日本経済新聞の頑張り(笑) もあってか、日経紙面では、肝心な部分が紹介されていなかったシムズ教授の2017.02.01のご講演内容ですが、以下のサイトに情報がありましたので、共有します。

(*1)国は「将来の増税なし」と宣言し、インフレ誘導を―物価水準の財政理論でシムズ氏らが講演

重要だと感じた部分をご紹介します(太字などの強調は質問者2)。

"米プリンストン大学のクリストファー・シムズ教授(ノーベル経済学賞受賞)らを招き、「物価は何で決まるのか」と題したセミナーを東京・大手町の日経ホールで開催した。冒頭の講演でシムズ氏は「物価水準の財政理論」(FTPL=Fiscal Theory of the Price Level)を紹介。脱デフレのため、「将来にわたって増税しない、などの宣言をして物価を引き上げ、消費を拡大させることが必要」と話した"(*1)

こんなことを言ってしまうと 善意で増税多数派工作する団体 に目をつけられそうです。
財政クライエンテリズムの罠に落ちた人(日本で見かける政治家、学者、財界人、一般人など)の口からは聞くことができそうもないことをシムズ教授が述べられています。

財政クライエンテリズムに関しては斉藤淳さんのツイートが秀逸です。

"固有名詞をあげての批判は、個人攻撃とも取られかねないし、好きではない。しかし「自分の政策が増税を前提としているから、増税賛成」は醜悪な「財政クライエンテリズム」にはまったとの告白そのもの。財務省が合法的に贈賄をしているに過ぎない。"

増税を前提とし、
軽減税率適用して欲しいから…
補助金をつけて欲しいから…
ポストが欲しいから…
クニノシャッキンを真面目に考えているようで気分が良いから…

残念ですが、財政クライエンテリズムの罠に落ちた人々を良く見かけます。


講演の紹介記事に戻ります。

"FTPLは財政と物価の関係を示す経済理論の1つ。財政赤字を穴埋めするために増税するのでなく、政府が恒久減税などでインフレ期待を引き起こし足元の消費を拡大させる。"(*1)

QQEをしながら、消費税率を8%に上げてしまい、実質GDP成長率がマイナスになり、その後も低迷。消費も停滞している日本にとって傾聴すべきことですね。
(官邸が、増税スキーをなぎはらうために…と邪推するアカウントがこちらになります 笑)


"日本経済の現状について「高齢化が進み、社会保障に対する心配は強い。財政の持続可能性が不確実で、将来不安から個人の行動も制約的になる。財政緊縮は続くと考えており、現時点で財政拡大の状況とは呼べない」と指摘。日本は「政府はインフレが債務の重荷を減らすことを明示する。消費増税の延期もありうる選択だ。そのような方策を実施することで、資産保有者や個人にとって国債の魅力度が低下し、財の消費をするようになる」を話した。"(*1)

拡張的な金融政策(最近は現状維持決定会合が続いていますが)と緊縮財政というのが日本の現状とお考えのようです。


"中央銀行の政策については「政府と連携すると独立性が失われると恐れる必要はなく、もっと大胆になるべき財政と金融政策が連携してインフレ目標達成に取り組む姿勢が重要」と話した。"(*1)

ゼロ金利下での金融政策は効果が無いと主張されるシムズ教授ですが、2017.02.01の日本で「財政と金融政策の連携」を訴えておられます。
「逃げるは恥だが役に立つ」的なサムシングでしょうか。

浜田宏一内閣官房参与は次のように述べられたそうです。

"「単に減税をするのでなく、将来にわたり消費が増える姿にしなければならない。プライマリーバランスの均衡をいつまでに達成せよ、というのは必ずしも正しくない」と話し、「国民の生活の方がより重要だ」と強調した。"(*1)


塩路氏が
"消費増税(8→10%)は二度にわたり延期されたが、国債金利も物価もほとんど反応しなかった。FTPL的なものが成り立っていないとすればなぜか」と疑問を投げかけた"(*1)

そうですが、シムズ教授のお話をキチッと聞かれていたのでしょうか?

消費税率を8%に上げ、民間から政府へ毎年約8兆円もお金が吸い上げられる緊縮財政は続いており、10%への税率引き上げが2019年10月に控えている…
メディアで見かけるのは財政クライエンテリズムの罠に落ちたような顔ぶれが多い…
予算ではなく、決算ベースでは減少が続いていた一般会計…
(三次補正予算で決算ベースで2016年は100.2兆円と久々の増加になるそうですが)

これで、消費を拡大しますでしょうか?


(*2)シムズ教授のご講演資料も(*1)のページ下部に公開されており、テキストベースで書かれています。
マイナス金利についても言及されています。

ご主張の中で最も重要とお考えなのは資料内にもある次の点だと受け止めました。

"インフレを安定させるには、インフレ率が目標水準を大幅に上回るか、目標水準を継続的に下回っている場合には、通常の市場操作を用いた従来の金融政策だけではなく、財政的行動が必要"(*2 を質問者2の訳)


善意で増税多数派工作する団体となかまたち = 増税スキー の効用を増すよりも、国民の生活の方がより重要ですね。