パナソニックWM-61Aの販売終了から1年半が経ち、オークションでは何と10倍の値段があたりまえのように付けられ、それでも売れている昨今です。
店頭販売時100円だったモノがいかに優秀なカプセルなのか、そこからすべては始まりました。
Shinの提唱する「ファンタム式パナ改マイク」はこのWM-61Aがあってこそ誕生できた高品位マイクロホンです。
fetⅡ、 fetⅡi 、 fet3 (旧 measurement fetⅡ)、fet V を中心とした機種は「手作りマイクとしては異例の「知る「知る人ぞ知る業務用コンデンサマイク」として久しくなりました。
ヒット作のfetⅡ(fetⅡi も同一デザイン)
Linkwitz-MOD(パナ改マイクロホン)の素晴らしい音をXLRコネクタ内に回路を収めたファンタム動作の業務用コンデンサマイクとして超小形で実現できないかとひねりにひねりました。
回路を変え、デバイスを変え、試作・適正化を繰り返しながら公開デモを経て実用マイクにたどり着いた、それは2010年2月22日のこと。
あれから7年「ファンタム式パナ改マイクはどんな進化を歩んできたのでしょう。
(その発想・開発から完成までの足どり)
2009.8.27 Linkwits-MOD(パナ改マイク)の試作 を皮切りに類似マイクの自作を各種おこないました。
*決定的な長所と致命的欠点を併せ持つシステムであることがわかり、きっぱりとこれと決別、致命的欠点を排除してこの優れたシステムの長所だけを活かす「ファンタム動作」を模索した。
2009.11.6 「ファンタム式パナ改マイク」を発案、第1号機完成
2010.1.16 「第2号」製作 *fetⅡデザインの原型採用
2010.1..23 「全チップ部品採用」 *作りづらさ、衝撃ノイズのひどさで断念
2010.2.1 「測定用」 *ミニTR採用、ノイトリックXLR内にECMまで収容。
2010.2.1 「第4号」製作 *ミニTR採用、10x10mm基板に密集実装で実現。
2010.2.7 「fet1」の製作 *ミニサイズFETを採用し部品点数の削減と基板実装改善。 *ピアノPA公開評価でメーカー某社高級機を超える性能を得た。
2010.2.22 「fetⅡ発表」 *伝説の手作り業務用マイクとしてロングラン7年を超える。
2010.3.1 「Measurement fet1」発表 *「測定用」をfet化、fetⅡと同一回路採用
2010.3.8 「Measurement fetⅡ=fet3」発表 *19φ85mmの業務用コンデンサマイク実現
2017.3.13 「ファンタム式パナ改マイク」って何だ? その進化を追う」 *ここまでの開発の総括記事
驚きましたよー、今まで必須だった電池箱も不安定なミニプラグからも開放され、普通に接続してファンタムを加えるだけ、「フワーッ」と背景音がきこえた瞬間、その音だけで「次元を超えた!」と歓声を上げました。
まるでそれは少年時代、鉱石ラジオから初めて音が出た感激とかわりません。
はじめての「ファンタム式パナ改マイク」はLineレベル出力でしたので使った人はかなり慌てました。
しかし飛び抜けた高音質とS/Nの良さは生まれつきのキャラクタであります。
※2017.3月、今回の記事発表後、ある放送技術者より 「ラインレベルのマイクはかつてあったが大歓迎だ、そんなマイクを探しているところもあるはずだ」 とご意見をいただきました。
ノイトリックのXLRコネクタに基板をおさめることにこだわった・・・「絶対にできる」と、信じて挑戦するしかなかった。
ワラをも掴む想いで何べんワラをつかんだ。
「出来るまであきらめるものか!」 イヤ、この常軌を逸した姿は見ないほうが・・・・
ファンタム式パナ改マイク第4号機
今までのバイポーラTRの回路からFET式に切り替えることでコンデンサ容量が1/10で済むことは小型化の援軍として歓迎するなか完成したのが「fet1」です。
これはある音響技術セミナーのなかでピアノPAに某社新発表の高級マイクが使用された。
ついでに使用されたのが「fet1」、出席者の軍配は一斉に「fet1」 に上げられたことがその後の「ファンタム式パナ改マイク」が生き生きと活躍出来る決定的なきっかけとなりました。
Shinの夢と多くの音響家の意見と期待を全面的に取り入れて初めて完成した高性能業務用ピンマイク「fetⅡ」 の試作品が完成。(2009.2.22)
はじめてカタチになったあの「fetⅡ」第1号機
この個体は公開鳴き合わせテストに使った「fet1」のコンデンサを米国「AVX」から 独「WIMA」のMKS2に変えただけのものであった。
もはやピンマイクの音ではない。
原型である形状にこだわったがずいぶん小さなものになった。
内部基板は10mmX10mmにファンタム動作差動AMPとECM電源が入っている。
「流線型マイクは音がイイ」はウソじゃなかった。
measurement fetⅡ のちに「fet3」と改称
(アイデアとバリエーション) *失敗作もあり
2010.6.13 「Direct1」の実験 *ファンタム式パナ改マイクのAMPレスモデル
2010.7.10 「WM-61A使用ファンタム式 ハイパー・カーディオイドマイク」の試作
2010.12.5 「fetⅡをさんしん(沖縄三線)用クリップオンマイクに試用して 」*楽器用コンタクトマイクを探る。
2011.1.8 「fetⅡi」 *三線用クリップオンマイクとして開発、すべての楽器コンタクトマイクとして発表
2011.4.16 「BLM fet3」ファンタム式バウンダリーマイクの試作
2011.4.30 「fet3のスタイルUP」マイクケース厚を0.5~1.5mmに大幅UP、先端形状UP
2011.11.19 「ファンタム式パナ改マイク」の回路整理・簡略化
2012.1.27 「fetⅡ」黒色化試作
2013.4.18 fet3 黒色化を高級焼付塗装、匠のワザに
2013.6.3 fet3用バウンダリー・アダプタの製作
2013.6.27 ファンタム式パナ改マイクによるプレッシャー・ゾーンマイクの実験試作
2013.8.18 定番FET 2SK30で「ファンタム式パナ改マイク」fetⅡを製作
2013.9.20 「ファンタム式パナ改マイク」 Direct Ⅱを発表
2013.12.2 :コネクタ・セパレート型ファンタム式パナ改マイクの試作
2013.11.12 あの「fetⅡ」のフロントが変わった!手作りマイクのフロントデザイン革命だ
2014.2.9 :C・Rだけの平衡出力・・・DIRECT-3の試作
2014.2.20 「ファンタム式パナ改マイクロホン」fet V (フェット・ブイ)シリーズ
2014.8.02 WM-61A相当(XCM6035)ファースト・インプレッション
2014.11.27 ファンタム式パナ改マイク(Shinさんマイク)の進化
2015.2.14 真空管(一般管)式ファンタムパナ改マイクロホン「Tube X2」前編
2015.3.4 真空管(一般管)式ファンタムパナ改マイクロホン「Tube X2」後編
2015.11.12 あのファンタム式パナ改マイクが単一指向性で登場 「fetⅡuw」
プレッシャーゾーンマイク(バウンダリー)としてのアプリケーション
三線装着を皮切りに楽器用コンタクトマイクとしてfetⅡi が誕生
沖縄のi スタジオさん、そして琉球三線にこの人あり、とご意見をもとに誕生した。
ファンタム電源をB電源、A電源の単3x4内蔵の真空管式「ファンタムパナ改」マイク。
(ギターの繊細な表現力は某ライブハウス〈福井県〉で好評中)
(ローインピーダンス出力への挑戦)
2012.5.24 「P-fet1」の試作 *P型FET採用にてローインピーダンスOUT
2012.6.28 「LZ-1」発表
2012.9.13 「LZ-1」の改善
2012.10.25 「LZ-Ⅱ」発表 *出力インピーダンス58Ωの高信頼性マイクを実現
完成したLZⅡを200m超のホール内配線を経由して試験、片側はfetⅡ。
(秋田県某ホールにて)
結果、fetⅡは100mを上限に、LZⅡ は200m超えでもビクともしない伝送能力、雑音排除能力を確認した。
かくして「ファンタム式パナ改」マイクは「Linkwits Mod」から派生したシステムではありますが進化の鍵となったのは「ファンタム電源動作」、と接続方式、これにより従来のパナ改マイクの延長線にはありえない業務用コンデンサマイク独自の進化を続けていたのです。
以上
(お知らせ)
fetⅡ、fetⅡi、fet3 、fet Vなど、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問い合わせください (希少となったWM-61Aとオリジナル・パーツで製作)
(Shinの「ファンタム式パナ改マイク」は従来通りPanasonic WM-61A使用です)
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