【マイクロホンにバッフルをつけると・・・・・】
スピーカには有るけどマイクには無いモノ・・・・
それでいいでしょうか。
70年代前半、機種名は定かでないが海外製品で(欧陽菲菲)のボーカル、「耳元でささやかれるような」実に生めかしいニュアンスで集音する軸方向マイクにはフロント部に円盤がありその形状は鮮烈に記憶している。
当時彼女、「ナメ さんこのマイク、イイ音スルヨ」と行方先生に感想を述べていた。
この時Schoepsという海外メーカーを初めて知った、おそらく「M-221」 だったはずです。
「再現させてみよう」と当時のマイクの形を思い出しながら・・・・・
fet-uⅡ (フォーリーフ 5261使用) 2本が元気に保存されているのでこれを使うことにした。
大きさは欧陽菲菲の場合とは比較にならないくらい小さいが、やってみれば何かが見えるだろう、と実験にとりかかった。
口径13.5mmに対し27mm径のバッフルを取り付けた。
(材料は真鍮製の大型「ハトメ」です)
★先端側面の穴(速度成分取り込み穴)をふさがないように
1.形状
fet-uⅡ(短小クン2号機・・・フォーリーフUEB-5261使用) での例
(単一指向性マイクロホンが対象です)
驚いたのは俄然音にガッツ・リアル感が出ることだ、まるで裸のSPユニットにバッフルを取り付けたときの変化に良く似ているという第一印象です。
ほぼ全域でブースト作用がみられたがハイエンドの表情は欧陽菲菲の場合とは違っている。
適正に動作させるにはかなりクリチカルな追い込みが必要だと感じた。
2.効果の程度
ー条件ー
ホワイトノイズをBOSS MA-12A(10cmクラスパワード・SP)に入力しSPから再生し、マイクで受け、バッフルなしのレベルに対するバッフルありのレベルを各周波数ごとにプロットした。(測定用SPシステムではない事をご了解ください)
バッフルとは 流体の移動に対する障害物の事だそうで、なるほど、
音という流体の移動に伴い回折(かいせつ)と反射が起こっているのだろう,
無条件に使えるグッズではないが、おそらくハマったときは感動モノだと推測します。
fet-uⅡ というPAには使いにくいフラットなF特のマイクをPAキャラクタのマイクに変えてしまう力を持つ。
ちなみにこれを極大にして無限大バッフルに無指向性マイクを埋め込んだバウンダリーマイクも優秀な特性を示します。
3.特徴
・ほぼ全域で2dB~5dB程度のレベル上昇が確認された。
・近接効果が増強する。
・指向性が変わり、90度未満ではブロードになる反面、ピンポイントなド真ん中ではレベルは確実に上がり、一段階クリアな音質を見せる。
・背面比は室内実験の範囲では「何かあいまいさ」があるようでうまくご報告できません。
4.各種バッフルでテスト
マイクはややオフ気味に口元を狙っている。
私の唄さんしんで曲は沖縄の「ちむがなさ節」 、口元~マイク間は約40cm。
(録音はとっていない・・・Shinさん、録音を意識しただけで必ず混乱するから)、三線は唄とのバランスをとるためやや弱めに弾いた。
モニターヘッドホン:SONY MDR-CD900ST
(結果)
何も使用せず:実にフラットなノーマルな音。
A(15φ真鍮製ハトメ)
:唄、三線ともに生き生き感が増す。子音がやや強調される。
B(40φコルクシート)
:唄、三線ともに音量が上がり好ましい。FB比(180度感度比)が下がる。
C(40φコルクシートに8個・3φの穴を設けた)
:Bよりレベルは減少するが自然感のある「ヌケ」の良さ。FB比は上昇
D(60φコルクシート)
:レベルはさらに上昇し、強い近接効果で重心の低い音。FB比は低化
E(Aの真鍮ハトメに60φステンレス板を張り付けた)
:Dよりも中域の盛り上がりが出るが子音も協調される。「ハトメ」のわずかな「ラッパ型」が高域イコライザとして動作しているようだ。FB比は低下
4.材料と工作
・15φハトメ
・コンパスカッター
・皮ポンチ(3φ)
追記)
関西のある放送局にお勤めのAさんより早速のご連絡と情報を頂きました。
Schoepsとは別にさらに、さらに昔(70数年前)のこと、
Western Erectric、(ALTEC)の633A(ダイナミック型無指向性)の指向性制御と高域補償が「バッフルによってなされている、(630型も同様)
Aさん有難うございます。
「温故知新」などと私には決して云えません。
この方向性は今なお分からない事でいっぱいです。
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