病院にいた“おじいちゃん”のお話し・・・。
私が持病で2週間入院した時、隣のベッドにいたおじいちゃんの話だよ。
おじいちゃん、入院して半年・・・。
ずっと寝たきりらしい。
毎日昼の11時になると、おばあちゃんがやっ来る。
「どう具合は・・・?」
『ああ・・・まあまあだ・・・』
「そう明日ゆずがお見舞いに来るってさ。」
どうも娘さんがお見舞いに来るらしい。
『そうか、なあ母さんアレが食べたいな・・・』
「まだ昼前でしょ、ほんと好きだねぇ」
『のどが渇くんだよ、アレを食べると元気が出る・・・』
「はいはい、今日は何味がいい?」
『ああ、この前食べたスイカ味・・・美味かったな・・・』
「スイカ味?まだあるわよ・・・ハイ。」
『ああ、これこれ・・・』
嬉しそうにおじいちゃんは、おばあちゃんが渡した「ガリガリ君」にかぶりついた。
「ほんと好きだねぇ」
おじいちゃんは無言でガリガリ君にかぶりついている。
『ああ~・・・今は何月ね・・・?』
「もう冬ですよ・・・」
『そうかね・・・寒くてもいいから外でコレ食べたいな・・・』
「もうじき出れるわよ、早く良くならなきゃね・・・」
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あのおじいちゃん、どういう人生を送ってきたのかな?
若い頃はバリバリ働いてたのかな?
課長?部長?・・・いやいや社長だったりして・・・。
きっと、まだやりたいことがいっぱいあるんだろうな・・・。
あれから1年か・・・。
そんなことを考えながら窓から外をみた・・・。
雪がちらついていた・・・。
ふと懐かしいメロディが頭に浮かんできた・・・
The Rose - Bette Midler
ローズ~ベッド・ミドラー
"When the night has been too lonely
And the road has been too long"
あまりに孤独で 言葉にならない夜
あまりに長く 先の見えない道のり
"And you think that love is only
For the lucky and the strong"
キミは思う
運に恵まれ 力を持つ者だけが 愛を得ると
"Just remember in the winter
Far beneath the bitter snows"
少し思い出してほしい 冬の日を
厳しく積もる雪の下 奥深く
"Lies the seed that with the sun's love
in the spring becomes the rose"
そこで眠る種は 太陽の愛と共に
春の日には 薔薇の花となる
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雪かよ・・・
積もらないといいな・・・
冬は嫌だな・・・
超高齢化社会・・・・。
介護問題・・・。
少子化問題・・・・。
考えれば憂鬱になっちゃうな・・・。
でもこんな寒い冬でも、きっと何かが芽生え始めているんだろうな・・・。
そう、こんな世の中でも何かが芽生え始めているんだろうな・・・。
その種を蒔くのは私たちの役目なのかな・・・
そして、ゆっくりでも育てていくのも・・・。
きっと薔薇の花は咲くよね・・・・。
でもさ、おじいちゃん・・・・。
この寒い冬、外でガリガリ君は体に良くないよ・・・。