目の前には導師イオンと赤髪の青年と栗色の髪をしたどこか見たことのある少女。
そして、ライガクイーン。
「ライガは好きなので、余り相手したくないんだけど……仕方がないな」
高所の茂みから飛び降りた。
.*.*.*.*.*世間の狭間で逢いましょう*.*.*.*.*.
「助けましょうか?導師イオン」
「っ!!大尉!」
導師イオンが待ってましたと言わんばかりに嬉しそうな顔をしてくれる。可愛いなぁ。
しかし、クイーンは新たに現れたボクによって警戒心が余計に強まった。話し合いで解決しそうな雰囲気ではない。
不意に、クイーンが攻撃を仕掛けてきた。
「危ないっ!」
ゴキャァ…!
腕が砕ける音がした。皮膚が裂け、そこから血が噴き出る。不思議と痛みはなかった。
「クラウフト大尉!」
「大丈夫ですか、皆さん」
とめどなく腕から流れる血。視界がぐらりと揺れる。皆を心配している場合ではないようだ。
「やれやれ……見ていられないですね。助けてさしあげましょう」
「えー、大佐。やるんですか?」
どこからか声が聞こえた。聞き覚えのある、耳馴染みの声。少女の声も聞こえたが、こちらは知らないな。
華麗に降り立つ二人。ひとりはボクの上司だった。
「大丈夫ですか?先生」
「んー……ちょっとやばいかも」
「早く帰って手当いたしましょう。すぐ終わらせます。待っていてください」
「ん。なるべく早めに……おね、がい……」
「先生!」
ぐらりと天と地が逆転する。視界がゆっくりと暗くなり、暗転した。ボクはそこで意識を失ったのだった。
* * *
「ん……」
「おや。気がつきましたか?」
「はよ……」
「おはようございます。先生」
ふらりと目を覚ましたのは、よく知る戦艦の中……タルタロスのベッドの上だ。上司……ジェイドはボクの寝ているベッドに腰掛けいつも通りに笑っている。
「では、話を戻しましょう……あなたのフルネームは?」
何か話している最中だったのか。邪魔したな。もう少し眠っていれば良かっただろうか。
腕の方は治癒術を施してくれたのか、幾分マシになっている。まぁ、まだ動かせはしないが……
「ルーク・フォン・ファブレ。お前らが誘拐に失敗したルーク様だよ」
赤髪の少年は拗ねたように、吐き捨てるように言った。“ファブレ”という名……対立国のおぼっちゃまというわけか。余り動かないからだの代わりに首だけを動かした。どうやら縛られていないらしく、図々しくソファーに座っている。
「公爵!? 素敵♡」
一際甲高い少女の声が聞こえた。そういえば先程もジェイドと一緒にいたきがする。誰だろうか。気になるものの、不意に睡魔が襲ってきてまた眠りについてしまった。
しかし、物の十分もしない間に、警告音で目が覚めた。
「何……」
『総員、直ちに第一戦闘配備につけ! 総員、直ちに第一戦闘配備につけっ!!』
警報が鳴り響く。流石に働かねばと体を起こした。
「先生。貴方はここで安静にしていてください」
「大丈夫。治癒術のおかげでマシになってるし、敵を排除するのが最優先だろ?」
「……。無茶をしないでくださいよ」
「あぁ。わかってるよ」
敵はグリフォンだのなんだの。兎に角魔物らしいが、ここで戦艦を落とされては面倒だ。それに今はファブレ公爵の坊ちゃんが乗っている。今殺してしまっては国の対立が強力になるのは目に見えていた。助けなければならない。導師イオンも乗っている。守らなければならないものが2つもある。
ゆっくりとだが、部屋を出た。しかし
「戦後のたび、骸を漁るお前の姿……世界にあまねく轟いている様だな……死霊遣い(ネクロマンサー)。そして、久しぶりだな。軍曹」
「……おや、黒獅子のラルゴじゃないか」
「大怪我だな」
「可愛い可愛いライガクイーンにやられちゃって」
緊迫した空気とは真逆の世間話。ボクとラルゴはジェイドとはまた違う幼馴染というやつだ。
クスクス笑っていると、後ろからジェイドの静かな殺気が感じられた。
「――……アナタほどではありませんよ。神託の盾騎士団 六神将、黒獅子ラルゴ。
アナタ一人で、私と先生を倒せるとでも?」
「こいつを使えば……―ジェイド、お前だけでもあるいはな……」
ジェイドの言葉にラルゴはにやりとし、懐から謎のキューブを取り出した。見覚えがない。見覚えがないが、まずいものであることは変わりはない。
「封印術(アンチフォンスロット)!?」
栗毛の少女がそう叫んだ。……そうか、あれが噂に聞く封印術……これは、まずい。
譜術を使うものにとっては非常に厄介なアイテム。譜術を封じる箱。
「っ!」
反応するには気づくのが遅く、ジェイドの譜術は封じられてしまった。負傷しているボクがラルゴを相手にするのは少し難しい。銃は片手分しか持てない。体術も片手を庇いながらだと十分に動くことはできないだろう。
「軍曹。諦めてこちらに来い」
「それはできない。ボクは貴方よりジェイドの方が大切だ」
「先生っ……」
「……そうか。残念だ……ならせめて、楽しませてくれよ」
「貴方こそ」
狭い通路で彼の大鎌は使えない。少し不利ではあるが、確実に同じラインに立てているはず。
ゆっくりと、戦う体勢に入った。目の色が変わる。
ゆっくりと、ゆっくりと、息を吐いた。
「落胆させるなよ。ラルゴ」
あぁ、腕が痛い。
Next.→act.1
そして、ライガクイーン。
「ライガは好きなので、余り相手したくないんだけど……仕方がないな」
高所の茂みから飛び降りた。
.*.*.*.*.*世間の狭間で逢いましょう*.*.*.*.*.
「助けましょうか?導師イオン」
「っ!!大尉!」
導師イオンが待ってましたと言わんばかりに嬉しそうな顔をしてくれる。可愛いなぁ。
しかし、クイーンは新たに現れたボクによって警戒心が余計に強まった。話し合いで解決しそうな雰囲気ではない。
不意に、クイーンが攻撃を仕掛けてきた。
「危ないっ!」
ゴキャァ…!
腕が砕ける音がした。皮膚が裂け、そこから血が噴き出る。不思議と痛みはなかった。
「クラウフト大尉!」
「大丈夫ですか、皆さん」
とめどなく腕から流れる血。視界がぐらりと揺れる。皆を心配している場合ではないようだ。
「やれやれ……見ていられないですね。助けてさしあげましょう」
「えー、大佐。やるんですか?」
どこからか声が聞こえた。聞き覚えのある、耳馴染みの声。少女の声も聞こえたが、こちらは知らないな。
華麗に降り立つ二人。ひとりはボクの上司だった。
「大丈夫ですか?先生」
「んー……ちょっとやばいかも」
「早く帰って手当いたしましょう。すぐ終わらせます。待っていてください」
「ん。なるべく早めに……おね、がい……」
「先生!」
ぐらりと天と地が逆転する。視界がゆっくりと暗くなり、暗転した。ボクはそこで意識を失ったのだった。
* * *
「ん……」
「おや。気がつきましたか?」
「はよ……」
「おはようございます。先生」
ふらりと目を覚ましたのは、よく知る戦艦の中……タルタロスのベッドの上だ。上司……ジェイドはボクの寝ているベッドに腰掛けいつも通りに笑っている。
「では、話を戻しましょう……あなたのフルネームは?」
何か話している最中だったのか。邪魔したな。もう少し眠っていれば良かっただろうか。
腕の方は治癒術を施してくれたのか、幾分マシになっている。まぁ、まだ動かせはしないが……
「ルーク・フォン・ファブレ。お前らが誘拐に失敗したルーク様だよ」
赤髪の少年は拗ねたように、吐き捨てるように言った。“ファブレ”という名……対立国のおぼっちゃまというわけか。余り動かないからだの代わりに首だけを動かした。どうやら縛られていないらしく、図々しくソファーに座っている。
「公爵!? 素敵♡」
一際甲高い少女の声が聞こえた。そういえば先程もジェイドと一緒にいたきがする。誰だろうか。気になるものの、不意に睡魔が襲ってきてまた眠りについてしまった。
しかし、物の十分もしない間に、警告音で目が覚めた。
「何……」
『総員、直ちに第一戦闘配備につけ! 総員、直ちに第一戦闘配備につけっ!!』
警報が鳴り響く。流石に働かねばと体を起こした。
「先生。貴方はここで安静にしていてください」
「大丈夫。治癒術のおかげでマシになってるし、敵を排除するのが最優先だろ?」
「……。無茶をしないでくださいよ」
「あぁ。わかってるよ」
敵はグリフォンだのなんだの。兎に角魔物らしいが、ここで戦艦を落とされては面倒だ。それに今はファブレ公爵の坊ちゃんが乗っている。今殺してしまっては国の対立が強力になるのは目に見えていた。助けなければならない。導師イオンも乗っている。守らなければならないものが2つもある。
ゆっくりとだが、部屋を出た。しかし
「戦後のたび、骸を漁るお前の姿……世界にあまねく轟いている様だな……死霊遣い(ネクロマンサー)。そして、久しぶりだな。軍曹」
「……おや、黒獅子のラルゴじゃないか」
「大怪我だな」
「可愛い可愛いライガクイーンにやられちゃって」
緊迫した空気とは真逆の世間話。ボクとラルゴはジェイドとはまた違う幼馴染というやつだ。
クスクス笑っていると、後ろからジェイドの静かな殺気が感じられた。
「――……アナタほどではありませんよ。神託の盾騎士団 六神将、黒獅子ラルゴ。
アナタ一人で、私と先生を倒せるとでも?」
「こいつを使えば……―ジェイド、お前だけでもあるいはな……」
ジェイドの言葉にラルゴはにやりとし、懐から謎のキューブを取り出した。見覚えがない。見覚えがないが、まずいものであることは変わりはない。
「封印術(アンチフォンスロット)!?」
栗毛の少女がそう叫んだ。……そうか、あれが噂に聞く封印術……これは、まずい。
譜術を使うものにとっては非常に厄介なアイテム。譜術を封じる箱。
「っ!」
反応するには気づくのが遅く、ジェイドの譜術は封じられてしまった。負傷しているボクがラルゴを相手にするのは少し難しい。銃は片手分しか持てない。体術も片手を庇いながらだと十分に動くことはできないだろう。
「軍曹。諦めてこちらに来い」
「それはできない。ボクは貴方よりジェイドの方が大切だ」
「先生っ……」
「……そうか。残念だ……ならせめて、楽しませてくれよ」
「貴方こそ」
狭い通路で彼の大鎌は使えない。少し不利ではあるが、確実に同じラインに立てているはず。
ゆっくりと、戦う体勢に入った。目の色が変わる。
ゆっくりと、ゆっくりと、息を吐いた。
「落胆させるなよ。ラルゴ」
あぁ、腕が痛い。
Next.→act.1