、、つづき。
 
時間通りにやってきた、50代ギリギリ手前といったタクシーの運転手さんは
まず最初に「広島と島根では違う料金設定になってまして若干、代金が高いです、、、もしかしたらビックリされるかも知れません、、、。」と恐縮した様子で教えてくれた。
タクシーが捕まらなかった時の
自分の恐怖・焦燥感を思えば
「幾らだって安いもんさ!」と思いながら山間の道をスイスイと、櫻井家を目指す。
 
「帰りのバス停の場所だけは確認しておきたいので
どこにあるか気にしながら走ってもらえますか」
「はい、分かりました」だったのだが
それらしき場所に見当がつかないまま
櫻井家に到着した。
「ここの係の方に聞くからいいですよ~!」
憧れの櫻井家を目の前にして、大丈夫、大丈夫とテンションがあがってしまった。
島根県奥出雲、櫻井家家屋、庭園。
正式名称は可部屋集成館。
ドラマの中では
公安の野崎が、乃木の素性を突き止めるためバルカから奥出雲へ飛び、尋ねた場所。
 
広島は抜けるような良い天気だったが
小雨が降って、鮮やかな色彩に艶をかけた秋の風景。
 
 

















 
 
 
 
、、、と、しながらも
バスの時刻が気にかかる。
 
可部屋集成館、窓口の方にお聞きする。
 
「出雲三成駅行き15:10発のバスに乗りたいのですが・・
バス停ってどこにありますか?」
 
「バス?あ、バス?え~っとね・・・そうだね・・
ここから200メートルくらい下っていけばね、
小さい橋が左側にあって、集会場みたいなのがあるんです。
その前が広場みたいになってますからね、
そこで、高野から来たバスがぐる~っとUターンするはずだから。
そこで待ってるといいですよ」
 
ここから歩いて何分くらいかかるのか?

わたしの足で、果たして間に合うのか?

おそらく心細い顔をしていたのだろう。
 
地図を書いてあげるね、と もらった
小さいメモをお守りのように握り締め
櫻井家お庭見学のために借りてた傘をお返しし、バス停を目指した。
 




てくてく・・・
 
歩いてるひとは私一人。
皆さん、車でいらしてる。
 
ここだな、間違いない。
という場所を見つけたし、バス停留所の時刻表もあるが
あれ、おかしいな、、、、
15:10の表記がない・・・。
 
だけど、係の方が教えてくれたし、
古い古い停車場看板だから
昔の表記かも知れないし・・・。
 
いやな予感と戦いながら
待つこと10分・・・。
川を挟んだ向こう側の道路を見覚えのあるワゴンバスが
通過していくのが目に入る。
さっき、タクシーの中で
すれ違う時、運転手さんが「これが奥出雲コミュニティバスですよ」と
いった車と同型・・・。
まさか!あれが!
こちら側から大きく手を振って見せたが、気づかれず行ってしまった・・・。
 
ケータイに目をやると
バッテリー切れでスンとも言わない。
間違いなくさっき、写メり過ぎたせいだ。
 
本日、2度目の「どうする。わたし!!」
クイズ・タイムショック2ラウンドめ。
 
これは、櫻井家に戻るしかない。
櫻井家は4時には閉館する。
従業員の方に帰られては、誰にもすがれない。
おまけに奥出雲の日暮れは早い。
 
下りてきた坂道を今度は上り、
小雨に濡れて、息を切らし
まさか、戻ってきた鹿児島の女。
目もギンギンにテンパっていたであろう。
 
「あ、あ、あの!バスが、バスが、、、、
行ってしまったんです・・・。広場まで入ってこなくて、
手も、手も振ったんですけど・・」
「ケータイの電源も切れてて・・・すみませんが、」
タクシーを呼んで・・・・と言おうとしたところへ
 
先ほど地図を書いて説明してくれた方が
(上品な70代といった男性)
「あ、それは申訳ないことをしたですね・・。ごめんなさいね。」と
奥の女性に頼んでくれた。
 
どうやら、わたしの宿泊先と同じ方向に家があるらしく
退社時間には少し早いけど、わたしが間違いを教えてしまったことだし
乗せていってもらえる?・・と
提案してくれた。
 
え、いいの!?

ラッキー!!

車で20分。

同世代のその方とは
話が弾んで初対面とは感じないほど。

一人旅あるあるなのかも。

美しい気色とともに
強く心に残った出来事だった。

(備忘録として)
 、、、つづく。