1230 :「単一指向性」 マイク自作の最重要ポイント | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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2024年追記

 

お役立ち度 ★★★★★

 

ここがカナメ「速度成分取り込み孔」は単一指向性マイクのキモだ。

 

このブログ記事がマイクロホンクラフトのいろいろな場でお役に立っているようで大変嬉しく思います。

 

そして記事をご参考にオリジナルマイクの手作りが全国津々浦々で益々盛んになり有り難い限りです。

 

3年前「マイクってこんなに面白いんですよ」と勝手に始めたブログですが・・・

 

ところで、無指向性マイクの製作はうまくいっているのに「単一指向性」を製作するといきなり音も変だ、無指向性とあまり変わらない位ハウリングしやすいけどこんなものなのか?・・・

 

こんな相談が時々寄せられます、良く状況をうかがうと肝心なポイントが押さえられないままマイク作りされている場合が殆どです。

特に「速度成分取り込み孔」については再三ご説明していますが「よくわからない」・・・とパスされたたままマイクを作られているケースが以外に多く、「富士山の九合目までたどり着きながら頂上を指すことなく終わってしまっているのと似ており、麓の樹海に迷い込んでしまったように思えてまことに残念でなりません。  

 

 

このブログ記事、1130 :甘くないぞ「単一指向性マイク」の自作 ①」も是非ご参照ください。

http://ameblo.jp/shin-aiai/entry-10953746406.html

 

 

無指向性と単一指向性の動作上の違い

(ECM、コンデンサ型を前提に説明していますが、ダイナミックマイクでも全く同じことが言えます)

 

 

これが実例ではこのようになります
ShinさんのPA工作室


ShinさんのPA工作室
速度成分取り込み孔をあけた(φ3×8) : fet-uⅠ、fet-uⅢの実例

 

1.無指向性マイク   (速度成分取り込み孔はありません)

 

2.単一指向性マイク (必ず速度成分取り込み孔があります)

この構造がない限り単一指向性ECMカプセルを使用しても「無指向性マイ

ク」として動作します、しかもチューニングされていませんからどんな音になるやら・・・・。   

クラフトマイクの実例を拝見していますと「速度取り込み孔の意味があまり理解できない・・・」というコメントや無指向性マイクと変わらない構造で作られ、「音悪~イ!、ハウリングがひどく使い物にならないヨ」と。    

 

またカプセル背面のレゾネーター(共鳴器)構造のキャンセルやチューニングもさらに重要なファクターです。  

この部分の構造によって全く別モノになってしまいますのでこれらを無視して安易に「単一指向性マイク」に手を出すと必ず失敗します。


 

あるとき業務用インターホン盤(マンション、エントランス用大型インターホン)でハウリングの為音量が上がらない」という設計上の相談を受けた。

 

試作の中を見てビックリしたのは「単一指向性ECMカプセル」がゴムスリーブを介して取り付けられていた。

 

単一指向性マイクなら前方向の音だけ拾ってハウリングから逃れられると思ったのだろうか、ECM前面は盤面から音源方向に対向しているが、裏面は金属箱

の中、これでは「単一指向性動作すらしない」オマケに速度孔側はSPコーンの裏面からバンバン出ている音が回りこんでいるのでまさにハウリングマシンだ。

これはECMカプセルを「無指向性」に変えるだけで問題の半分以上は解決した。

無指向性でなければならないのに「単一指向性カプセル」を使ったのが誤りだったのです。


このように「単一指向性マイク」に対する思い違いはあらゆる所で現実に起こっており、こうして繰り返し申し上げ続けることが少しでも役立つならば・・・と思います。

 

【用語について】

「速度成分取り込み孔」とか「ヴェロシティ・ホール」いう呼び名が正しいかというと、実は正式な名称は存在しないようで、過去半世紀の技術書からピックアップできるのは次のようにバラバラな呼び方です。

 

・速度成分を取り入れる穴

・音響位相構造・ダイアフラム背面の開口部

・背面開孔

・音波導入口(背面・側面)

・音孔

・小孔

 

名称がアヤフヤであればあるほどその技術は正確に伝わりずらいものです。

Shinさんの提唱ですが「速度成分取り込み孔」で統一するのが動作原理を表し、良いと思います。


以上




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