2017年の衆院選は、自公が勝利をおさめた。
デフレ脱却と名目GDP600兆円を目指すはずの安倍政権。
それを邪魔する残念な情報を見聞きしたので、まとめておきたい。
1.消費低迷なのに個人実質増税2800億円(*1)
2.マクロ経済の失政という人災で「失わせた20年」、デフレからの脱却途上で消費税率8%への引上げを実施した安倍政権は、平成29年度補正予算2.9兆円(*3)と小粒&補正予算じゃなくて来年度予算は凄いことになると思っていたら100兆円に満たず97兆円台後半?!(*3)
3.異次元緩和開始からまもなく5年、今は「現状維持元緩和」で、物価安定目標達成時期を6度も先送りした団体は、金融緩和へ更にアクセルを踏めという審議委員は1名のみ(*4)
元みんなの党で、現在は与党自民党の和田政宗議員のブログ記事によると、今回の税制改正は「増税ありきではありません」ということらしい。
ちょっと待って欲しい(最近、このフレーズがお気に入りです)。
政治は結果が大事かと。(プロセスが結果より大事と言う方もいらっしゃるかもしれませんが)
「失わされた20年」を過ごし、デフレ脱却、好景気の持続を期待したのに、緊縮的な政策を打ち出すされしまうことは、どんな説明をしても、景気にはプラスに働くことはないと思われますが、いかがでしょうか?
このような悲惨なマクロ経済政策の影響を受けている国民を余所に、大したご利益がない「PB黒字化」「ペイアズユーゴー」を有難がっておられるのでしょうか?
これでは高橋洋一さんの記事(*6)にあるように“消費税や年金問題などで、「将来のために痛みに耐えるべきだ」という論調は、いまも学者やメディアで見受けられる”(*6)というレベルと変わりばえしません。
痛みに耐えるべき、PB黒字化すべき、財政再建すべき、として、国民の経済厚生を傷つけているようでは、危機意識が低いと言わざるをえません。
「消費税率の引き上げが、家計の可処分所得にマイナスの影響を及ぼす点をとらえて、先行きの景気に慎重な見方をされる方もいらっしゃることと思います。これについては、第1に、政府において各種の経済対策などが講じられること、第2に、税率引き上げは家計部門で以前から相応に織り込まれているとみられること、第3に、財政や社会保障制度に関する家計の将来不安を和らげる効果も期待されることから、マイナスの影響は緩和されると考えています」
と、お考えなのでしょうか。
消費税率8%への引き上げで、何も学ばなかったのでしょうか?
デフレ脱却途上で消費税率を8%に引き上げ、家計の懐をあたためる政策は不充分なままです。法人には復興法人税前倒し廃止や条件付きながら減税を掲げています。
安倍総理が賃上げを経済界に求めることを否定はしませんが、消費減税をすれば、一部の方が大好きな実質賃金が上がりますよ。
安倍総理は「デフレ脱却!」「経済最優先」などと口にしながら、この体たらくでは「口だけ番長」なみ…
余り高いハードルを安倍政権に課すと「
とうかくうんどう」するな!とか言われちゃいますね。
(安倍晋三さんという方が憲法改正でハードルを高くしてポリがキャピってるということはないんですかね)
マーティン・ウルフは最近の記事(*7)(*8)で「消費でなく貯蓄に課税しろ」と述べているようです。
貯蓄に課税となれば、現在の消費を増やす可能性も考えられます。
しかし、20年のマクロ経済失政からの脱却途上では、たとえ貯蓄であっても、緊縮的な政策は控えるべきでしょう。
「善意で増税多数派工作する団体となかまたち」の勢力が強いので、なかなか思うようには行かないかもしれませんが。
まともなご意見をお聞きしたいもの。
金子洋一さん
“年収850万円以上の会社員に対して増税するとの報道だが、850万という数字に意識が集中してしまって、それが高いのか低いのかと議論しがちだが騙されるな。これは増税自体を前提とし、避けられないものと思い込ませる霞が関のテクニックだ。今、必要なことは個人の消費を伸ばすこと。増税自体が悪だ。”
さすがのコメントです。
もうお一人ご紹介です。
若田部昌澄さん
“具体的な緩和策としては、年間80兆円をめどとする長期国債買い入れ額(保有残高の年間増加額)の90兆円への引き上げや物価上昇目標の2%から3%への変更を挙げた。また、政府・日銀の共同声明を改定し、20年度までの名目GDP(国内総生産)600兆円目標を採用することも一つの選択肢としている
[中略]
若田部氏は次期総裁候補の具体名は挙げず、「現在の物価安定目標2%のフレームワークが継続するかどうかが重要だ」と述べた。また次期総裁は「人工知能のように政策を推進していくこと」が理想だと説明した。
黒田総裁の金融政策については、14年4月の「消費増税の影響を過小に見積もってしまった」と指摘。日銀総裁は、財政の問題についても、日銀の目標への影響についてのみ言及すべきだとの考えを示した”(*9)
若田部さんは、衆院選前から、安倍総理が消費増税路線を放棄しないことに懸念を表明していました。
安倍晋三総理、デフレ脱却と名目GDP600兆円は、総理在任中に達成するおつもりですか?
達成できないと、黒田-san と同じ扱いを受けてしまいますよ。
ファイト!デフレ脱却(^-^)
名目GDP600兆円(^-^)
(*1)個人軸に2800億円増税 法人税は増減ゼロ: 日本経済新聞
(*2)17年度補正予算2.9兆円 人づくりなどに5000億円: 日本経済新聞
(*4)片岡・日銀審議委員「十分に緩和的か疑問」 9月会合で:朝日新聞デジタル
(*5)2018年度税制改正は所得税改革が焦点となった。増税となるのは高所得の会社員世帯だ。ポイントをビジュアルにまとめた。 #日経ビジュアルデータ
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/vf20171214/
(*6)【日本の解き方】罪が重い「痛みに耐える」論 「米百俵」曲解して増税推進、将来の人にも痛みを与える
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/171215/soc1712150007-n1.html
(*7)消費でなく貯蓄に課税を: 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO24574240T11C17A2TCR000/
(*8)Conventional wisdom on Japan is wrong
https://www.ft.com/content/2b9f4180-de74-11e7-8f9f-de1c2175f5ce?segmentid=acee4131-99c2-09d3-a635-873e61754ec6
(*9)日銀は消費増税に備え追加緩和を、物価モメンタム不十分-若田部教授
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-12-13/P0VQ9Q6TTDS001