パチスロその⑪-《アイツ》8- | ギャンブル依存症を自覚したボクが書く日記

パチスロその⑪-《アイツ》8-

1週間程度、入院し、
完治して、やっぱり《アイツ》の家に戻り、
しばらくは元通りの生活を送っていた。


何が原因だったのか、
すでに覚えていない。
ひどく小さなことだったのだろう。
もともと、原因なんて存在することのほうが少ない。
隠し事を続けている限り、
常に導火線に火がついている状態なわけで、
それが些細なことで炎上する。
それだけのことだ。


口論になった。
互いが『なぜ?』をココロにたくさん抱いていた。
『なぜ、話してくれないんだろう』
『なぜ、真っ当に生きようとしないんだろう』
対して
『なぜ、放っといてくれないんだろう』
『なぜ、信じてくれないんだろう』


無茶な要求――。
今思えば、そう思える。
しかし、その頃はただ、
かりそめでもいいから
平穏な毎日に身を置いていたかった。
2人で、一緒にいる時くらいは。


もしかするとボクは、
《アイツ》を透過しながら、
日常の中に身を置いていると
信じ込みたかっただけなのかもしれない・・・


口論は激しさを増して、
《アイツ》がキレた。
そしてボクも、呼応するようにキレた。
《アイツ》がボクのバッグを玄関から放り投げた。
「出て行け!」という言葉がボクを刺した。
もう、終りなんだな・・・
ひどく冷静な思考が脳裏をよぎった。
そして――
右手にイヤな感触を覚えた。
《アイツ》の頬の感触。
瞬時に湧き起こる悔恨と脅え・・・
その場に倒れこんだ《アイツ》が
ぼくを睨めつけるように見つめていた。
ボクは、その視線に怯えていた。
もう、戻ることなど、できるはずがなかった。


ボクはそのまま《アイツ》の家を飛び出した。
行くアテ?
そんなものはなかった。
ボクのアパートの部屋は、
その時、すでに電気もガスも水道も、
電話もネットも、すべてのライフラインが
断ち切られていた。


いっちょ前に傷心のような感情を抱えながら
そんな真っ暗な部屋には帰りたくなかった。


夏の夜。
むせかえるような人いきれ。
吐き気がするような、孤独感。
どこに行こうか。
《アイツ》にメールを一通だけ送った。
手をあげたことに対する謝罪だけはしようと思った。
けれど、贖罪をしようなんて考えは毛頭なく・・・


仕方ない、仕方ないんだ・・・
呟くように自分に言い聞かせ、
ボクは、雀荘に足を向けた――。

(まだ、まだつづく・・・)



ちょっと、時間を飛ばしました・・・

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