今日は久しぶりにジョーゼフ・キャンベル/ビル・モイヤーズ「神話の力」(早川書房)を読む。

面白い。神話が我々と無縁の、遠い昔のおとぎ話ではなく、我々のDNAに埋め込まれた

人類の英知の結晶である、ということだ。

キャンベルは、モイヤーズという恰好の相手を得て、縦横に思いや思考していることについて

語っているが、実に面白い。

彼が神話学においてやろうとしていることは、



それは「世界の神話に共通していた要素を発見し、人間心理の奥底には絶えず中心に近づきたい、つ

まり、深い原理に近づきたいという欲求があることを指摘している」と言っていた。


たとえば、原始時代の狩猟民族について、他の命を食べることによって生きなければならない存在

である自分たちのことの意味は、「生命体の本質は、それが他のものを殺して食べることにある。そ

れこそ神話が扱うべき偉大な神秘だ」ということを学んだ、と言っている。狩猟者と肉体を去る動物

のあいだには「償いと和解の儀式」が行われ、すばらしき「魔術的な和合」が生じていたと推察して

いる。

古代が現代より劣っていると、思っているのは、現代人のおごりではないか。見えない世界に対

する敬う心を忘れて、科学と金が絶対の世界を構築して、滅びに向かって坂を転げ落ちているこ

とにも気づかずに、享楽の世界で踊り続けている。ごく一部の人間の欲望が、地球を食いつくそ

うとしている時、改めて神話の意味を知ることは、中心に近づくことになるのではないか、そん

なことを思う、秋の初めでした。