フランスの桃は、日本のものより小ぶりで堅いので、そのまま食べるよりコンポートに仕立てるとよりおいしくいただける。そんな桃のおいしさを最大限に味わえるのが、ピーチ・メルバ。
これは19世紀の偉大な料理人、オーギュスト・エスコフィエが、ロンドンのサヴォイ・ホテルのシェフを務めていたときに、ある有名なオペラ歌手にささげたデザートだと言われている。
そのオペラ歌手の名前は、ネリー・メルバ。そこで、この桃のデザートは彼女の名前を冠したものとなったのだ。
1894年のある日、彼が作り出したそのピーチ・メルバは氷の彫刻で白鳥を作り、全体を細い飴で覆い、羽の間に銀の器をはめ込み、中にバニラアイスをクリームを詰めて、その上に桃を並べた豪華なものだったそうだ。
それがだんだん簡略化され、皿盛りのデザートになっていった。
現在のピーチ・メルバをみたらエスコフィエは一体どう思うのだろうか?
誰かの為に作った料理が、世界中で食べられてると思ったら料理人としてはとてもうれしいことだと思いますけどね。