DCバイアスカプセルの入手に伴い、完全ノイズレスDC-DCコンバータの実験試作とカプセル適正電圧探査をおこないました。 (正弦波による完全ノイズレス、)
スイッチング電源全盛の時代にあってもまずスイッチング・ノイズがひどすぎ、コンデンサマイクの成極電源にはまったく使えません、波形が悪すぎ。
またトランス式のアナログDCーDCコンバータも今となってはファンタム電源からの持ち出し電流の大きさを考えると尻込みせざるを得ません。
腹をくくって望むのは「ノイズレス」「超低電流動作」、「出力DC電圧目標:130V」「マイク筐体の中に仕込めるモノ」。
思い浮かんだのはアナログ発振回路の基本、ハートレー回路またはコルピッツ発振回路です。
最も大切なのは所定の電圧、そしてノイズレス、そして安定性です。
されば「クラップ発振」これなら自励発振の各不安定ファクターに強く安定なことで、かつて「自作ハム」時代、VFOの製作でさんざんお世話になった事がある。
机上実験ですが、かなり良い結果がでましたので自分の記録を兼ねた記事にします。
ただし5.4mAはファンタム持ち出し電流としてはデカイ!、要改善ではあるが今回の第一目的としては十分としたい。
(回路)
1.発振回路
典型的な「クラップ発振回路」そして「コッククロフト多段整流回路」にしました。
かつてはトランス使用のブロッキング発振式またはファンタム電圧をそのまま使う方法などでした。現在はハートレー式発振回路が主流になって小型化されていますが・・・
・クラップ発振・・・コルピッツ発振回路の改良版で理論値通り動作する。電源電圧・周囲温度や構成回路のインピーダンス変化により発振周波数が影響されにくく波形もキレイな優れた高周波アナログ発振回路です。
発振周波数は125KHZとした。
2.昇圧整流回路
「コッククロフト回路」=(コッククロフト・ウォルトン回路)=粒子加速器やスタンガンにも用いられる昇圧整流回路によって成極電圧を生成することにした。
10段のコッククロフトにより簡単に134Vを得ています、段数を増やせばまだまだ上がります。
実際に最適となる電圧に近い昇圧段から成極電圧を取り出すため次の実験をおこなった。
この整流回路は単に電圧だけ高い用途に用いられ多段になるほど電流は取り出せない。
(ノイズレスDC-DCコンバータ 回路図)
このカプセルは67Vで最適値となった。
DCバイアスコンデンサマイクカプセル(34φ)
◎ 正弦波です。
欲を言えばキリがありませんが、ここまでくれば許しましょう。
周波数は125KHZ、上等でしょう。
実験の様子(カットアンドトライのバラック実験です)
(適正電圧の探査)
DCバイアスコンデンサマイクカプセルはかなり広い幅を「推奨成極電圧」として規定されている場合があります、「本当はどうなんだ」と、この探査を行うと意外にも狭い電圧範囲で適正値があることがわかります。
それはまるでカメラのフォーカスが「ピシャッ」と合ったときの感覚に似ています。
レンズの「被写界深度」によく似た電圧の許容幅のセンターで「ピピッ」と合焦したときのクリアさは別物です。
AMAZONの激安中華マイクBM700を使い、16φの内蔵カプセルをとりはずし、34φDCバイアスコンデンサ・カプセルに換装した。
ファンタムからフィードしたDC48Vを②・③からの4.7Kオームを通じてこのDC-DCコンバータに供給される。
出力される高圧DC電圧はマイクカプセルの成極(バックプレート)に加わるが、カプセルの「適正電圧」がある。
(手順)
①DCーDCコンバータの電源を切ってもケミコンに蓄えられた電圧が徐々に消えるまで音は出続ける。
② デジタルテスターでこの出力電圧を監視しながら背景音をモニターすると電圧降下中、マイク感度の上昇する電圧範囲がある。
・何回か繰り返し、感度上昇範囲をつきつめて行くと「感度」「音質」「歪率」の優れた点が見つかる、これには「マイボイス・リアルタイムモニター」がきわめて有効です。
③最良点電圧に最も近い整流出力タップを用い、カプセルへの成極電圧とする。
この次はファンタムからの持ち出し電流を1mA程度に抑え、これを組み込んだな最高度の音質を持つ魅力的なDCバイアス式(34φ)コンデンサマイクをご案内する予定です。
以上
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fetⅡ、fet(Ⅱi、fet3 、fet Vなど、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問い合わせください (希少となったWM-61Aとオリジナル・パーツで製作)
(Shinの「ファンタム式パナ改マイク」は従来通りPanasonic WM-61A使用です)
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