景気回復が続いているらしい。

報道(*1)によると

“内閣府は13日、2012年12月を起点とする景気回復の長さが17年9月時点で高度経済成長期の「いざなぎ景気」を超えたと正式に判定した”(*1)


これは

“内閣府は13日、景気の「山」や「谷」を検証する景気動向指数研究会(座長・吉川洋立正大教授)を開き、生産や消費などのデータを踏まえて判断した”(*1)

ということだそうだ。


経済学を学ぶ理由を思い出して欲しい。

「経済学を学ぶ目的は、経済問題に対する出来合いの対処法を得るためではなく、そのようなものを受け売りして経済を語る者にだまされないようにするためである」(by ジョーン・ロビンソン)


景気動向指数の基調判断(*2)には次のようにある。


【基調判断】④悪化

【定義】景気後退の可能性が高いことを示す。

【基準】・原則として3か月以上連続して、3か月後方移動平均が下落

・当月の前月差の符号がマイナス (当該行は2018/1219 7:40 筆者の転記漏れのため追記)

(*2)より転記


景気が悪化していないかを念のためチェックしてみたい。




図表:内閣府データより筆者作成


「悪化」に該当する期間を見ると、リーマンショック前後、民主党政権下…人災という残念な印象である。



第二次安倍政権以降では、直近は2018年9月が景気悪化となっている。自然災害が相次いだ天災という面もある。


だが、ちょっと待って欲しい(天声人語風)。

2014年にも「悪化」に該当する月が2回ある。天災?人災?野菜?一体何があったのでしょうか。


2014年4月に消費増税があった後、景気は大きく落ち込んだ。これを隠そうとするかのような曲学阿世ならぬ「曲学阿税」のような言説も聞かれた。


“生産や消費などのデータを踏まえて判断”した吉川氏は、財政審メンバーのトップをつとめた経験を持つ。


はいそうですか、とは言えない「景気回復が続く」という報道である。



(*1)景気回復「いざなぎ超え」 政府認定、昨年9月時点で: 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO38869150T11C18A2MM0000/https://www.nikkei.com/article/DGKKZO38869150T11C18A2MM0000/


(*2)景気動向指数 2018年10月分(速報)の概要

https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/201810psummary.pdf