私は基本的に高い買い物は全て値切るべきと考えている人間である。大型家電製品を買うときはわざわざ「日本一家電が安く買える街 池袋」まで出向き、某家電量販店を何度も往復して、安値の限界に挑戦させる程のドケチ人間である。



当たり前だが注文住宅は大型家電製品とは比較にならないレベルの大きな買い物である。人生最大と言ってもいいだろう。原価のスケールが大きければ大きいほど、値切りのメリットは高くなる。ドケチ人間の血が騒いでしまった。



周到な準備を経て、人生を懸けた値切りを敢行した結果…旭化成ホームズの営業マンから契約後「この値引率は絶対に他に口外しないでください」と言われてしまった。なので、ブログで「○○%値引きしてもらえました」と発表できないのが大変心苦しいが、こんなしょーもないブログを読んでいただいている読者の皆様に、何かしらの貢献ができないかと考え、私が行った値切り術を書いていくことにした。読者の方は口外厳禁、ここだけの秘密にしておいてもいたい。(大袈裟)



【注文住宅値切り術】

 ①相場感を知る

値切る前に大事なこと、それは複数のメーカーに打診したり、ネットの情報等からある程度の相場感を知ることである。例えば、値切るにしても法外な金額を要求してしまうと、「あ、この人はウチの会社で買うのは無理だな…」と思われて、相手にされずに商談が終了してしまう。あくまで、会社の対応可能なギリギリラインを攻める必要がある。

まず、プラン提案の前に予算感は〇〇円と営業マンに伝えるのは大事だ。そしてある程度プラン要望が固まってくると、「この家だと予算感は概算〇〇円くらいです」と伝えてもらえる。この概算〇〇円を具体的に聞くことがとても重要で、キッチンはどんな仕様か、風呂は、洗面所は…みたいな細かいところまで指定した上で、ザックリの金額を把握しよう。もちろんあくまで概算金額なので、各社とも本気の金額ではないが、大事なのは同じ条件で大体いくらくらいかを知ること。

無論、メーカーによっては値引対応をしてないメーカーも存在する(○条工務店とか)。値切りは情報戦なので、自分の本命メーカーが値引き対応をしてくれるメーカーなのかどうかは調べておく必要がある。(大手ハウスメーカーならほぼ値引きはしてくれる)



 ②ライバルメーカーと迷っていると伝える

競合相手がいないと、ハウスメーカー側も強気に出てくる。「各社の話を聞くのは大変ですよ」とか、「検討メーカーの中でウチが上位にいるなら毎週ウチと会ってください」とか色々な方法で、競合を蹴落とそうとする。

もし本命メーカーがいたとしても、それを本命メーカーの営業マンに伝えてはいけない。毎度の商談の中で、必ず他社状況を聞かれるが「各社どれも優れていて、なかなか結論が出ない。ただ御社が半歩くらいリードしています」みたいな話を全社にして、煙にまこう。価格交渉までは、大事な金額比較対象なので、候補メーカーを落としてはいけない。

あと大事なのは、同じ価格帯のメーカーと迷っていると伝えるのが大事である。例えば、「(高価格でお馴染みの)積水ハウスと、タ○ホームで迷っています」なんて言ってしまうと、積水ハウスからは「タ○ホームさんとは造りが違うので、ウチが高くて当たり前です。」と言われて、本気で値引きしてもらえない。鉄骨は鉄骨と、木造は木造となどなど条件を揃えないと、「ウチは〇〇さんとは違いますから」と言われて終了してしまう。先程、家電量販店を何往復すると言ったが、それは「同じ物を売っている」という条件が前提としてあるからである。家は各社の「違うモノ同士の比較」になるので、条件を極限まで同じにしなければ金額の比較対象にならない。



 ③この日までに契約を決めたいと伝える

迷っていると伝えつつも、契約の意志決定の目安は伝えておこう。営業マンからしていちばん困るのは「迷ってる」と言いつつ、交渉に長い年月をかけられることである(こいつ、買う気あるのか?と思われる)。物価やエネルギーが高騰している昨今は、数ヶ月先の価格が見通せない状況。そのため、「○月末には決定する/したい」と言って、近い日付で意志決定するように区切っておかないと、営業マンから「じゃあ契約の意志が固まったらまた来てください」と言われて、契約を取りにいく意識が希薄になる



 ​④値切るのは契約決定前の1回のみ

面会の度に口癖のように「安くしろ」と言い続けるのはかえって逆効果である。営業マンからすると、「鬱陶しい面倒な客」と認識される。そういう客に営業マンは頑張らない。プラン提案後、最初に出される見積から、契約意志決定を迫る場面では必ず価格を下げてくる。原価にもよるが、普通に100万円以上下げてお得感を演出する。しかしながらメーカー側からしたら、「ここまでは想定内」と考えている価格である(その価格を最初から出せと言いたいが)。「こんなに下げてくれるのか!」と、驚いてはいけない。値切りを始めるのはここからだ。



 ⑤魔法の言葉「この金額にしてくれたら御社に決めます」

これから家を買おうとする人間がハウスメーカーに対して絶対的に強い立場でいられるのは、契約前だけである。契約後は手付金を担保に取られ、細かいオプションで掛かった分は全て増額。これを値切ることは難しい。

大事なのは「他社は〇〇円なので、この金額にしてくれたら御社に決めます」とはっきり言うことである。これは1回しか使えないので、提示額は絶対に後悔しない金額を言うべきだ。その金額で、営業マンが独断で「分かりました」と言ったら、もう少し値切れたサイン。「支店長or上職者と相談してきます」と一旦席を離れたらいいライン。「無理です」と言われたらやりすぎのサインだ。ちなみに、その値引き対応が難しかったとしても、必ず代案を出してくれる。「値引きは難しいが、当社のインテリアフェアで家具〇〇万円分無償にします」とか、あの手この手で契約を迫ってくれる。営業マンもいちばん大事な交渉なので必死だ。家電量販店がよくやる「値引きはもうできないけど、ポイントつけます」というやつだ。そこの交渉は家具の手配予定等を加味し、納得できる線を交渉すればよい。もちろん数字のトリックを使われないよう、計算は自分でも行う。



 まとめ

値切りというのは日本古来からのよき文化である。もちろん「値切るなんてみっともない」という考え方があるのも承知している。家を買う人は大体が富裕層であり、値切りには無頓着な人も多いだろう。私はハウスメーカーではないけど営業の仕事をしていたので、はっきり分かるのは、メーカーは利益をうんと乗せた金額を「これが限界です」とか言いながら提示する、ということである。値引き対応可能な金額を提示しているのだから、ある程度の根拠を持って「安くして」と言えば当然対応してくれる。もちろんネット情報を集めたり、他社の話を聞いて集めたりと苦労は多いが、その分対価として自分に返ってくる。原価スケールが大きいので、簡単に「10万円引きます」とか言ってくれる世界である。家電値引きの世界じゃありえない額だ。10万稼ぐのにどれくらいの労力がかかるだろうか。私は後悔のない家づくりには、後悔のない値切り術が必要不可欠と考えるので、皆さまも面倒でなければ、ぜひ試していただきたい。

ハウスメーカー側からすれば、多少値引きしても契約を取れたら勝ち組、取れなかったら負け組の世界なので、各社が出す本気を楽しむくらいの感覚が良いかもしれない。



最後に私の値引き交渉が終わった後、値引きについての見解を旭化成ホームズの営業マンが語っていたので要約。


「実際値引きができるorできないは運の要素が強いと思います。支店の数字が足りない月であれば、ある程度の値引きをして、契約を決めたいケースもあるし、数字が足りてれば「できない」と断るケースが多いです。そこは支店判断になるので、要求額が絶妙だったのもありますが、何はともあれ運がよかったですよ!」


どこまでが事実かは分からないが、我々は閑散期を狙って検討していたというのは事実としてはある。どちらにしても運がよかったのだろう。ありがとう、旭化成ホームズ!笑