赤城です。
皆さん、映画を見ていますか?
このブログでも過去に「この世界の片隅に」や「劇場版艦これ」の感想を書いたことがありますが、今回も私が最近見た映画の感想を少しだけ書いていこうと思います。
実はこの8月、久しぶりに2本の映画を見ました。テレビ放送やDVD化を待つのもありですが、特に注目している映画はまず劇場でしっかり見てみたいですよね!
◎メアリと魔女の花
スタジオジブリのアニメーターとして「借りぐらしのアリエッティ」「思い出のマーニー」の監督を担当した米林宏昌監督作品(2014年のジブリ制作部解体に伴い退社)です。「スタジオポノック」の長編アニメ作品第1作目にあたります。
米林監督がジブリ時代に培ったノウハウが存分に活かされた作品で、その作画から表現技法までがまさにジブリ長編の集大成のようなものでした。過去のジブリ作品を想起する表現が随所に登場し、30年かけて何度も見てきたジブリ映画を、2時間で一気に見た気分になりました。
主人公メアリ役は杉咲花さん、ピーター役はジブリ映画ですっかりお馴染みの神木隆之介さん、更にこちらもジブリ映画出演経験のある天海祐希さん、大竹しのぶさん、他には遠藤憲一さん、小日向文世さんなどそうそうたるメンバーのキャストですが、私は佐藤二朗さんが演じたフラナガンが結構ツボでした。
魔法使いっていいですよね。いいんですけど魔法使いとして一生を過ごしたいとは思わないですね。ああやって時間限定で魔法使いになれるくらいでちょうどいいのかもしれませんね。私も艦載機を飛ばすことはできますが、自分自身は飛ぶことはできません。だからきっと、空から見た世界のことは私はよく知らないし、空の上の世界なんて全く想像できません。
主人公のメアリの人間としての変化も、物語の序盤と中盤と終盤ではっきりと分かります。自分に甘えていた序盤、自分の甘えが引き起こした事態を悔やむ中盤、責任感を持ちただ一心の気持ちで立ち向かう終盤。これもまたジブリらしいのかもしれませんけれど、やはりこういう低年齢層でも分かりやすい人間ドラマは得手と言えるのでしょうね。
「メアリと魔女の花」には、スタジオジブリ作品に携わったスタッフが大勢参加しており、最後のスタッフロールには「感謝 高畑勲 宮崎駿 鈴木敏夫」とあります。所属する組織は変わっても、しっかり後押しを受けて送り出された作品なのでしょうね。
主題歌はSEKAI NO OWARIの「RAIN」物語と見事にマッチした楽曲です。またいいところで流れだすんですよ。思わずぐっと来てしまいました。
◎打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?
今月18日から公開されている、シャフト制作、新房昭之総監督のアニメ作品です。「メアリと魔女の花」を見に行った時、たまたま本編前の予告編でこの作品が流れていて「あ、これは見に行こう」と思っていた作品です。
実は私は全く知らなかったのですが、この作品は元々1993年にフジテレビで放送されたテレビドラマ作品が原作なのだそうです。脚本家岩井俊二さんがその名を世に轟かせるきっかけとなった作品で、主人公典道を山崎裕太さん、ヒロインなずなを奥菜恵さんが演じていたそうです。これをもとに、「モテキ」「SCOOP!」などを手掛けた大根仁さんが脚本した長編アニメ作品が、これになります。
主人公典道役が菅田将暉さん、ヒロインなずな役が広瀬すずさん、他にも宮野真守さん、梶裕貴さん、花澤香菜さんなど人気声優が多数出演しています。
さて、この作品は公開初日から、既に一部で「面白くなかった」という批評が出されていました。公開前にだいぶ各所で話題になっていたこともあって、その反動によるものだったのかもしれませんが、大体見られるのは、昨年社会現象を巻き起こした「君の名は。」との比較的意見でした。
実は私はまだ「君の名は。」を見たことがなく、私自身が比較することはできないのですが、「君の名は。の延長線上で見るとつまらない」という批評がいくつかありました。なので、むしろそちらを見ていない私ならばまだいけるだろうか、と思って、実際に見てみました。
結論ですが、とても面白い作品でした。
作画のみならず、物語そのものの描写が実に芸術的で、かようなアニメ作品は最近なかなかなかったのではないかと思います。
このような比喩は語弊を招くかもしれませんが、仮に「君の名は。」が「大衆文学的作品」と定義するとした場合、「打ち上げ花火~」は「純文学的作品」と定義できるのではないかと思います。
とにかく随所の表現技法が、まるで小説に書かれた文章をダイレクトに映像化したようなものになっています。あまり深入りするとネタバレになりますので言及はしませんが、これは説明を聞くよりも実際に見てみた方が分かりやすいのではないでしょうか。
物語の一番の主題は「IF」(もしも)です。「もしもあの時○○ができたら」という、過去をタラレバで振り返ることは、日常生活でも度々あることでしょう。ただ、そんなことを振り返っても二度とプレイバックすることはできません。もしそれができるとしたら……というのが、この作品の主軸となっています。
そういったものもあって、所々がSFチックな展開になっていますが、基本的には「青春劇」です。元々20年以上前の作品が原作ということもあって、やや古めかしい青春像かもしれませんが、その年代の者だとのめりこみやすいかもしれません。
典道にも、なずなにも、思わずキュンとしてしまいました。若い頃にこういう経験ができたら、きっと今のような人生とはまた違う人生を送れていたんだろうな……なんて、これもまた「IF」ですよね。
そして、劇中のいいところで、それこそ80年代を駆け抜けた世代には思わずグッとくるような『あの曲』が、なずなによって歌われます。本当にいいところで流れます。思わずウルッとしてしまったのは、ここだけの話です。
色々述べましたが、私はこういう作品も悪くないな、と、思いました。
これから秋にかけて、また様々な新作が公開を控えています。私ももし興味のある作品を見つけたら、また映画館まで足を運んでみたいと思います。水野晴郎さんではないですが、映画って本当にいいものですね。