生きてるって(体験するって)面白いものだと
つくづく実感。
・・・と、
出雲からの帰り途(みち)。
日本海の際(きわ)を通る、
出雲から山口へ向かう特急列車スーパーおきに乗り、
そこから、博多~鹿児島中央駅までの新幹線に乗り継ぐルートを取った。
どちらも指定席は満席で
新幹線の方は、予想通り、座れないひとでデッキや通路がごった返していた。
中には赤ちゃんを抱っこした若いお父さんらしきひともいて、
周りも赤ちゃんが泣かないように、少しでも楽な体制になれるようにと
さりげなく気遣っている様子が、
何だかこれぞ日本の風景、としみじみと感じた。
停車駅が近づけば
降りるひとと、座りたいひとと
言葉を交わさずとも、気配を察し、
スムーズに連携を取り合っている。
見知らぬ同士、ただ、そこに、その瞬間居合わせただけの人々で
これが難なく出来る民度の高さよ。
そんな恩恵にわたしも、途中で預かることができた。
3列座席の真ん中だったが、窓側の方が降りたあと、
これから乗ってくるひとが少しでも席に座りやすいようにと、
席を詰めて、右2席を空けるのは当たりまえのこと。
しばらくして、す~っと近づいてきた女性に驚いた。
わざわざ真ん中の席を空けて、通路側の席にストンと座った。
まだ通路には座れないひとが立っているのに、である。
え?と二度見したのは言うまでもない。
もしかして連れのための席確保か?と思ったが
最後までひとりだった。
20代くらいの若い女性。
白と黒のモノトーンコーデ。黒髪おかっぱ。黒縁メガネ。
席に座るなりスマホを出して、
信じられない事に当然の権利のように自分の小さいバックを隣の空席に置いた。
こいつ、他のひとが座れないように、わざとしてる!
今の今まで
なんて素晴らしい譲り合い、思いやりあう
優しい日本的風景・・・と思っていたところに
いきなり、この登場人物。
「この席、だれかお連れがいるんですか?」と
嫌味で聞いてやろうか・・と喉まで出かけたが
止めた。
こんなヤツの、この先の人生は、このレベルで進んでいくぞ。
ろくな人物も、周りには集まらんぞ。
終点手前で
澄ました顔で降りていく横顔を見ながら
そう思った。
すぐ近くでそんな風に自分が思われてるなど
想像もしないんだろう。
鹿児島のニンゲンじゃなかった(と思われる)ことが
せめてもの救い・・と思うことにした。
(いや、救いじゃないけど、同じ鹿児島だったらすごくイヤ!)
出雲、旅の最後に
こんなエピローグ。
絶妙な塩加減、
粋な旅となった。