とても興味深い動画です。

棋王戦①の持将棋や、朝日杯決勝戦にも関連する部分があったので、ご紹介します。

 

将棋というゲームの結論は「先手勝ち」

「AI同士のチェス対局では8-9割がドローなのに対し、将棋のAI対局では先手勝率が7-8割にも達する。」

千日手や持将棋の将棋は、"先手がミスをした"ということ。」

 

対戦相手より2手先まで読める棋士は、勝率8割

「ただしレーティングが高いほうが常に勝つわけではなく、後手がいくら強くても、先手必勝の局面に誘導されるとなすすべなく負けることもある。」

 

藤井の「"+2手"の読みの能力」は、特に圧倒的な終盤力に寄与している

「将棋は終盤に逆転しやすいゲームであり、特にその終盤において藤井の読みの速さ・深さの優位性が発揮されている。」

 

将棋棋士の強さの源泉は終盤力であり、藤井の終盤力はもともと高かった

「棋士の強さを測定する手法としてAIの指し手との一致率があるが、それで見ると藤井の終盤の指し手の正確性はデビュー当時から高かった。」

「序盤をいくら研究しても、未知の局面に対応できなければ将棋には勝てない。」

詰将棋から入った藤井は、まず終盤力を鍛えて、その後AIによって序盤・中盤力を伸ばしていったと考えられるが、それこそが強くなるための王道である。」

 

マイナー戦法が強者相手に有効なこともある

「相居飛車ベースの"強いAI"は角換わりと相掛かりに特化しており、それ以外の定跡をわりと学んでおらず、あまり定跡を持たないマイナー戦法に負けることもある。」

 

持ち時間で差をつけられると、レーティング差が縮まる

「自分が定跡を持たず、相手だけ定跡を整備している戦法だと、一方的に時間が減りまくってレーティング差で逆転されてしまうことがある。」

「藤井聡太が研究していなそうな戦法を使うか、評価値を下げる手をわざと指して、その先を自分だけがっつり研究しておく(そして藤井の時間を削る)のは、有力な手段となりうる。」

「"わからん殺し"(相手の知らない技をかけて倒す)を作戦として用いることは、チェスなどのトッププレーヤーにも見られる。」

 

定跡をより深く"知っている"ことはたしかに有利だが、そのすべてを暗記することは現実的には不可能。よって。。

。。これが必要。

「こういう形のときはこういう理屈でここが争点になる」という理解に基づいて正解を導き出せる棋士が残っていく。

 

これですよ。藤井聡太の強さの源泉は。

 

で、最後はこれ。

「これからAIはずっと強くなり続けるはずだが、"より強いAIを使うと人間もより強くなれるのか?" に関しては。。」

A. 藤井聡太の終盤力は幼少期からの詰将棋で培われており、AIは無関係

B. より強いAIに教わった方が、より正確な形勢判断力などが身につく可能性はある。

 

まずはA.

A.あってのB.。よって。。。

生まれ持っての才能と、三度の飯より詰将棋が好きであること。これを両立する子供がいれば、藤井聡太に並ぶ棋士は出てくるかもしれない。」

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現在我々が目撃している「藤井聡太劇場」は、かなりスペシャルな特別版だということがわかります。

 

稀代の天才をリアルタイムで体験できることに感謝しつつ、明日の棋王戦②での勝利を確信しながら見届けたいと思います。

 

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追加:

① 持将棋を食らったケースは、先手である自分のミスであることは藤井くんも承知の上で、二度と同じミスをしない対策を練ってくると思われます。

② 「レア戦法による時間攻め」をすべて事前に封じることは不可能。このパターンの負けは、今後もちょくちょくあると思います。

 

 

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