注目していた金融政策決定会合の主な意見が公開されました。(*1)

気になった点を取り上げてみます。
注目すべきと感じたご意見も少ないですが、ありました(^-^)

“需給ギャップのプラス幅が、今後一本調子で拡大するとは見込みにくく、予想インフレ率も弱めの動きが続いている。現行の 政策のもとでは、インフレ率が2%に向けて徐々に上昇率を高めていく可能性は低い。“(*1, P.2)


直近の消費者物価指数はコアで+0.8、コアコアで+0.2%となっています。

日銀の基調的なインフレ率を捕捉するための指標(*2)を見ても、2%へ向けてインフレ率が拡大して行く傾向は読み取れません。(お元気ですか、モメンタム?)


図表出典(*2)



“物価動向について、展望レポートでは、マクロの需給動向と中長期の予想インフレ率で決まると整理している。一方、人々の 間では、個別価格の足し算や構造的要因による説明も根強くみられる。こうしたギャップを埋めるため、丁寧な説明が必要である。”(*1, P.2)


展望レポートの中で物価目標未達の「言い訳」とも取れる部分へのツッコミでしょうね。マクロ経済政策が不充分(財政拡張が足りない→国債増発しない→少ない国債買入額で国債利回りはゼロ近傍→金融緩和不充分)なことを誤魔化すかのようだ、というのが展望レポートを読んでの感想です。金融政策変更の事前報道とマクロ経済政策以外に物価の影響を求める辺りが、デフレ維持を続けた白川方明(しらかわまさあき)元日銀総裁時代と似ています。


“「物価安定の目標」の実現に向けた揺るぎない姿勢への信認を確保するため、政策金利のフォワードガイダンスを導入し、目標実現に対するコミットメントを強化すべきである。”(*1, P.3)


コミットメントを強化すべき、というご意見には賛成ですが、「政策金利のフォワードガイダンス」がどの程度、「強化」に貢献するのか?は疑問です。

「物価目標未達なのに利上げをしちゃうかも♡」という「おバカ」な発想に冷や水をかけるくらいの効果は期待出来そうですが、予想インフレ率を大きく上げるほどの効果はあるのでしょうか?



“新たなフォワードガイダンスの導入によって、金融緩和の枠組みを一層強化することはきわめて重要である。”(*1, P.3)


金融緩和を強化して、出来るだけ早期に物価目標を達成して、(達成期限ではなく物価上昇率2%を)オーバーシュートしたところを拝見したいものです。



“政策は結果によって判断される。物価の動向が弱い今は、コミットメントを強化すべき時である。今回の政策措置が実際に物価上昇率を高めることを期待するが、その効果についての検討は不断に行っていくべきである。”(*1,P.3)


激しく同意です!

マイナス金利、YCC導入後も物価目標未達&達成期限先送り繰り返し、のママです。

本当にコミットメントを強化できたのか?

政策効果があらわれているのか?

注意深く点検し、未達、物価見通しの下振れなどの際には、国会で説明責任を果たして欲しいものです。それを果たせないときの、最高の責任の取り方は辞任ではないでしょうか?(本当に最高なのは物価目標達成なのですが💦)



“中長期の予想インフレ率が弱い現時点で、長期金利が上昇しうることも許容する政策調整を行うと、実質金利が上昇し、物価の伸び悩みを助長しかねない。”(*1,P.4)


御意。名目金利が上昇した場合、それを上回るだけ予想インフレ率が上がっていないと、実質金利は上昇してしまいます。コミットメントの強化が予想インフレ率上昇につながらないと危険ですね。



“今回の「枠組み強化」により、「物価安定の目標」の実現のためのコミットメントが一層強化されると考える。”(*1,P.4)


現在の枠組みが延命されただけで、のらりくらりと物価目標達成期限を先送りしても、現体制の「持続性」はマシたのかもしれませんね。

一層強化される、とのお考えが正しいか、強化されていないと考える日銀審査員の考えが正しいかは、今後、要チェックやで!



“量的・質的金融緩和政策を実施していなければ、金融機関の貸出の増加も信用コストの低下もなく、債券や株式の売却益も小さくなった可能性がある。金利を上げても、為替も株価も債券 価格も動かず、企業の借入れ意欲も低下せず、ただ運用金利だ けが上昇すると期待する声もあるが、経済全体をみればそのようなことはありえない。”(*1,P.4)


御意。
市場関係者(私情関係者?)の目は曇っているのでしょうか?


“金融システムや市場機能に関する評価を行うにあたっては、個 別の指標を取り上げるのではなく、「物価安定の目標」といかに 整合的に評価するかという観点から、議論を深めていく必要がある。”(*1, P.4)


御意。天下り先から「商売あがったり」と言われる「副作用」にばかり目が行く日銀審議委員がいるとすれば、日銀審査員の僕と交代した方が良いと思います。


国債利回りを上げたいのであれば、国債の需要サイドである日銀に文句を言うのではなく、供給サイドの政府・財務省に国債増発を訴えてはいかがでしょうか?


弱いものへは強く言い、強いものには

「ですよね〜、ですよね〜、でぇすぅよぉねぇ〜」

とやっているようでは、残念な「げんろんじん」と言われかねませんよ(^-^)




(*1)『金融政策決定会合における主な意見(2018年7月30、31日開催分)』
(2018.08.08, 日本銀行)

(*2)基調的なインフレ率を捕捉するための指標(2018.07.24, 日本銀行)