さすが日経(笑)という記事(@_@)


(*1)日銀総裁人事と消費税(大機小機): 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24382500X01C17A2EN2000/


日本経済の命運を握ると思われる日銀総裁人事と消費税に関する記事。

僕が受け取ったメッセージを要約すると次の2点


「本田悦朗氏の日銀総裁は回避したい(黒田総裁の続投を落とし所としたい)」

「消費税率10%の引き上げはしたい(新聞には軽減税率という税率据え置きを主張する新聞だけれども)」


「FTの記事を読んだ方がためになる」という声も聞こえてきそうですが、しばし、日経の記事にお付き合いいただきたい。


“中央銀行がマネーを大量に供給すれば、人々の「インフレ期待」が醸成され、物価も上がり経済も成長していく。これが「世界標準だ」と言う一群をリフレ派と呼ぶ。“(*1)


日本経済新聞にペンネーム「三剣」で記事を書かれている人が言うんだから、この定義は正しいのでしょう。

ちょっと待って欲しい。

(最近このフレーズを覚えました)


村中璃子さんの業績(*2)が報道されず、経済紙の中には「岩田規久男、渡辺喜美を紙面に出すな!」などという報道しない自由や朝日新聞の「安倍晋三記念小学校」(という不確かな情報を基にした)報道に見られるような残念なメディアに書かれた内容を鵜呑みにして良いのでしょうか?


そもそも「リフレーション」とは、何でしょうか?


リフレーションを提唱したのは、アーヴィング・フィッシャーが最初と言われているそうです。書籍などで、日本のリフレ派の方がリフレについてどのように仰っているかを見てみましょう。


"リフレ政策とは、物価を企業が非自発的失業者を吸収できる水準まで戻し、以後も、非自発的失業者が出ないように、物価を安定させる政策"

《デフレと超円高》(岩田規久男,2011)

http://ow.ly/3moYjB



"リフレというのはデフレの長期化で失われた名目価値のリカバリーとそれに伴っておきる実質経済成長率の増加&長期安定、雇用の改善を目指すこと"(抜粋)

(田中秀臣,2015)

https://twitter.com/hidetomitanaka/status/616389769237393408



“スティグリッツは失業こそ人間価値の毀損を伴う最悪の事態のひとつであり、これを解消することが人間の幸福を促進することになると明言…人間的価値から失業を捉える見方は[中略]高橋亀吉や石橋湛山が採用した見方[中略]リフレ派の地下水脈をなす思想”

《経済政策を歴史に学ぶ》(田中秀臣,2006)

http://amzn.to/1UeGpFy



"1. 政策レジーム・チェンジを通じて

2. 民間の期待形成に働きかけることにより

3. 実体経済における景気回復を促す政策

リフレーション政策ではインフレ予想と予想実質金利(事前実質金利)が重要な役割を果たす"


《インフレ予想とデフレ脱却 ~レジーム・チェンジの経済学~ 国民経済計算研究会》

(矢野浩一,2015.03.14)

https://dl.dropboxusercontent.com/u/2260564/2014/dsge/reflation_and_regime_change_2015_03_14_upload.pdf



期待とそれを裏付ける政策、物価安定と雇用環境改善を重視しているようですね。


レジームチェンジや期待に触れず、「中央銀行がマネーを大量に供給すれば、人々の「インフレ期待」が醸成され、物価も上がり経済も成長していく」点にフォーカスしている議論は残念なご理解と感じます。


”かつてゼロ金利を解除した故・速水優日銀元総裁やインフレ目標導入に消極的だった白川方明前総裁が彼らの仮想敵で、批判というより罵倒する非寛容な姿勢が特徴的でもある。“(*1)


こちらは出典を明らかにしていただいたうえで、事実と認識を区別して記事を実名で書かれることをオススメします。単なる思い込みによる印象操作と取られないためにも。



”そのリフレ派が歓喜した黒田東彦総裁の「バズーカ」からはや5年。日本のみならず欧米でも物価が上がらない現状を前に少し自信が揺らいでいるのか、最近では「リフレ派も色々」(日銀幹部)らしい。

中でもマネー供給量への信奉が極めて強い「純正リフレ派」は、当初シナリオを崩した主犯を2014年4月の消費税率引き上げとする。せっかくうまくいっていたのに増税で消費が腰折れしたというわけだ。安倍晋三首相が財務省の言うことを聞き過ぎたのが誤りとの思いもあるらしい。

旧大蔵省出身ながら消費税に批判的な本田悦朗駐スイス大使らは純正リフレ派といえる。彼らは一段の財政支出に、日銀が国債引き受けで協力することも排除すべきではないと考える。財政再建のための19年10月の消費税率引き上げなど論外らしい。旧大蔵省主税局経験が長い黒田総裁は消費税率上げには前向きで、純正リフレ派とは立場を異にしているようにみえる。“(*1)


三剣さんは独自定義のリフレ派」に悪い印象を与える内容の後に本田悦朗氏に言及している。マクロ経済への知見があるかは別にして、巧みなテクニックはお持ちのようだ。

そもそも、私のように教科書レベルの書籍を読んだ素人一般人ですら、統合政府でみると「財政再建」は終わっていることは分かるのに、三剣さんは「善意で増税多数派工作する団体」を忖度して「財政再建」に言及されているのだろうか?


マクロ経済を学ぶ理由に「政治家やエコノミストなどに騙されない」というものがあったことを思い出して欲しい。


”この構図の中で、18年4月に任期満了を迎える黒田氏の後任人事をどう考えればいいか。「打診あらば全力を尽くす」と公言しているのが、先の本田氏だ。いくら官邸と近いとはいえ、国会承認も必要な日銀総裁人事について、今の段階でここまで開けっぴろげに意欲を示す候補は珍しい。“(*1)


デフレ脱却への意欲を示すことは何も悪いことではない。この文面は、旧い日銀や財務省に忖度した言動が日銀執行部や審議委員などのポストへの「就職活動」につながっていたかのような「古き良き時代」を懐かしんでのご発言と受け取れる。



”疑問も湧く。過去に2度延期された10%への消費税率上げを19年10月に実施すると掲げ、選挙にまで打って出た安倍首相は果たして本田氏を選ぶだろうか。

仮に「本田日銀総裁」が消費税に前向きになれば、宗旨変えの批判は免れまい。逆に、首相が本田氏を指名するなら、消費増税をまた先送りする腹積もりか、と勘繰りたくなる。黒田総裁続投なら予定通りの税率引き上げがメインシナリオでも不思議ではない。

次期日銀総裁人事と消費税。市場がどう織り込むかも含めて、目が離せない。(三剣)”(*1)


片岡剛士さんを日銀審査員へ送り込んだ安倍総理。金融政策が日本経済や政権に大きな影響を与えることを安倍晋三さんは学んでいると思われる(*3)。


消費増税をしないと「どエラいリスク」などと妄言をはく黒田総裁を続投させるようでは、デフレ脱却よりも政治資源の温存を優先したと取られかねない。


財務省や旧い日銀、その応援団が騒ぐよりも安倍晋三さんを始めとする官邸が、マクロ経済政策の一翼である金融政策の人事を握り、大きな影響力を行使することは望ましい。それは、安倍晋三総理がまともなマクロ経済政策をご理解なさっているからだ。

残るは財政当局とその仲間たちが推し進める緊縮財政との闘いである。



(*2)『ジョン・マドックス賞受賞スピーチ全文「10万個の子宮」』

https://note.mu/rikomuranaka/n/n64eb122ac396


(*3)書籍『日銀と政治 暗闘の20年史』(2017.10.20 , 鯨岡仁 )

http://amzn.to/2jGgzBH