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 日本も緊急事態宣言が発出されました。Stay Home.

 

 さて、平成29年分から医療費控除の手続きが変更されています。

 従来は領収書とともに明細書を添付して税務署へ提出していました。が、平成29年分からは「医療費控除の明細書」に必要事項を記載して申告書に添付し、領収書は自分で保存する方法に変更となりました。

 

 いや、今年も領収書を添付して税務署へ提出したよ!

 

 そうですね。

 平成29年分の税制改正において経過措置が規定され、令和元年分までは従来どおりの申告が認められていました。

 

 しかし、令和2年分からは領収書は自分で5年間保存することになります。

 

 後日、税務署から提示等を求められた時に紛失等して領収書がなかった時には、その年分の医療費控除は取り消され追徴課税を受けることになります。紛失等せずに5年間大事に保存しましょう。

 

 「医療費控除の明細書」とはどんなもの

 「医療費控除の明細書(内訳書)」は下の様式です。国税庁のホームページからダウンロードできます。

 

 様式の「2 医療費(上記1以外)の明細」は、領収書から ①医療を受けた人ごとの ②病院、薬局ごとにまとめて記載します。

 

この記載は従来と変わりありません。が、注意するのは、

様式の「1 医療費通知に関する事項」に記載したものは記載できないことです。

 

 では、「1 医療費通知に関する事項」欄に記載するものは、

 健康保険組合や住所地の役所の保険年金課給付係(国民健康保険担当)から送られてきた「医療費のお知らせ」に記載してある「被保険者が支払った医療費の額」を記載します。また、そのお知らせ文書は「医療費控除の明細書」に添付して提出します

 

 この「医療費のお知らせ」には、その年の1月から12月までの医療費について記載されていますが、確定申告をする時までに送られてきたものにはその年の途中の月までの記載で終わっているものがあります。

 

 この場合には、記載されていない月分の医療費について領収書から「2 医療費(上記1以外)の明細」欄に記載することになります。

 

 医療費控除の対象となる金額は、「1 医療費通知に関する事項」欄と「2 医療費(上記1以外)の明細」欄の合計額となります

 

 なお、「医療費のお知らせ」を使用せず、従来どおり領収書から明細を記載される人は「2 医療費(上記1以外)の明細」欄のみの記載となります。

 

(注)添付書類として使用できる「医療費のお知らせ」には、①被保険者等の氏名、②療養を受けた年月、③療養を受けた者、④療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称、⑤被保険者等が支払った医療費の額、⑥保険者等の名称が記載されているものに限られています。

 

☞ 医療費控除額の計算

 一般的には10万円を超えた医療費の額が対象となるといわれていますが、ちょっと違います。

 

 正しくは、総所得金額の5%か10万円のいずれか低い金額を超えた医療費の額(最高で200万円)が控除の対象となります。

 

 給与所得のみの人は、源泉徴収票に記載されている“給与所得控除後の金額”が総所得金額となります。

 

 したがって、この総所得金額が200万円以上の人は10万円を超えた医療費の額が控除の対象となります。

 この所得金額が200万円未満の人はこの総所得金額の5%を超えた医療費の額が控除の対象となります。

 

(注)保険金などで補てんされる金額(生命保険契約などで支給される入院費給付金や健康保険などで支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金など)は医療費の金額から控除します。

  ただし、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きますので、引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引きません

 

☞ 申告により戻ってくるのは医療費ではありません

 給与所得者が申告により還付されるのは、自分が源泉徴収された所得税額が限度になります。

 したがって、源泉徴収された所得税がないには還付金はありません。ただし、住民税の計算では所得税の所得控除額より控除額が低く設定されているので住民税が課税される人は住所地の役所で住民税の申告をされるとよいです。

 

 なお、実質的には、医療費控除額として控除される金額は、医療費控除をする前の課税所得金額(他の所得控除を控除した後の課税所得金額)が限度となります。

 

☞ いつまでに申告すればよいか

 5年間の間に申告すればよいです。時効は5年です。

 ただし、期間の起算日に注意してください

 

確定申告書を提出する義務のない人

確定申告書を提出する義務のない人が、給与等から源泉徴収された所得税額などの納め過ぎの所得税の還付を受けるためにする申告を還付申告といいます

  

初めて還付申告をする年分

  還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。

  令和2年分の医療費控除の還付申告は、令和3年1月1日から令和7年12月31日までに提出することになります。

  なお、12月31日は、還付金の消滅時効が完成する日であるので延長されません。

 

既に還付申告をした年分

更正の請求という手続により納めすぎになっている所得税の還付を受けることができます。

更正の請求ができる期間は、還付申告書を提出した日から5年以内です。

 

確定申告書を提出する義務がある人

更正の請求という手続により納めすぎになっている所得税の還付を受けることができます。

更正の請求ができる期間は、法定申告期限から5年以内です。

 

 

「医療費控除の明細書」ひな形

      

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