バリュー投資と成長投資 | 株右衛門の経済&投資講座

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バリュー投資と成長投資は、株式市場における二つの主要な投資戦略です。バリュー投資は、市場価格がその本質的価値よりも低いと判断される株式に投資するアプローチであり、長期的な視点からその価値が正当に評価されることを期待しています。一方、成長投資は、将来的に高い成長が見込まれる企業に焦点を当て、その成長が株価に反映されることで利益を得る戦略です。バリュー投資家は通常、低PERや低PBRなどの指標を用いて割安な株を見つけ出し、市場の過小評価を利用します。対照的に、成長投資家は売上高の伸び率や利益の成長率など、企業の将来性を示す指標に注目し、株価の上昇を期待する傾向があります。

 

バリュー投資は、しばしば成熟した業界や市場で見られる企業に関連しており、これらの企業は安定した収益を上げているか、または業界全体が低評価されている可能性があります。これに対して、成長投資は新興市場や技術革新を行っている企業に関連することが多く、これらの企業はしばしば高いPERやPBRを持っていますが、それは将来の成長への期待を反映しています。バリュー投資家は、市場が過度に反応して価格を下げた銘柄を見つけることに長けており、成長投資家は将来の成長を予測し、急成長が期待される企業に投資することで、高いリターンを狙います。

 

リスクとリターンの観点から見ると、バリュー投資は一般的に低リスク・低リターンと見なされ、成長投資は高リスク・高リターンと見なされます。バリュー投資家は、株価が本来の価値に戻るのを待つことで利益を得ることができますが、成長投資家は、企業の成長が株価に反映されることで大きな利益を得る可能性があります。ただし、成長投資は、市場の変動により大きな損失を被るリスクも高いです。市場の状況によっては、グロース株が優位な時期もあれば、バリュー株が優位な時期もあります。例えば、金利の上昇はグロース株にとっては逆風であり、長期的な株価の下落に見舞われやすいですが、バリュー株は「逃げ場」として資金が移動しやすく、利上げ局面では景気が上向いていることが多いため、業績が大きく向上する企業が増えることがあります。

 

投資スタイルは個人のリスク許容度や投資目的によって異なりますが、バリュー投資と成長投資の理解は、投資家が市場でより良い意思決定を行うための重要な基盤となります。投資家は、これらの戦略を組み合わせることで、ポートフォリオの多様化を図り、市場の変動に対するリスクを軽減することもできます。株式投資を始めたばかりの時期は、グロース株とバリュー株の区別がつかないかもしれませんが、知識を身に付けて区別できるようになれば、投資のタイミングを図りやすくなり、許容できるリスクに合わせて銘柄を選べるようになります。