キリスト教と料理 | 王様の料理人。料理人の王様。

王様の料理人。料理人の王様。

尊敬するアントナン・カレームについてのレシピや、古典料理、地方料理、調理科学や作り方のコツ。モダンキュイジーヌのレシピ、画像、作り方。フランス料理、スペイン料理についての歴史。

中世・ルネサンス期の社会生活全般を覆っていたキリスト教は、料理の上にも強い影響を及ぼしている。特に四旬節をはじめとして、一年のうちにかなりの数にのぼる肉断ち火が設けられていることは、料理を強く束縛していた。「ヴィヤンディエ」以降、料理書には多くの魚料理が取り上げられているが、それは魚料理が好まれたということもさることながら、一切の肉を口にできない肉断ち日用の料理という意味合いも強い。

 肉の許された日と肉他断ちのカレンダーは時代、地域によって異なるが、四旬節、待降節、祝日前夜、四季の最初の水、金、土などが肉断ちの日。徐々に緩和されてくるが、フランス革命を超えて、19世紀のカレームの料理書までこの習慣は流れかんでいる。

 具体的にどんな規制があったのか?肉はもちろん乳製品や卵も使えないという厳しい場合もあれば、バター、牛乳などの乳製品や卵は許されることもあり、これも時代やばしょによって異なっている。料理書の献立はグラとメーグルに分かれており、メーグルは魚と野菜料理のみ、グラは魚料理も加えても良いはずだが、肉を中心に献立を構成する婆愛が多い。
 
 またメーグル用の料理には、肉でだし汁をとったブイヨンやソースが使用できないので必ず魚用のブイヨン、ソースを用意した。そのため18~19世紀のカレームの著書が世に出る時代に至るまでの料理書には肉料理、魚料理それぞれに同盟のソース、例えばソース・ベシャメル・グラとソース・ベシャメル・メーグルのレシピが記載されている。