ECMは安物マイク・・・だなんて誰が言い出した?
じゃこれは1本35万円の安物マイクでしょうか。
どうぞ思い込みを排して目を見開いてください。
事実を受け入れてください。
これがECMの本当の姿と実力なのです。
DPA 4006A (プリポラライズド方式=ECMの呼び変えです)
フィールドコイル・ダイナミックSPに対するパーマネント・ダイナミックSPの立場と偶然にも全く同一プロセスであることは実に興味深い。
「ピュアコンデンサーマイク」=高級品
「エレクトレット・コンデンサーマイク(ECM)」=安物 という構図。
メーカーもユーザーもこの差別化をを好んで来たことが誤った認識を蔓延させてきた大元であることを反省すべきである。
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Shinは日本が誇る世界的開発方式の名誉にかけて風評的常識を完全否定します。
SONY C-38の改良研究の中で同社技術者「大久保 洋豪氏」が偶然に遭遇した現象。「カプセルの成極電圧をOFFしても音が消えない!」・・・・・
コンデンサマイクの小型化でSONYが開発したエレクトレット・コンデンサマイク(ECM)はそんなふとしたきっかけによる偶然な出来事によるものであった。
これこそがエレクトレットコンデンサマイク(ECM)の原点だったのだ。
「無線と実験(MJ)1982年3月号記事より」
C-38BとECM、両方の開発者 久保田洋豪氏がイキイキと説明している。
1919年(大正8年)日本の江口元太郎氏特許による発見「エレクトレット現象」の追認で、事実があきらかになったのでしょう。
しかし、「1962年、 Gerhard M. Sessler と James E.M. West によるエレクトレットマイクの発明(ベル研究所)」があり、「エレクトレットコンデンサマイク」としては基本特許の取得に至らず「SONYの発明」とはならなかった、そんな残念な経緯があります。
「エレクトレットコンデンサマイク(ECM)」の長所はコンデンサマイクの小型化であるが、それだけではカセットや携帯電話内臓デバイス=「簡易安物マイク」として埋没してしまいます。
★しかしチャージ電荷によって動作するコンデンサマイクであるECM の決定的優位性は意外なところにあったのです。
★Shinのコンデンサマイク「fet」シリーズ「LZ」シリーズはウソ・いつわりなく堂々とECM(エレクトレットコンデンサマイク)であります。
【従来型コンデンサマイクに対する決定的長所】
※成極電圧を桁違いに高圧化できる(数百V迄) という素晴らしい点である。
これにはごく一部のメーカーや研究者のみ着目し、たいていは「100円マイク」の認識しかない事実は残念でならない。
この「安物扱い」は誰にも歓迎されず、それならと最近は「DCバイアス型」と「ECM」との区別をせず「コンデンサマイク」と表記する製品が圧倒的に増えています。
低い成極電圧ではDCバイアス型のメリットは薄い、というよりも欠点にすらなり得る:(ファンタム電圧からの昇圧回路がある場合を除く)
(別電源によるビンテージマイクに一朝の利があるのはこのあたりです)
エレクトレット化による成極電圧の高圧化による高出力、高耐音圧、高ダイナミックレンジにこそ目を向けるべきであります。
すでに国内最有力音響測定器メーカー(O測器)ではほぼ全面的に測定マイクロホンを従来型カプセルからECM化することによって今まで届かなかった超高音圧の測定(140dB~150dB/SPL(A))を可能にしている事実すらあります。
DPA社の「プリポラライズド」とは「あらかじめ偏移された」方式、つまり「ECM」の呼び替えです、おそらく「ECM」=安物という風評被害的一般常識を忌み嫌ったのでしょう。
しかしユーザーがどう見るかは別にして「DPA社」は1992年 Brüel & Kjær(B&K)のプロ部門から独立した「プロ用ECM専業メーカー」であることだけは間違いありません。
Shure のコンデンサマイク各種はほぼECMであることを知る人は少ない
ヨーロッパ製は両方式混在だが実際にお調べください、
「xxxx Cirquit diagram」xxxxには機種名などを入れると余計なものも多く表示されますが高確率で目的の回路図が見つかり正体が判明します。
ただしAKG「C451EB」はいくらでも出るが「C-451B」だけは絶対に何もヒットしないです。
この場合、C-451BのカプセルはC-451EBの「CK-1」ではなく別物である、と断定。後年現物を分解テストして判明したことがある。(下記)
(後年追記)
AKG の場合 (後年筆者の確認事項)
AKGの定番、 C-451Bの搭載のカプセルをはずして、安物ECMの代表、ベリンガーC-2のカプセルと交換した。
なんとこの状態で完全に正常に動作するではないか、出力レベルも音質も問題なし。つまり完全に「ECM」=「成極電圧無供給動作」のカプセルであることが確認できたわけである。
つまりAKG C-451BはECM(エレクトレットコンデンサーマイク)である。
AKG C-480Bの「CK-61ULS」カプセルをはずして、安物ECMの代表、
ベリンガーC-2のカプセルと交換した。
この状態では一応音は出るもののC-2のレベルよりかなり低い、つまりこれはECMとのハーフであろうことを意味します。
追記:2021年10月18日 Shin
なぜ半世紀近く「ECM」は「下層マイク」の代表としてコンデンサマイクの貴賤の中にあったのか。
発明1年後、画期的コンデンサマイクである「エレクトレットコンデンサマイク」を何と、カセットレコーダに組み込んだSONYのTC-1060が発売されました。(1968年12月)
私は発売日にお店にダッシュして「月賦」で買いました。
いままでダイナミックマイクの音しか意識的に聴いた事のなかった自分はこのワイドレンジな録再音と外部マイクのいらない使い勝手の良さとその感度の良さにはすっかり感動した。
当時アマチュア無線でマイク出力を使い50MHZで交信を試みたところ市の広報飛行機が空から流すアナウンスまではっきり聴こえる、というレポートであった。
ECM-19B 1969年5,800円、(すでに半世紀近く経過、所有の19Bのチャージ電荷は抜け切った)
世界初のエレクトレット・コンデンサマイクロホン ECM-19B、これは「飛ぶように売れた駄作」でした。
TC-1160の興奮も束の間、翌年ソロバン玉のようなツラ構えの世界で最初の単体ECM、ECM-19Bが出たが低域不足の音、単一指向性に挑んだからたまらない、完成度の低い音響設計でテレコ内臓マイクよりはるかにチープな音に不満が集中した。
同時発売のECM-21は値段が2倍の12,000円、これは超ロングランを続けているECM-23シリーズの元になったほど当初から低域側にもレンジが広く完成度は高かったが大卒の初任給が2万円の時代、ステレオペアでは24,000円と、おいそれと手は出せなかった。
この換算価値はECM-19Bが65,000円位、ECM-21は135,000円程度と恐ろしく高いがこれ未満のコンデンサマイクなどどこにも存在しない時代のこと。
19Bは無指向性で、21は単一指向性、そういうライナップで良かったのだ。
生録ブームのなかECMが歓迎され普及、新製品が各社から出され百花繚乱となったがカプセルは1社か2社だったであろう、ECM-23がその中で天下を取り、プリモEMU4520が滑り込んだ。
1976年「あの高域の悪魔が憎い!」をキャッチフレーズに登場したのが「バックエレクトレット」型だ、従来の「膜エレクトレット」からバックプレートに電荷チャージさせる方式「バックエレクトレット型」に改良され構造的な差はなくなった。
ダイアフラムの質量はDCバイアス型と変わらないほどになり、同時に音質は劇的に向上した。
1977年「季刊テープサウンド」特別増刊「Recorder's Bible」広告頁
これ以降は事実上、エレクトレット型であるひけめなどないはずだが依然として安物扱いは続き、事実安価であった。
このときまでに放送では従来のまるで兵器のようなRCA BK-5からアナウンサーの襟元のECMピンマイクになり特にTV音声は良くも悪くも一変した。
もっと小さく・・・・とサンケンとNHKで開発したのがサンケンCOS-11だ。
たった4mm径の長方形ダイアフラムを持つECMは超小型ピンマイクとして守備範囲をさらに広げていった。
ECM安物論はSONYみずから生み出した。
「仏作って魂入れず」とはまさにこのことだろう。
ECMの素晴らしい可能性を一番知っていながら生み出し、販売されるマイクロホンは低次元のものがほとんど。
ユーザーはそれがECMの音だと思うにちがいない、同社によるMD録再機用のプラグインパワーの発表以来、さらに方向性は曲がってしまった。
「安物しか作らない」という最悪のシナリオを作り出した。
他社はこの本質を知っているのでこの可能性追求はパナやプリモ、ATやサンケン関連工場に移ってヨーロッパでつぎつぎに花を咲かせていった。
本家のやるきのなさは全世界にバレ、もはや誰にも相手にされなくなった。
いまコンデンサマイクは百花繚乱、
もう「エレクトレット型、ピュアコンデンサ型」と分類するはやめようではないか。
コンデンサマイクに貴賤なし。
(お知らせ)
fetⅡ、fetⅡi、fet3など、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問い合わせください (オリジナル・パーツで製作)
(Shinの「ファンタム式パナ改マイク」は従来通りPanasonic WM-61A使用です)
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