マナー研修を新入社員に講師をさせてみた!! | 楽しみながら、成果につながる人材教育のお話

楽しみながら、成果につながる人材教育のお話

研修プロデューサーの志村智彦が「組織の人材教育や採用」について簡単を面白おかしく説明します。また、講師やコンサルタントとして活躍きたい方にも有益なこと書いています!!

新入社員研修といえば、必ずマナー研修が入るイメージがありますよね。
社会人としてのマナーは最低限必要ということで、
どの企業もマナー講師を呼んで研修をするはずです。

でも、本当に1回のマナー研修でマナーが身につくものでしょうか。
僕の経験からいえば、ノーです。
現場で覚えていくものだからです。

例えば、お辞儀が15度、30度なんて、高級ホテルや受付でない限り、
ハイレベルにやらなければ、クレームになるというレベルでもない。
むしろ、思いが伝われば自然でいい。

僕もマナー講師の育成をしたことがあるし、
マナープログラム開発していた側だった。
でも、知識を教えるだけでは意味ないと思っている。
そんなの次の日に忘れる。

大切なのは、それをやる目的だ。
目的さえ落とし込めば、
ぎこちない所作でも、相手に真意は伝わる。

私事だが、学生時代にベンチャー企業で営業をしていて、
その時、マナー本を2冊借りて、自ら勉強した 。

それから新卒入社で受けたマナー研修は、
有名な先生がこられたが、その2冊で学んだことと同じだった。
自分が出来ていてかどうかは別として、情報としては同じだ。

だから、新入社員は、
自分たちで学ばせたら絶対吸収できるという確信があった。
プロの講師レベルにならなくてもいい。

ただ、真意が落とし込めればいい。

あとは、細かいことはOJTの先輩に教わる。

先輩がいない少人数ベンチャーだったら、自ら学ぶはずだ。
(※そういう人材でないとそもそも入社しない)

だから、僕は、「マナー研修を新入社員にやってもらう」という企画を立てた。

ある意味、実験だった。

講師も呼ばなくてもいいから、導入コストは0。

それで、現場でも自ら学ぶ体質ができるから、一挙両得。

素晴らしいアイデアだ。



人は、「教わる」から「 教える」の立場にしてなると
真剣になる。だから、圧倒的な吸収ができるんじゃないかと思った。


そんなわけで、前代未聞の

マナー講師を新入社員にやらせてみる!をやってみた。


■実際に教えないマナー研修をやってみた。

新人8名に教えないマナー研修をやってみた。
やったことは以下のとおり。

・2週間前に自分たちがマナー研修をやると伝える。

・時間は全体で1時間(質疑応答あり)受講生は先輩です。

・最低2冊までマナー本を買うように指示(本は自分で選ぶ)

・チームごとにテーマを決めた(挨拶、座席、言葉、報連相、お辞儀、名刺交換など)

・テキストも自分たちでつくる。

・発表者全員が話をすること。

・与えた時間は2週間。各自で発表するように事前学習を行う。

・発表当日は、午後からのため、午前中は最終準備の時間にあてた。


■マナー研修では得られない学習の数々。

その1:状況に応じたマナーが必要だと理解できた。

自分たちが発表するため、複数の本をよんでわかったことがあった。
それは著者によって若干アプローチが違うことだ。
それを目にして、彼らは自分たちで
TPOや状況をを読んで 変えなければいけないと思ったそうだ。

マナー研修では
「こうしなきゃいけない」という単一化思考になる可能性がある。

一方、自分たちで学んだことで
「状況に応じて、最適な方法を選択する」という考え方が学べた。

グローバル化、柔軟性が求められる時代に最高の学びだ。


その2:その行動をする目的や背景が汲み取れた

先輩からの質疑応答を入れたことで、
「その行動をする意味」まで自らを考えることができた。

「マナーは相手のためにあるもの」ということがわかってくると、
服装一つでも考え方は変わってくると学んだ。

上場企業の経営者と会うときは、セットアップのスーツがよいが、
ベンチャーIT経営者と会うときは、ビジネスカジュアルの方がいいかもしれない。
「課長、部長」と呼ぶよりも、人によっては、「さん」付けの方が
相手との距離が近づくかもしれないとか。

「ガチガチに固められた失敗しないためのマナー」ではなく、
「相手を尊重・尊敬しながら、 関係を構築するマナー」が学べたのです。

「こうすべき」ではなく、「こうしたら最善」になったのです。


その3:先輩も学ぶことががたくさんあった。

研修をしたところ、先輩も忘れていたこと、知らなかったことがたくさんあった。
特に2年目・3年目のスタッフには、改めて気づく事が多く、彼らの学びにもなった。

言葉遣いなどは、先輩もできていない部分もあり、
先輩の内省に働きかけるものがあった。

また、テーブルマナーの話をした時に、
ベテラン社員が「そんなこと知らなかったな~。」と声が漏れた。
意外に知らないことは多くあるものだ。

新人たちも一生懸命調べてきたため、さぞかし嬉しかったようだ。


その4:新人のチームワークが形成された
チームで調べて発表をしてもらった。これにより、事前の打ち合わせや発表の準備で
時間をつくることが多かったため、コミュニケーションが生まれ、関係性が一気に増した。


その5:発表したことは脳に定着した。
本で読み情報を発表するだけのスキームだが、マナー講師の行う研修会以上の
学習効果が会ったと断言できる。

学習効果を 高めるためには、 
読む < 聞く < 書く < 話す < 発表する
の順番であると言われているが、発表させたことは脳の仕組みからも断然に効果があった。


その6:やる側も見る側も楽しかった。

マナー研修を新人にやらせるという企画自体が斬新すぎて
正直どうなるかワクワクしていた。それ自体も楽しかったし、
先輩たちも面白うだといって参加してくれた。

新人はとても緊張していたが、終わった後、とても楽しかったと言っていた。
先輩たちはとにかく、承認する、楽しんで聞くをモットーに参加してもらった。

チャレンジをワクワクしながら、やらせる環境というのはとても大切だと思った。

■そんなんで、ちゃんとしたマナーは身につくのか!?

そもそもプロのマナー講師を読んでも解決するわけではない。

一番大切なのは、始めに行ったように「マナーは自ら学ぶもの」という
意識をつくていくこと。それは確実に落とし込まれたと思う。

このプログラム以降、新人が自らこういうケースはどうすればいいかを
先輩たちに聞いていけるようになった。
経営者や目の上の外部の人たちとも、目的や意図をもって関われるようになった。

そういう意味で本来の目的は達成することができたんじゃないかと思う。


■人は自ら学んだことが一番効果がある。

僕は学習効果や学習環境について勉強していたので
今回の取り組みは、なかなか「当たった」と思った。

すべて企業でも可能だと思う。
ただ、組織の中での説明や
楽しい空気感をつくるという点で
若干コツがいる。

実際にやってみたいな~と思う方は相談に乗りますので、お声がけくださいね。