魔王のように怪しい眼光を放ち始めていた--
それを見たキョーコは、熱を帯びた身体に寒気が走り、ゾクリとする。
喉がカラカラに渇く。
だけどその妖しい瞳には搦め捕られたまま、ただ見つめ返すしか出来ない。
『どうして君は、そんな風に魅惑的に乱れるまで酔ったりしたんだ?
どうしてそんな艶めかしい仕種で俺に触れるの?……どうしてそんな瞳で俺を見るの?………本当の事、教えてくれないか……?』
憂いの瞳がキョーコを縫い止める
『そんなの……簡単な事、だわ…。だって貴方はそれがお望みなのでしょう?
【どうにか】しようとしても、決して逃げ出したりしない……
今の貴方のように、馴れた手つきで迫っても、泣き出したり逃げ出したりなんてしないような…。
だから…
私に誘われて……?
私も……敦賀さん……貴方だけに誘われたい…の…』
鋭く妖しい眼光に晒され、熱に浮かされたようにキョーコは言った。
『……それは俺に、【どうにかされたい】って事?』
『は…い…』
魅入られたキョーコの唇は、うっかり思わず答えを漏らしてしまった--その重要性に気付かぬままに。
それを聞いた蓮は、再び凄まじい艶やかさで笑いながら--
『……言ったね?キャンセルは出来ないよ…?
今すぐ
君がどうにかなるまで………
--シテ アゲル--』
一体ナニヲデスカーーー//////!!!
キョーコとスタジオの全員のツッコミがシンクロする!!
蓮は抱えた腰を支点にキョーコの身体全体を持ち上げ、クルリと回転させると鮮やかな手並みでソファーに沈み込ませる。
『大好きだよ……俺のキョーコ……』
と 言いながら当然のように覆いかぶさると
--!!!!!!!!!--
驚愕が限界を超え固まっていたキョーコが遂に
『つつつつつ敦賀さん!!本気でおっしゃってるんですかーー!?』
と叫ぶと
『うん』
と手短に答えると行為を続行しようとする。
『いえいえあのあの!!正気ですか!?もしかして敦賀さんも酔っていらっしゃるとか………?』
『うん。そうだね。君の魅力に、すっかり酔ってしまったよ……』
うっとりと笑う
ひいいぃぃ!?
やっぱり正気じゃない!?おかしな事言ってるし!!
『……おかしな事言ってるって思ったろ』
何故!?キョーコが驚くと蓮はクスリと笑い
『思い切り顔に出てるよ。……おかしくなんてないさ』
『だってだって!!敦賀さん様子がおかしいですよ!!普通じゃないですよ!?いくら【ナツ様】が魅力的だからって…『ナツだけの魅力じゃない。
君自身がこんなにも罪なくらい綺麗で魅力的だからなんだよ?
最上さん。……思わずこうしたくなるくらい……』
言葉を遮った蓮の顔が近づいて来るとパニックが頂点に達したキョーコは
『敦賀さん落ち着いて!!誰かが見ていたらどうするんですか~~~!!!』
と自分の立場を忘れ叫んでいた。
『誰が見ていたって構わないよ。だって本当の事だからね。もう君を逃がしたく無いんだ』
だって、だって!私はどうしたら良いの?
こんなのいつまで続ければ良いのよ!?
『最上さん、いや、キョーコ……』
熱っぽく名前を直に囁かれ、髪を撫でられるとキョーコは我慢の限界を超えた。
『違うんです~!本当に見ているんですぅぅ~!!これドッキリなんですゴメンなさいーー!!』
と涙を眼にいっぱいに溜めてキョーコが謝罪すると、
予想に反して蓮は、心底済まなそうな気遣うような表情でキョーコを見つめると、
『うん。本当にゴメンね。………これは、本当は君に仕掛けられた【逆ドッキリ企画】なんだよ……』
続く