フランスに来たとき、
スーツケースに入れた日本語の本は、この2冊だけ:



ヤノーホの『カフカとの対話』は、当時読み始めてたから、
カフカは、渡仏前にチェコ旅行するから、いうだけの理由。

旅立つ前の留学生にありがちやが、
「これからはフランス語漬けになんねから、
日本語の本は要らん」決意やったん。

しかしキツかったな、
日本語の活字禁断症状。

フランスで生活し始めて、
この本、何べん繰り返し読んだことか。

でも、ひと通り読んでしまうと、さすがに続けては読めんので、
日本から持ってきた品物の裏側に貼りつけたある「注意書き」とか、
そんなんまで読んだりしてた。

二、三年?して、日本人仲間から『遠い太鼓』が回ってきた。
これももう文字通り貪るように読んだね。
繰り返し、繰り返し。

今ネットで何でも読める環境から思うと、ほんま昔話。

『カフカとの対話』は、カフカを美化しすぎ、という批判もあるが、
名訳の、心にしみるカフカの言葉がちりばめられた、ええ本です。