◇監督・脚本:五十嵐匠、製作:2022年  映画「島守の塔」製作委員会(下野新聞社、神戸新聞社、琉球新報社、沖縄タイムス社、毎日新聞社、サンテレビジョン、とちぎテレビ、クイック、井上総合印刷、ウィーンの森、ストームピクチャーズ、トロッコフィルム)


◇出演:萩原聖人、村上淳、吉岡里帆、池間夏海、香川京子、榎木孝明、成田浬、水橋研二

◇STORY:
敗色濃い昭和20年(1945年)1月、内務官僚の島田叡(萩原聖人)は沖縄県知事への打診を受けるが、自分が受けなければ他の誰かが死地へ赴かなければならない、としてこれを受諾した。
一方、軍司令官の牛島中将(榎木孝明)は八山参謀(水橋研二)の硫黄島に習ったゲリラ戦法実施の進言を受け入れる。これは結果的に多くの県民を戦闘の巻き添えとすることとなった。
激戦のさなか島田は県民の避難に尽力するが、自らもガマ(天然の防空壕)の中で死地に追い込まれていく。
島田は、戦塵訓の「生きて虜囚の辱を受けず」に従い、自決するという職員の比嘉凛(吉岡里帆)に「生きろ!」と命じ、凛はガマを去っていく。
 ~そして現代~
年老いた凛(香川京子)は沖縄県知事島田叡終焉の地と刻印された「島守の塔」に静か花を手向ける。「知事、私は生きましたよ」

◇感想:
戦場となる沖縄に赴いた知事がいたことは知っていましたが、詳細は知りませんでした。
こんな立派な官僚がいて、おそらくはその薫陶を受けた部下の官僚たちが、戦後の日本の復興を成し遂げたのだろうと思いましたね。
映画の中での何度も出てくる戦塵訓の一節、「生きて虜囚の辱を受けず、死して罪過の汚名を残すことなかれ」この文言のせいでどれだけの人間が死んだのだろうと思う。
この戦塵訓は陸軍大臣東条英機の名で公布されている。
もちろん東条はたまたまその任にあっただけであろうが、本人が虜囚となったのは醜悪な印象を否めない。
私見だが、東条英機という秀才にして凡人が大東亜戦争時にその任になければ、歴史はどうなっていただろうと思う。永田鉄山が惨殺されず、石原莞爾が重用されていれば。。。