シムズ教授が話題にしているのは、政府と中央銀行を合わせた「統合政府」です。
政府の関連会社として日銀の連結貸借対照表を作ると、日本政府債務と日銀保有の国債が相殺されます。
日本では、メディアや学者、エコノミストのほとんどが、総債務残高が大きいこと(1000兆円!)を問題にしていますが、国債の問題を考えるうえで重要なのは、総額と純額を区別すること、統合政府で考えることです。
連結の負債が平成26年度末1371兆円という総額があったとしても、資産(932兆円、資産額は世界一!!!)を引いた純額では、439兆円の債務となります。
さらに、日銀保有の国債269兆円(平成26年度末時点)を引くと、統合政府債務のうち債務性がある額は約170兆円となります。
(当方作成の図をご参考まで)
純債務額が変わっていないと仮定し、直近(平成29年1月31日時点)の日銀保有国債残高約415兆円を439兆円から引くと…約25兆円の債務ということになります。
営業毎旬報告(平成29年1月31日現在)
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2017/ac170131.htm/
日銀保有国債残高を年額約80兆円、月額約6.7兆円のペースですので、純債務額を変わらないと仮定すると、後約4カ月で、統合政府の債務性ある債務の残高はゼロとなり、その後も日銀保有国債が増加を続けますと、統合政府の資産側に国債残高が積み上がる、という状況となります。
日本の統合政府で見た財務健全性は、とても、財政危機と言えるほど危険ではなく、国債利回りやCDSの低さを見ても、日本政府債務である日本国債の信認が、いかに高いか、がお分かり頂けると思います。
財務省自身が、国債のデフォルトはあり得ない、という主旨の内容をホームページ上で公開なさっています。
"日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか。"
外国格付け会社宛意見書要旨 : 財務省
http://www.mof.go.jp/about_mof/other/other/rating/p140430.htm
また、ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマンも、通貨発行権があり、自国通貨立て国債、短期金利を操作できる中央銀行がある国の政府債務はデフォルトするロジックが分からない、という主旨の発言をされています。
財務省が熱心に国債の安定消化につとめ、情報発信をなさっているのに、日本政府債務の信用を貶めるような情報を発信する、日本の多くのメディアや学者、エコノミスト等には、呆れてしまいます。