(自作小説)丑三つの刻

 

 

 

解説

 

丑三つの刻は

ゲームのSS(スクリーンショット)を使った

中世を舞台に西洋のキングダムのような世界観で
血盟FREEDOMと、最強軍団との戦いを描いた

オリジナル小説になります。

 

ここまでにストーリーが

かなり進んでしまいましたので

その1~4を、ここに1つにまとめてみました。

 

このあとに「(その5) 反抗。。」に

進んでいただければ、

ストーリーがつながると思います。

 

 

もし、最初から読むのが面倒な方は

全部すっ飛ばして

 

ちょっと悲しい気持ちになりたい方は

(その11)刹那に抱かれて

 

バトル好きな方は

(その12)絶体絶命

飛んで頂いても、よろしいかとw

 

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(アデン地区の狩場にて)

血盟(ギルド)FREEDOMの拠点に近い狩場で、
クラン員たちが集まってモンスターの狩りをしていた。



 

「よ、シュテ、久しぶり」

 

そこへ久しぶりに顔を出したシュテルンに、

FREEDOMの盟主レイジが気づいて、声をかけた。

2年前、シュテルンは強さを求め、勇者になる夢のために、

FREEDOMを退団していた。

「少しは、強くなったんか」と、レイジが笑顔で声をかけた。

と、その時、空からヴァンパイアが降りてきて、


「わっきー殿、シュテルン殿が到着しました!」
と、FREEDOMのわっきーの前に跪いた。


その異様な光景に、和やかに談笑していたFREEDOMのクラン員たちは、
一斉に立ち上がった。



「レイジ、悪いが、くろっぴの命はもらうよ!」
シュテルンが大きな声を上げると、FREEDOMのくろっぴを

目掛けて、堂々と歩き出した。


くろっぴは、むずの妹で、クラン内では、

みんなから愛される妹のような存在であった。


「わっきー、おまえもかぁ!」
と、メテオが、くろっぴへ向かうわっきーを

身を挺して塞ぐと、剣を抜いた。




「す、・・すまん」
わっきーは、少し俯き加減にメテオと対峙した。


同じFREEDOMのクラン員同士が、一触即発の状態であった。


「シュテ、おれが振り返る前に失せろ!おまえは仲間だった筈だ」
と、レイジが背を向けた。

「あっははははw 笑わせるなよ!」

と、シュテルンは大きな声で笑いだすと、

「わたしは仲間だなんて思ったことは一度もないよ!
 ペースが違うんだよ。ちんたらしているあんたらとはさ。
 だから、FREEDOMなんていうヘタレクランは

 捨ててやったのさ!」

 

「シュテ・・ルン、」どうしたのと、くろっぴがいいかけた時に、
シュテルンがいきなり斬りかかってきた。

「やめろ!」
レイジの言葉よりも早く、シュテルンの大きな斧がくろっぴに炸裂した。

「ぎゃぁぁぁぁ・・・」
くろっぴの断末魔の声に、クラン員全員が振り返った。




【2カ月前】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

<血盟ニュルンベルグの本城にて>


血盟ニュルンベルグの奇跡の軍師、知雀明(チジャクミョウ)
城のパラス(居館)の階上にある大広間の椅子に座って、
ニュルンベルグの2人の将軍を前に、話し出した。


「うぬらが、直接FREEDOMの盟主レイジに

 手をくだすことはまからぬ。
 また、我等刺客が事を起こす事もならん。
 我軍との繋がりを悟られず、容易に奴のそばに近づける
 彼奴らの仲間を取り込んで、やらせるのじゃ」

血盟ニュルンベルグは、

すでに5つの城を落としている、常勝無敗の血盟であった。
そして、その常勝無敗の裏には、

知雀明の巧妙に練られた策略があり、
ニュルンベルグは、今までの戦いで一度も負けていないことから、

知雀明は、奇跡の軍師とも呼ばれていた。
 

しかし、知雀明は、常勝を最優先するがために、

時に1人勝手に行き過ぎるきらいがあった。
また、プライドが非常に高く、尊大で傲岸不遜、自尊心が強く、

自分に対しての軽んじた態度や冗談を嫌った。

 



「なぜに、そのような小賢しいことを・・
 FREEDOMなど、我が1千の兵だけでも

 容易に落とせましょうぞ」
と、ニュルンベルグの四天王が1人、

西の将軍・仙空惨(センクウザン)が、不満顔を向けた。

仙空惨は、重厚な甲冑を纏い、長大な槍斧を操る猛将で、
性能の高い、高額な装備を揃えることにこだわり、

時に装備に頼りすぎるきらいがあった。
将軍の身分や武功をひけらかし、命令は場当たり的で、

窮地に追い込まれることも、度々あった。

「彼奴らの周りには、ヘタレだが、侮れん盟友が多くいる。
 表立って動き、多くの敵を作ることは、愚かなことよ」
と、知雀明の言葉に、

 

 


「また、世迷言を・・・」
と、四天王が1人、北の将軍・沙羅夜(サラヤ)が首をふった。

沙羅夜は、四天王の紅一点で、人望が厚く、

姉御肌で実質的なニュルンベルグ血盟の要。
妖艶な容姿と、華奢な身体は、しなやかで屈強、
本来は大弓の名手だが、身の軽さと急所を的確につく

短剣の使い手でもあり、剣技においても実力者であった。


「あははは、沙羅夜、ヌシものらぬ顔だな。
 珍しく、今回は北の将軍とも気が合うようだ」


「仙空惨、うぬと一緒にするな」
と、沙羅夜が、仙空惨に向けていた顔を、王座へ向けると

 

「おやかたさま、我忍びの情報によると

 此奴等は、べたべたとくっついては居らないが、

 その絆は強く、FREEDOMの旗を背負った中に、

 おそらく1M、いや1Gを積んでも、

 仲間を裏切るものなどは、一人もおりませぬとのこと」

との言葉に、


「で、・・・あるか」

と、ニュルンベルグの盟主で、初代大皇帝の羅観王(ラカンオウ)が頷いた。

羅観王は、ニュルンベルグの盟主で、

王家の連なる血統を持っていた。
威厳ある佇まいに、物静かで温厚な態度。

平和で安定した国造りを目指し、家臣と領民を第一とした。

「面白い。まっこと面白い。

 ヘタレのくせに・・・愚かな奴らよ」と、仙空惨がつぶやいた。



「知雀明よ、で、策は」と、羅観王が静かに聞いた。

「すでに滞りなく、万事、事は済んでおりまする」


済んでいるだと!?

 それは、すでに寝返ったものが、居るとでも言うのか?」
と、仙空惨が声を上げた。


「万事、」
知雀明が自信ありげに答えると、沙羅夜が聞いてきた。

 

「その寝返ったものが、ヘタレでは意味がないのだぞ」


「彼奴らの中ではおそらく最強、レベルは70を越えておる」
 

「最強だと・・沙羅夜、

 お前の調べだと、FREEDOMの中の最強とはだれだ?」
と、仙空惨が顔をむけると、


「いまは城を空けている次期盟主ふぁにあが、おそらくは最強かと。
 じゃが、ふぁにあは、盟主レイジからのゼッタイの信頼を得ており、
 それを裏切るわけが・・」と、沙羅夜が答えた。



ふぁにあではない!
 それ以上の最強、最悪のものよ。
 性格も善よりは、悪に近い。して、

 レイジにも容易に近づくことが出来る」

まっ・・まさか!
 あの極悪姉妹・・、地獄の大魔王も受け入れを断る、
 白いドレスのアルピの姉、あの深紅の・・」

と、沙羅夜が知雀明へ顔を向けた。



「元FREEDOMの 深紅の悪魔シュテルン。
 強さを求めて、軟弱なFREEDOMを出た。
 褒賞として、300Mと、来月勇者にすることを

 約束したら簡単に落ちよった。
 そしてもう1人、FREEDOMの中で一番貧しく、
 最愛の息子、コゲ太に、東洋のおもちゃをやることと

 報酬1Mを約束したら、わっきーも、しぶしぶ頷きおったは」

「で、まず最初に誰を・・」

 

 

「FREEDOMの良識派は、メテオと、むず。
 そのむずの妹のくろっぴを・・・

 こやつはクランの妹として、みんなから愛されておる。
 FRREDOMの悲しみは、おそらく底知れぬものとなるだろう」
と、知雀明が答えた。

「して、FREEDOMが2つの村を焼き払った

 残虐極まりないクランというのは、真のことなんだろうな」


「御意に!」
と、知雀明の答えに、羅観王は静かに腕を組んで頷いた。


大広間は薄暗く、シーダ材の天井に、緑の大理石の床で、
壁には高価な絨毯(タペストリー)が飾られていた。
 

「そーいえば、このような場には、

 滅多に来ない龍神鬼(リュウジンキ)が居ないことは分かるが、

 なぜに東の将軍、フーカ(風華夢)まで、着ておらぬのじゃ?」
と、沙羅夜が、横にいる知雀明に顔を向けると、


「奴は、此間の七福天神城攻めの時に、城内へ駆け込んだ
 おれの精鋭たちを、その場で50人も叩き斬りやがった。
 そんなやつと一緒に戦えるか。
 それで、おれが知雀明に言って、今回はやつを外してもらった」 
と、正面に座っている仙空惨から、答えが返ってきた。

「また、戯言を。

 あれは、戦場(イクサバ)で、怯えて動けなくなった子猫を
 仙空惨の兵に、踏み潰されることから守るために
 フーカは身を挺して、飛び込んだだけであろう。
 剣を抜いていないフーカに、頭に血が上ったおまえの兵たちが
 刀を抜いて、闇雲に飛び掛って行っただけではないか。
 ただ、フーカは子猫を懐に収め、それに対処しただけであろうが!」

そんなことはどうでもいい!
 やつは、ただ長いだけの細身の剣で、
 おれの軍勢をあっという間に、叩き斬りやがったんだ。
 おれの気づくのがもっと早かったら、
 あんな細い剣は、おれの頑鉄の剣と交えただけで
 根本からポキリと折れていたであろう。
 そうであれば、やつはいまは亡きものとなっておったはwww」

「ほほほw それは無理であろう。
 ぬしはフーカが、剣を交えた音を聞いたか。

 何も聞いてはおらぬだろ。
 フーカは50人もの兵を倒すのに、一度も相手の攻撃に対して、

 剣でうけてはおらぬのだよ。
 いっくらおぬしの剣が頑丈でも、剣が交わらぬ限りは折ることは

 無理な話しよのぉ」

無理だとぉ!!!
 ・・・あはっはw そんなことはないは。

 よく見てみぃ。この鎧も、頑鉄で出来ている。
 やつの細い剣で一振りすれば、

 その場で、やつの剣の方が折れてしまうは」

沙羅夜は憐れむような顔で、一つため息をつくと
「おぬしは、どこまでもメデタイ男だねぇ~。

 だからあたいを抱くこともできないのだよ。
 あの時のおまえの精鋭たちも、

 いまのおまえと同じ、頑丈な鎧を

 しっかりと着けていたではないか」

との言葉に、仙空惨の顔から笑顔が消えた。

 

「フーカは鎧の僅かな隙を、一刺しで貫いているのだよ。
 兜や、鎧などは、フーカの前では単なる鉄屑であり、無意味なこと。
 あのとき、あたいが間に入って、おまえの兵とフーカを止めなかったら、
 陥ちた城の前で、陥ちた城の兵よりも、多くの味方の屍が山となったであろう。
 おそらく、いまのおぬしの兵は、千、いや数百となっておったは。
 で、フーカ自身も、頑強な装備などは、まったく不要。
 茶屋の団子に指してある串1本でも、フーカの戦闘力はまったく落ちない。
 それが、おぬしとの大きな違いよ。
 そして噂では、どこまでも自由で奔放なレイジとか申すものと、 
 フーカはどこか、   ・・いや、これは考えすぎか」
と、沙羅夜は、仙空惨から目をそらすと、窓の方へと目をやった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<その頃、アデンの静かな山地では>
軽装備の男の足元にじゃれている小さな子猫を見つけて、
血盟FREEDOMのくろっぴが声をかけた。



「かわいいですね。アナタの飼っている猫ですか?」



「わたしが飼っている・・

 いや、生き物はみな、自分の義で生きています。
 その運命は、人が決めるものではありません。
 猫は自分の意思で、わたしのそばを離れない。

 ・・・それだけです」と、男は静かに答えた。


「じゃあ、この子のお名前は?」
と、くろっぴは男をみて、なんて穏やかに話す人なんだろと思った。

「ははは、残念ですが、わたしは猫の言葉は分からぬ。
 だから、こいつは猫です」

「え?!名前も飼い主が、勝手に決めるものじゃないとw
 じゃあ、アナタのお名前は?」
くろっぴは、面白い人で、どこかにレイジと似ている匂いを感じていた。

「風華夢です。人はフーカと呼びます」と、答えた。

風華夢(フーカム)は、

血盟ニュルンベルグの四天王の一人で、東部将軍である。
容姿は、眉目秀麗にして、物静か。
装備は安価な細身の剣を腰に差し、

軽装で、重厚な甲冑などはつけていなかった。
決まった主を持たず、いさかいを好まないが、

真の平穏を渇望する心が、羅観王の国の平和と安定を

目指す考えに賛同して、ニュルンベルグに参加した。

「わたしは、この辺は初めてで、知り合いもおりません。
 良かったら、この辺りを少し案内してもらえませぬか」

「いいですよ。・・・そだ、知り合いが居ないのなら、
 今度、うちのクラハンにでも来ませんか。

 一緒に狩でもしましょうよ。
 だけど、うちには自由で無茶苦茶する

 やんちゃなのが1人いるので、
 それでもヨカッタラですけどねw」
と、くろっぴは、風華夢をみて鎧も剣も軽装だから、
そんなにレベルは高くないと思っていた。

「お誘いはありがたいのですが、それは・・」
「なぜですか?」

風華夢は、少し俯き加減に答えた。
「申し訳ありませんが、わたしには、友を作る勇気がありません。
 ・・・自由ですか。して、その方は、どんな方ですか?」

「どんなって、パーティの狩中は働かないで座ってるし、
 一番弱いのに、みんなをヘナチョコ呼ばわりして
 何か頼むと「だりぃ~」とか、「かったりぃ~」って言って
 なにもやってくれなくって、それでまったく人の話は聞かないし、
 それでそれで、暴言は吐くし、場の空気は読まないし・・」

「あはははw 
 つぎからつぎへと最悪ですね。それは、りっぱな役立たずだw」
と、途中で風華夢が笑い出した。

「役立たず ・・ああ、ホントだ!
 あまり考えたことが無かったけど、よーく考えてみると、
 人のためになることとか、良いことなーんにもしてないし、
 自分で装備や消耗品を買ったりしないで
 みんなに「くれ~!」って言ってもらっても、お礼一つ言わない。
 考えてみたら、なんの役にもたってない・・・」

「だけど不思議な方だ。それだけ最悪な役立たずなのに
 あなたのその方を語る言の葉の中に、まったく嶮を感じない。
 わたしはあなたのお話で、その方に会ってみたくなりました。
 して、お名前は?」

「ああ、レイジです。FREEDOMの盟主レイジ」

「え!? レ・イ・ジ ・・」
風華夢の顔から、一瞬で笑顔が消えた。

「そして、わたしはFREEDOMのくろっぴです」


「くろっぴ殿・・わたしには勇気がありません。
 どうか、・・暫くはレイジ殿には近づか・・」

「え!?」
「いえ、なんでもありません・・」
と、風華夢は、くろっぴから目を背けた。

これが、我が軍の敵。

2つの村を焼き払い、村人たちを虐殺したというクランなのか?
風華夢の中で、なにかが引っかかっていた。

 

 

《血盟ニュルンベルグの四天王》
  ◎風華夢(フーカム)  東部将軍[L76:エルフファイター系]兵数:1,600
  ◎仙空惨(センクウザン)西部将軍[L79:オークファイター系]兵数:2,000
  ◎龍神鬼(リュウジンキ)南部将軍[L83:オークファイター系]兵数:3,100
  ◎沙羅夜(サラヤ)   北部将軍[L78:ダークエルフファイター系]兵数:2,300

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー>【◎続く】

 

 

 

 

 

 

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