人口減少と高齢化 | 株右衛門の経済&投資講座

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日本は、世界で最も急速に進む人口減少と高齢化に直面しています。これは、国の経済成長、労働市場、そして投資の将来に大きな影響を与えています。経済産業省の通商白書2022年版によると、人口構成の変化は、耐久消費財、サービス、固定資産、金融資産の需要に広範な影響を及ぼしています。

 

労働力人口の減少は、特に日本で顕著であり、企業における退職年齢の引き上げなどの政策対応がなければ、労働投入量を増やすことが困難になります。また、日本銀行のレビューによると、人口動態の変化は中長期的な設備投資にも影響を及ぼし、人手不足に直面している企業は設備投資を積極化させ、労働を資本で代替する動きを強める傾向があることが分かっています。

 

人口減少は、資本投入へも影響を及ぼします。例えば、人口が減ることで必要な住宅ストックや企業における従業員1人当たり資本装備は減少することになります。さらに、高齢化が進むことで、将来に備えて貯蓄を行う若年者が減少し、過去の貯蓄を取り崩して生活する高齢者の割合が増えることで、社会全体で見た貯蓄が減少し、投資の減少にもつながる可能性があります。

 

IMFの報告によると、日本では少子高齢化に伴い、医療や年金といった高齢化関連支出が増加する一方で課税ベースが縮小し、公共財政に制約が課されるだろうとされています。また、人口動態のトレンドが低金利とも密接に結びついており、高齢化社会では、定年を控えた人々が退職後に備えて貯蓄を増やす一方で、見通しに力強さが欠けるため、投資は抑制的な状態が続くことになり、金利が下がる方向に圧力がかかると分析されています。

 

これらの情報を踏まえると、日本の人口動態の変化は、投資戦略において重要な考慮事項です。企業や投資家は、人口減少と高齢化の影響を理解し、これらの変化に適応するための戦略を立てる必要があります。これには、技術革新を活用した省力化投資、高齢者市場への対応、そして新興市場への展開などが含まれるでしょう。日本の人口動態の変化は、挑戦であると同時に、新たな機会を生み出す可能性も秘めています。