1438 :デュアルカプセル、大型サイドアドレス型単一指向性マイクロホン | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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EM-17UE(単一指向性17φ)の素性のよさゆえ、これを高品位の「サイドアドレス型」単一指向性マイクロホンとして完成させました。


特徴は2つのカプセルを使い指向性切替のできることです。

 

(音色)

モデルにしたのは国産の名機:C-38Bです。

メカニカル的に、エレキ的にA/B比較しながら同一音を求めていきました。

 

ここはShinさん十八番の「マイクロホン・チューニング術」、結果やいかに。

 

意外なる決定づけは高密度のポリ・スポンジによるソフト・レゾネータ」

この調整で手に取るように音の表情・特徴を変えることが可能です。

(ゆるいながらのピーク・ポイントは5KHZ~10KHZ付近で調整すると音の印象は激変する。

 

(周波数特性)

今回使用のカプセル2個(メーカーの個別測定データまであるのは凄い)


  (読み取りスケールは一番右です)

 

上の「1」は今回の向かって左、「2」は右に使用しました。


 

このグラフでは低域の測定が省略されているのが惜しいが素直な音のカプセルです。

特筆したいのは前後(180度)特性の優秀さ、それも一般にみられるVの字カーブではなく、このようにほぼ全帯域にわたるこのような優秀な180度比を持つ例はなかなか見かけない。

 

500HZ付近では優に30dBの180度比、つまり極めて安定したハウリングマージンのとれたカプセルであることが読み取れます。

 

この優秀なカプセルをダブルで使った、というのが今回のサイドアドレスマイクです。

 

 

 

(カプセル切替について)・・・ハウジング後ろ下にSWを設けた。

 

デュアルシングルカプセル切替え方式のメリット

 

①ハイパー・カーディオイドとカーディオイドの切替式になる。

②ハイパー・カーディオイドはフロント方向にシャープ、背面にゆるい

③この場合の単一指向性は背面感度が20~30dB低くハウリングマージンUPにきわめて有効です。

④いずれの場合も90度でしっかりと切れる特性なのがこのカプセルの特徴。

⑤双方の音質変化はほとんどなく、Dualモードで指向性がシャープになる。

 

 

【製作】

マイクハウジングは今回も「水回り用品」をおおいに使用。

 

オヨヨ「またこの路線ですか・・・はっきり言ってShinさん”変”」。

 

そういうのは全然聞こえないShinさん、使えるものは何でもつかう。

 

それよりも、サイドアドレス・マイク用のハウジングとしてやや大き目だが頑丈さもあり、ティーストレーナ(茶こし)より優れた材料だと思います。

(ステンレス・メッシュ中央のリベット金具を綺麗に外すのにコツがいる)

 

 

1.外観メッシュボディ:流しのゴミ受け

2.マイクカプセルマウンター:風呂場排水口受け皿

3.ベース部:(秋葉原 小沼電気のPhone~XLR変換アダプタ)=「fet 3用ハウジング」を加工するか、Shureのマイクホルダーを改造するか・・・・・



①メッシュ中心の金属はメッシュを傷めないようにキレイに取り外した

 

②カプセルマウント板にマイク取り付け穴をあけた

 

③金属表面は塗布剤を乗りやすくするためサンド・ペーパーで無数のキズをいれた

 

 

(メッシュボディ)

1.ハウジング部

今回、従来にないほど大型(84φ、厚み60mm)という堂々たる外観。0.6φステンレス線によるメッシュ構造は「ゴミ受け」とはいえサイドアドレス・マイクロホンとして重厚さを出し、かつ音響的にも適した構造が完成できました。

 

 

 

2.マイクカプセル取り付けマウンター部

こちらも水まわり用品・・・風呂場排水受け皿。

 

こちらの詳細は前記事 (1437 :金属面の砂打ち吸音と白化しない強力接着剤製造レシピ)

にて詳細をご案内しています。http://ameblo.jp/shin-aiai/entry-11958011676.html





砂打ち加工した風呂場排水受け皿をベース(10KHZ付近にポイントを置いたソフト・レゾネータで高域の表情を整えています。

 

 

・ マイクカプセル取り付けマウンター部は前記事で「反射防止」「デッドニング」処理について説明があります、このとき17.5φの取り付け穴2個をすでに空けています。

 

・ EM-17UEのケース(アルミ製)は浮いている為GND処理をおこなったあと、マウンターに導電塗料(Noize Hell 03)で電気的に一体化した。

 

・ 反射防止加工前でもかなり高いクオリティを見せますがこの加工を加えることによって、そしてチューニングを行うことによってECMの音とは思えないほど確実にランクアップしました。

 

(基台部)

1.外観・材料

これは2通りの試作をおこない1案を採用した。

 






 

1案:AMP部とセパレートにして基板もゆったりと、取り回しもこの方が良い。

 

 

2案:細機台の中にAMPを仕込み、ベースはXLR接続。

(結構きわどい金属加工を要した、fet3より部品点数が増加し収納が心配)

 

 

(回路)

 

(音決め)
①この場合、カプセルは左右ではなく上下に配置すべきだった。

①最終音決めはスチロールコンデンサ、レゾネータをホワイト・ノイズの波形を監視しながら、モニターヘッドホン(MDR-CD900ST)でC-38BとA/B比較で行った。

 

10cm径のパワードSP使用の為低域200HZ未満の表情はヘッドホン音を優先させた。

 

③途中途中、Voiceテスト(オンマイク、オフマイク)を繰り返しリファレンスであるC-38Bとの比較を行いながらの実験を進めた。


*ここまでで2週間ほど費やしたが手を打つことにした。バックキャビティが追加できればオフ時の低域をさらに類似させられると感じた。

 

以上

 

 

 

 

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