「具体」は吉原治郎が1954年に発足した
関西で生まれた美術家協会です◎
抽象画家?パフォーマー?
様々な表現をする作家たちが集まった、
バラバラに見える具体ですが…
「何者にも捉われない自由」という
吉原氏の意志に基づき活動したそうです。
■ 未知の世界へ - GUTAI 分化と統合
in 国立国際美術館
■中之島美術館の展示は分化。
キーワードごと分かれた作品と対面します。
■国立国際美術館は統合。
彼ら/彼女らが何をしようとしたか
まとめられています。
2館共同開催で、
具体の世界を探検するような展覧会でした✴︎
※国立国際美術館の展示はほとんど写真を撮影できない為、
中之島美術館の作品写真も用いて考察してみます。※
①物質は人間が支配できるものではない。
「赤い丸太」1955/85 兵庫県立美術館蔵
「なんだ!このやぐらは⁉︎」
と突っ込みたくなる白髪一雄氏の作品。
野外に建てたこのやぐら?を
白髪氏は斧で斬りつけたそうです。
本来人間が物質に対して行った痕跡は
残るんですよね。
だから絵具も絵の具らしさ残るのが、
自然なのかもしれません。
白髪一雄「天雄星 豹子頭」1959 国立国際美術館蔵
白髪氏が天井にぶら下がりながら、
絵具と対決した痕跡が作品に残ってました。
痕跡というと金山明氏が制作した、
ラジコンカーが描いた作品も興味深いです。
作品を創造するということは、
絵具や絵筆などの道具を
人間がコントロールしなければ
出来ないわけではない。
という事が分かりました。
②自然と物質から生まれるリズムに乗ろう!
正延正俊「作品」1964 中之島美術館展示※
今まで私は何かを反復して埋め尽くすのは
凡人とは脳の経路が違う働き方をする人の
行為という偏見がありました。(すいません)
今回、美術館の研究員さんの説明を受けて
驚愕したことがあります!
正延正俊氏の「作品」は、
単純に見える動きの反復でリズムが生まれ、
それに自分の精神がついていくそう。
手拍子を叩いていると高揚する私たちの心。
リズムによる現象が絵画に現れるそうです。
作品の前で手を叩いて踊るしかない!
と思ったほど納得しました◎
元永定正「作品(水)」1957/2022 再制作
自然現象をも作品に活かす具体。
もう1館の中之島美術館の元永氏の作品に
添えられた言葉が確信をついています。
「私は世界の言葉はほとんどわからない。
しかし人類なら誰でもわかり合える言葉を
作品として生みだそう。」
大きさやNOBINOBI(このタイトルの絵画が最高)
した様子。まる◯やしみ。うねうね。
私たちのDNAに埋め込まれた自然の形は
潜在意識に訴えかけるのです。
③何を描くか?から解放されて新たな美へ
山崎つる子「図形による題」1963 中之島美術館展示※
自然や物質を生かすと
人間の精神はどうなるのでしょう。
いらなくなるのでしょうか。
人間自身も物質の一部であることに
気づくのかもしれません。
空っぽになって
自由になる。
吉原治良「作品(黒字に白丸)」1967 中之島美術館展示※
与えられた情報と前例の固定概念に囚われた
現代人の苦手とするところかもしれません。
④作品の外の現実世界にも目を向ける
具体展の素敵なところは、
作品を観る私達自身も作品を形作る事に
気付かされるのです。
暗闇で光って急に音が鳴る作品は、
その場で驚く人がいないと成り立ちません。
今井祝雄「白のセレモニーHOLES#5」1966 中之島美術館展示※
観る方向によって影や印象が変わる作品は
自分の心象が反映されているようです。
美術館に作品を観に来ているのに、
自分や周りの現実世界にまで目がいきます。
村上三郎「あらゆる風景」1956/ca.92 個人蔵
村上三郎氏が額を棄て外へ飛び出したように
鑑賞する人も展覧会を見た後に
外の世界の見方が変わるかもしれませんね!
(劣化する絵画、箱の中の時計音もお見逃しなく!)
吉原治郎氏は
「観て分かるものにタイトルはいらない」
と言ったそうなのに…
長々と考察を書いてしまいお許し下さい🙏
【未知の世界へ - GUTAI 分化と統合】
国立国際美術館&中之島美術館
2022年10月22日(土)〜2023年1月9日(月)
※両館共通券あり、単館のみの鑑賞も可能※
※国立国際美術館は音声ガイド¥300あり※
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