競走馬の気性は2度変わる!? その② | 馬体診断のプロ / 元・大山ヒルズ厩舎長の【極!一口馬主】

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一口馬主になる時、避けて通れないのが馬体の見方。
G1馬を多数手がけた経験を生かして、私なりのチェックポイントをお伝えしたいと思います。

前回の続きです。

 

募集時の動画でよく見えた馬でも、

調整過程において気性面で不安が出てくることがある。

 

というのが、前回の要約です。

 

 

 

この気性面の変化には、大きな転機が2回あります。

 

 

1回目は、乗り慣らしです。

 

今まで放牧地でのびのびと暮らしていて、

人間からはとにかく可愛がられてばかりいた時期に、

突如、人間が背中に乗るようになるのです。

 

馬によっては、大きな衝撃となる場合があります。

まったく意に介さない馬も、もちろんいますが。

 

 

そのため、乗り慣らしは慎重に段階を踏んで進めていきます。

時にはモンティ・ロバーツのように、その場で乗れるようにしてしまうこともあります。

その場合でも、乗り慣らしが完了してからも、調整メニューは慎重にします。

一度嫌になってしまうと、あとあと面倒だからです。

 

調教前の準備運動で歩かせる場合も、ウォーキングマシンで済ませてしまわず、

ハミ受けを覚えさせながら人間が乗ることで、それが当たり前にしていくのです。

 

 

 

 

さて、こうしてデビューまでこぎ着けたとしても、また気性面に変化がでることがあります。

 

 

 

 

2回目は、新馬デビューです。

 

育成段階では大人しくて乗りやすかった馬が、突如として乗り難しくなることがあります。

レースを経験すると、馬の本能が目覚めるからだと思います。

この場合、血統的な要素が強いように感じます。

 

いくら環境を整えて慎重に進めても、レース一回でガラリと変わってしまいます。

 

以前、白井厩舎からデビューした芦毛の2歳牡馬がいました。

すごく乗りやすくてスピードがある馬で、武豊騎手がデビュー戦に騎乗してくれました。

残念ながら新馬勝ちはできませんでした。

その後、白井厩舎で厩務員をしていた大学時代の同期から

「武さん、二度とこの馬には乗りません、って言ってるで。どうなってんねん?」と

聞かれました。

 

不思議に思っていたのですが、放牧に帰ってきたときにその変わりっぷりに愕然としました。

あんなに乗りやすかった馬が、ムキになって走り折り合いもクソもありません。

その後、牧場でも相当乗りにくい馬になってしまいました。

 

 

この例は、少し極端かもしれませんが、程度の差はあれど起こりうることです。

 

 

 

リオンディーズも、こんな感じだと思います。

トレセンでは課題を克服して調整できても、レースではカーッとなってしまう。

自分を抑えられなくなってしまうのだと思います。

 

 

 

 

そういうわけで、一口でのリスクを減らすなら、調教が進んでから買うのがいいですね。

しかし抽選になる人気馬ではそんなの無理なので、賭けになってしまいますね。

 

自己責任で、選択しましょう。