昔々のお話

 

とある舞台に、メインキャストで出演させてもらった時のこと。

共演者の俳優に振られたのは、

2時間の間に何度も何度も着替えて、

小さな小さな役を10役くらいやるという配役。

彼は俺に、

「俺、この役で出る意味ありますかね?」

と相談してきた。

俺は答えた。

「この役やって、誰よりも輝いて評価されたらお前の一人勝ちじゃない?」

彼は見事に全ての役を全力で演じ、

たくさんの人に評価された。

 

 

最後に一緒にステージに立ったのは、

14年前の笹塚ファクトリー

プラスイズムの「オトコノコオンナノコ」

という舞台。

 

それからも彼とはいろんな場所で一緒になった。

舞台だったり、

ドラマのちょい役だったり、

オーディションだったり、

飲み会だったり・・・

苦しいこともあった。

楽しいこともあった。

 

 

そして今日、

14年ぶりに、彼と同じステージでお客さんの前に立った。

彼の名前は、森本のぶ。

今回「スポットライトを当ててくれ!」という映画の主演俳優。

今日は上映後の舞台挨拶に呼んでもらったのだ。

 

撮影現場でのエピソードを話そうと思ったんだけど、

隣を見たらのぶの顔があって、

なんだか思いが込み上げてきてしまって、

あまり映画の話が出来なかった。

ごめんなさい。

 

ちょっとネタバレになるけど、

映画の中で、

「辞める理由はたくさんあった」

というセリフが出てくる。

本当にそうなんだ。

たくさんの辞める理由の山の中から、

俺たちはホンの小さな、

辞めない理由を必死に探し出し、

今日こうやって、

こんな幸せなことが実現できたのだ。

 

あの時、あの舞台で、

あの小さな小さな役ながら、

しっかりとスポットライトに当たりに行った、森本のぶ。

あの時代があったから、

今この映画で輝いているんだなと。

 

これから先も、

なかなかスポットライトをど真ん中で当ててもらえることは多くはないかもしれない。

でもきっと、

自分を、仲間を、信じて、

辞めずに続けていれば。

きっと。

 

てことで、

「スポットライトを当ててくれ!」

舞台挨拶の様子をどうぞ!

超満席でした!感謝!!

最後は20年前に共演したメンバーで。同窓会(笑)

来てくれてありがとう!