☆☆☆☆(4.0)
2023年8月29日第1刷 発行 ダイヤモンド社 277ページ
○今村翔吾 「教養としての歴史小説」読みましたか
2022年「塞王の盾」で直木賞を受賞した著者が歴史小説の面白さについて解説した本です。
歴史を知ることで、現在や未来の対処の仕方もできる、ということです。通史はおもしろみはないかもしれませんが、人に焦点を当てている歴史小説ならば、興味を持って読めるということです。
歴史小説を読むと日本各地についての知識も自ずから学べます。まさに教養です。大体跡取り問題が失敗すると家がうまくいかなくなるというのは、大名もそうでなくても、今も昔も同じかも。
本書の中で作家たちを第一世代から第七世代に分けて解説しているのも、斬新でよかったです。
巻末には折り込み付録として、日本を知るための歴史小説として、下記の10冊の作品紹介されています。
司馬遼太郎「国盗り物語」は斎藤道三とアメリカ、カナダで人気の織田信長を扱っています。山岡荘八「徳川家康」は韓国中国で人気が高い人物。司馬遼太郎「飛ぶが如く」は西郷隆盛と大久保利通を通して幕末を学べます。遠藤周作「沈黙」は日本人のキリスト教観を学べます。 永井路子「炎環」は北条政子等、鎌倉幕府成立まで4人の物語です。
海音寺潮五郎「平将門」は平将門を通して平安時代の日本を学べます。荒山徹「白村江」は古代日本と中国の関わりが見えます。黒岩重吾「聖徳太子」は日本の成り立ちを知ることができます。城山三郎「大義の末」は第二次大戦の青年が主人公、天皇制についての考察あり。山本周五郎「樅の木は残った」は伊達藩のお家騒動、文章が美しいとのこと。
上記以外にも、面白うそうな本がたくさん紹介されています。
著者は小学五年生のときに山田風太郎「真田太平記」にはまり、小中高とありとあらゆる歴史小説を読んだ筋金入りの歴史オタクです。そんな著者の薦める本ですので、少しずつ読んでいきたいなと思いました。
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