2109 :MEMSマイク C・Rだけのファンタム回路 実験破壊で見えた問題点 | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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MEMSマイク C・Rだけのファンタム回路 実験破壊で見えた問題点

 

MEMSマイクはこの10年、組込みマイクの世界で従来のECMにとって代わり、小口径ECMをすでに駆逐しました。

それは勢いを増してコンデンサマイク全分野に侵攻中です。

 

 筆者の場合それらをファンタム動作させるワザを学んできたのは良いのですが、「マイク回路の単純化」を考え出すとアクティブデバイスまで省略したくなるのがあたりまえでした。

 それは自然の摂理、しかし「ランダムな残留ノイズ」「音質のあっさりさ」に不満を感じつつ、ECMからMEMSマイクに移ってC・R回路でこれをファンタム動作させると、信じられないほどよく壊れる。

「劣化」などという甘いものではない、一瞬で黙るから恐ろしい。

 

 

「ちょっと待った!!」、これを見てほしい。

 

ドクロ これらはMEMSマイクをC・Rだけの簡易回路を模索しながら動作させたために破壊した残骸の数々、いいかえれば授業料である。

(「プレヒート」を踏んで一旦動作したものばかり。熱破壊ではなく、電気衝撃による破壊です)

 

(国内にはないのでUSAからの取り寄せ品、個人研究者にはやはり痛い)

 

MEMSマイクでは「高確率で壊れるのでやめるべき」という結論に達した。

 

 

 

(状況)

① C1ないしC2にケミコンを使った場合こわれやすく同一値でもフィルムコンでは壊れにくい、しかしFcを10Hz未満に設定すると当然デカくなる。

 

② R4ないしR5を省略するとさらにあっけなく昇天する。

 

③ R4ないしR5を小さくすると破壊確率は低くなるが組み込んで使っていると知らない間に破壊している。「ランダム残留ノイズ」と音質のあっさりさはECMの場合とおなじ。ファンタムをかけたままXLRの抜き差しを行うといきなり音が出なくなることが多い。

 

 

なぜだ?

 

!コンデンサ(ケミコン)の漏洩電流?

回路上のR4、R5をはずしてファンタムON・OFFすると、テスターですらほぼファンタム電圧近くまで振れるのでこれをにらんだ。

 

(ニッポンケミコンのテクニカルデータより)

https://www.chemi-con.co.jp/catalog/pdf/al-j/al-sepa-j/001-guide/al-technote-j-2020.pdf

 

 このデータの中で「漏洩電流」のカーブを見てほしい。

ケミコンのメーカー・種類により、容量により、この値は多少異なると思われるが、今回の実験結果とはぴったり付合する。

 

 

 ターミネイト抵抗(R4ないしR5)を入れた場合OUT+点の電圧を監視すると 尖頭値(Δe)

Δe=Δi・R  Δi=1.2mAと仮定すればΔe=12Vとなる。

したがって10kΩをやめ、2kΩ~3kΩにすればちょうど良さそうだが・・・

それでいいのか。

 

 

検証実験をおこないました。

実験回路(MEMS向けC・Rファンタム動作評価回路)

 
 

実験ベンチの模様  久しぶりにストレージオシロを引っ張り出した

 

SSL-2からのファンタム電圧はオープン時47V、(Zoom H6でもほぼ同じ)

左、テスター下側の残骸はこの実験最中に破壊させた3個のMEMSマイク

 

チューリップ赤 机上のオーディオインターフェース SSL2はUSBバスパワー動作をやめ、「セルフパワー」動作させると極上これ以上ないトップクラスの音質のマイクアンプとなります

ipad、iphoneでも認識・動作するのでこれは手離せません。値付けを間違っているのではないかと思うことしばしばです。

 

 

 

 

A-DおよびC-D間の波形(ファンタムONの瞬間

(1スケール5V)

 

「MEMS殺し」のスパイク電圧。

 

 

 

A~DおよびC~D間の波形(ファンタムOFFの瞬間)

(1スケール5V)

ファンタムON/OFFで確実にMEMSマイクは破壊する。

(P-P 12V、ヒゲの 尖頭値はヤバそうな波形だ)。

MEMSマイクのOUT端子(OP-AMPのOUT)からこんなのが入ってきたら、そりゃMEMSデバイスはオダブツです。

Δtが小さいほどヤバイ。

 

 R4・R5の値を小さくすれば 尖頭値は下がる、しかしそれでいいのか。

 

 

 

 

以上

 

 

 

おしらせ

fetⅡ、fetⅡi、fet3、LZⅡb  など、読者のかたからのご注文により人気機種の製作領布を承っておりますのでお問い合わせください (いまや貴重品、秋月のパナソニック WM-61Aとオリジナル・パーツで製作します)

FetⅡmems、およびProbeⅡ(Mems)マイク使用も同様にリリースしています。

 

モノ作り日本もっと元気出せ 

 

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