新しい母親と新しい家族ができて、初めのうち私は家族と殆ど出かけたことがなかった。

新しい母親が言うには、祖母の命令で、土日は能楽のお稽古の日だから、休ませるわけにはいかない。
行かせなかったら、自分が祖母に何を言われるかわからないからだそうだ。


なので、私は毎週末、祖母の家にいかなければならなかった、
父が前日に泊りで留守な日などは、母は、わざと弟に、「お姉ちゃんは、おばあちゃんちだから、うちらも遊園地に出かけようねぇ。」と言いだす。
私が羨ましがるまで、あれにのろう、こんなことしようと言い続ける。
そんなに楽しそうなとこなら、一緒に行きたいと泣きだすと、「おまえは、毎週ひとりだけ出かけていい思いしてんだろ。一緒に行きたきゃババァにてめえで言え。」と怒鳴りつけられた。



土曜日に祖母の家に行き、日曜日に家に帰宅すると、父の明け番の日(泊りの翌日、朝八時半頃で帰れる)や休暇日は、いつも真っ暗だった。
勿論、鍵なんか開いてない。
遅いときは、夜中の11時までご飯も食べられず、外で父達の帰りを待っていた。



何度もそんなことが続き、私は、どうしても遊園地に行きたいのを諦められなくて、ある時祖母に交渉した。


「たまにはお稽古をお休みしちゃだめ?」
「マイちゃん、お稽古が嫌になったの?やめる?」

何故、そんな話をしたのか、母に言われたことを話し、
祖母にせめて月に一回はお休みしたいことを伝えた。

祖母は呆れて
「マイちゃん。おばあちゃまがそんなことを言うと本当に思ってるの?」と

私は、ただ
普通の家族のように、遊園地に行きたかっただけだったのに
その許可が欲しかっただけなのに

その日、私の入学式に祖母しか来なかった理由を聞かされた。

弟と3人で遊園地に行っていたそうだ。

一年生の運動会も祖母だけだった。
その日は、動物園に行ったそうだ。

父と新しい母は、弟がいると邪魔になって、人様に迷惑かけるし、大変だから
と、

その話を聞き、あまりにも酷いと父と母へ訴えたら。
私も連れていってもらえるようになった。

でも、私が乗りたかったものは却下され
当時、苦手だったお化け屋敷やジェットコースターに乗らなければ
帰ったらボコボコにすると脅かされながら、泣く泣く乗っていた。


結局、どこへ行っても
嫌がらせを受け、いつ殴られるか、蹴り飛ばされるか、ビクビクしていた。


そして、嫁と姑のふたりの陰口を小学校二年から
聞かなければならなくなった。


この頃から、親を信じたい。信じられない。といった葛藤がはじまる。