最初の出だしは年始め深夜の特番。

 「めぐり逢えたら」を観たのだった。

主演のメグライアン繋がりで

「ユーガットメール」をレンタル視聴し、

ヒロインが200回は読んだという「高慢と偏見」という本のタイトルを耳にした。

劇中の小道具かと思ったら

実在する本であることが分かり

それを原作とした「プライドと偏見」を観て、そこからジェインオースティンという作家の存在を知った。


続いて彼女自身をモデルにした映画が

レンタルビデオの棚にあるのに気づき

18世紀英国女性が

置かれたあの閉塞社会の中で

類まれなる感性の泉から

紡ぎ出される言葉で

小説を書き続け、独身のまま生涯を閉じた、彼女の存在に魅了される。


主演のアンハサウェイもオースティンの大ファンで、大学の卒論テーマにも選んだとのこと。

結ばれなかった(独身だった史実があるので結末は分かってる)オースティン若かりし恋が描かれている。

途中途中の恋人たちの言葉のやり取りや

見つめ合う瞳の繊細さにグッとくる。

特に終盤近く、それぞれが中年になって

再会したときの短いセリフは

聞いてるこちらも胸アツ。


ここからオースティンが残した六つの小説へと『わらしべ』は続く。


かの夏目漱石も絶賛したという

文章の美しさ。

緻密で繊細でもあり

スパッと物語を展開させる大胆さもある。

余計で無駄だと感じさせず

読んでるものの心を最後まで惹きつける。

長いのに、まだ読んでいたいと思わせる

豊かで鮮やかなオースティンの文学世界。

見事な伝統工芸品のよう。それ自体が生命を吹き込まれて生き生きしている。

当時の王太子も愛読したというから

オースティン自身も栄誉に包まれたよねと思うと、おこがましくも身内のように誇らしい気持ちになる。

200年の時を超えて

異文化、異人種もなんのその。

心にすぅーっと飛んできた。


年始に見つけた「わらしべ」は

オースティンにたどり着いた。