景気回復期間が、いざなぎ景気超えとの報道(*1)がありました。
「あれれ〜おかしいなぁ〜」と心の中の名探偵コナン君
民主党政権が終わった“平成24年の12月から始まった今の景気回復”、といいますが、平成26年4月に消費増税されて、景気は大きく落ち込んだので、”景気回復が続いている“ とはとても思えなかったからです。
そこで、前回のブログ記事(*2)で、景気動向指数を2008年まで遡って、悪化していた時期がないかを確認しました。
2014年だけでも、6月と8月の2度、景気動向指数による基調判断で「悪化」に該当していると思われました。
そこで、内閣府に問い合わせてみました。
次の通りです。
-------- ここから
景気動向指数の基調判断について
ご担当者様、毎月景気動向指数の公表を楽しみにしております。いつも、ありがとうございます。
質問が二点ございます。
以下の資料(**1)によれば、基調判断を「悪化」と判断する基準は
【定義】景気後退の可能性が高いことを示す。
【基準】
・原則として3か月以上連続して、3か月後方移動平均が下落
・当月の前月差の符号がマイナス
と、ございます。
これに該当する年月を「原則として」を考慮せずに抽出したところ、2014年は6、8月、2015年は5月、2016年は2月、2018年は9月が基準に該当していると受け取れました(*2)。
●質問1
上述の景気悪化の基準を機械的に適用した場合、該当する年月(2007年以降)をご教示下さい。
●質問2
上述の景気悪化と受け取れた(*2)の年月のうち2014年の2月分の景気基調判断は「足踏み」となっておりました。
「足踏み」と判断された基準をご教示下さい。
お忙しいところお手数をおかけして恐縮ですが、ご回答のほど、よろしくお願いいたします。
(**1)景気動向指数 2018年10月分(速報)の概要
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/201810psummary.pdf
-------- ここまで
内閣府からの回答は次の通りです。
(名前の部分を◯◯に置き換えてます)
===== ここから
<回答>ご質問の件につきまして(内閣府景気統計部)
◯◯様
景気動向指数をご利用いただきありがとうございます。
ご質問の件につきまして回答いたします。
「景気動向指数」では、毎月の公表時、その時点の最新データの動きを基準にあてはめて機械的に判断をお示ししております。
ご質問いただいた時点の基調判断も、同様に、当時のデータを基準にあてはめて公表されたものです。
基調判断にはCI一致指数を用いていますが、
算出に用いる採用指標の遡及改訂等があれば、CI一致指数も遡及して数値が改訂されることとなります。
ただし、CI一致指数が改訂されても、基調判断は遡及改訂しておりません。
ご指摘のように、
CI一致指数が遡及改訂されれば、過去の期間において、公表した基調判断と異なる箇所が発生することもありえますが、
上述のとおり基調判断の遡及改訂は行わず、試算としてもお示ししていないところです。
大変恐縮ですが、ご了解の程、どうぞよろしくお願いいたします。
===== ここまで
なるほど!
となると、僕が見たデータは最新の改訂結果を基にしているので、2014年6月、8月時点のデータでは、隅田川さんの日経記事(*3)に書かれていた通りなのですかね。
”今回の景気上昇過程は当初「改善を示している」だったが、14年4月からは「足踏みを示している」に変わり16年9月まで続いた。その後再び「改善」になるのだが、今年の9、10月は再度「足踏み」である“(*3)
隅田川さんによると、景気レベルの変化が分かり、バイアスのない景気判断が得られる、のが景気動向指数とのこと。
“内閣府が毎月発表する景気動向指数は、なかなか役に立つ統計である。特に有用だと感じるのは次の2点だ
[中略]
ひとつは景気のレベルの変化がわかることだ。現在進行中の景気上昇局面については、2012年11月から14年3月の間に同指数が順調に上昇した。しかしその後は一進一退となり、最新時点(18年10月)のレベル(104.5、15年=100)は14年3月の105.6より低い。日本経済のレベルは4年半以上も高まっていないことになる。
[中略]
もうひとつは、バイアスのない景気判断が得られることだ。大変興味深いことに、同指数の判断は自動化されている。“
(*3)
基調判断は、基準で自動判断されるのだそうですが、景気悪化かどうかは
“正式な景気循環(景気基準日付)については、一致CIの各採用系列から作られるヒストリカルDIに基づき、 景気動向指数研究会での議論を踏まえて、経済社会総合研究所長が設定するものである。”(*4)
と。
所長が決めるんですね。
2014年6月の基調判断(*4)は、
足踏み
図表出典:(*4)
2014年8月の基調判断(*5)は、
下方への変化局面を示している
図表出典:(*5)
経済社会総合研究所長が景気回復は続いていると判断すれば、続いていることになる、考えようによってはバイアスの入る余地があるものだったのですね。
(*1)今の景気回復「いざなぎ景気」超え 戦後2番目の長さに | NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181213/k10011745371000.html
(*2) 「景気回復期間、いざなぎ景気超えは本当ですか?」
⇒ https://ameblo.jp/shinchanchi2015/entry-12426457197.html
(*3)景気動向指数は教えてくれる: 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO39037340X11C18A2EN2000/
(*4)景気動向指数 2014(平成26年)6月速報
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/201406psummary.pdf
(*5)景気動向指数 2014(平成26年)8月速報