quoraというサイトがあって、

誰かが質問を提示して、

別の誰かが答える、というサイトのようです。

 

実は私も、知ったのは比較的最近で、

一応アカウントは作りましたが、

投稿をしたことはまだありません。

慣れるまではちょっと怖い気がするので。

 

で、たまたま見ていたら、

こんな投稿がありました。

 

本当に使える知識とは何ですか?

Dr.苫米地のここだけの話

……職場の上司をこらしめる方法

 

こちらのコメント共々読みましたが、

一応法律の理屈から言うと、

このご意見やコメントも、う~ん、

という感じです(個人的見解)。

 

ただし、こんなパワハラ上司を

かばおうという気持ちはありませんので、

もしかしたら、この投稿は

後日、アメンバー限定にして、

一般公開としてはこの投稿の

前半部分のみ抄録したものを

別途用意しようか、とも思ってます。

(今回はリブログも不可としました。)

 

(なお、これまでアメンバー記事は

ほとんどなくて、あとから

あまり検索されるのはどうかな?

というものだけアメンバー限定に

したことがあるくらいです。

 

ですので、もしアメンバー限定後に

読みたいという方は、

アメンバー申請してください。

ただ、一応、面識がある方や、

普段からブログ上でそれなりに

交流のある方限定としていますので、

お付き合いのなかった方は、

申し訳ありませんが、保留か不承認と

させて頂く場合もあります。)

 

ということで、前置きが長くなりました。

 

1 公証人役場に持って行って

 日付を押してもらい、公文書に……

 

これは、「確定日付」という制度で、

公証役場の他、法務局でも扱っています。

要は、日付の入った公的な証明印を

押してもらうだけです。

 

また、「内容証明郵便」や、

官公署の「受領日付印」等も、

確定日付の効力があります。

 

(なお、「公証人役場」

でなく「公証役場」で、

そこにいるのが「公証人」です。)

 

こちらに説明が出ています。

 

Q2. 公証人による確定日付付与の効力は、

どのようなものですか?
 

⇒ 確定日付の付与は、文書に公証人の

確定日付印を押捺することにより、

その文書の押捺の日付を確定し、

その文書がその確定日付を押捺した日に

存在することを証明するものです。

文書の成立や内容の真実性については

何ら公証するものではありません。

この点、文書の内容である法律行為等

記載された事項を公証する「公正証書」や、

文書等の署名押印等が真実になされたことを

公証する「認証」とは異なります。

 

このとおりで、この制度は、

日付だけ証明するもので、

残念ながら、中身についての

証明力は全くありません。

 

※、ただし、Q3の回答中に

こういう記載はあります。

 

内容の違法な文書、無効な法律行為を

記載した文書であることが

明らかなものは、確定日付を

付与することはできません。

 

つまり、「売春契約」「殺人契約」

みたいなものは、さすがにダメです。

しかし、「パワハラは事実」

みたいな証拠力はありません。

 

それはともかく、なんで、

こんな制度があるかというと、

私文書では日付って、なんとでも

書けます(作れます)よね。

 

もちろん、口約束されたものを、

後日文書化する場合に、

口約束の日付で文書化することや、

逆に、内々の合意はできているが、

正式合意は後日という場合に、

前もって後日の日付の書類を作っておく

みたいなことは実務で良くありますし、

これは違法ではありません。

 

ただ、後から「これ、本当は今作って、

日付を遡らせたんだろう」などと、

言われたくない場合は、この制度を使うと、

少なくとも、確定日付印を押された日には、

文書が存在していたことが、

公的に証明されるのです。

 

 

2 社長に内容証明付きで送付して……

 

内容証明について知りたい方は、

こちらのサイトをご覧ください。

 

要は、大きな郵便局で扱っていますが、

(実務上)同じ手紙を3通用意すると、

郵便局が証明文言と印を押してくれます。

(実際には郵便認証司という、

公務員資格を付与された郵便局職員が

認証印を押す扱いです。)

 

そして、1部は相手に配達され、

1部は、差出人の控えとなり、

もう1部は、差出郵便局で保管されます。

 

つまり「郵便は来たけど、そんなこと

書いてなかった/封筒内は空だった」

とは言えなくなる制度です。

 

※ なお、配達日は証明されないので、

さらに、「配達証明」をセットにして

付けるのが通例です。

 

で、これには、この3部作成の

内容文書以外は入れられないのです。

 

 

また、「字数や行数の制限」があり、

まあもしかしたら、この制限に

適合した文書で、公証役場で

確定日付をもらっている文書ならば、

確定日付印は押印の一種として、

差出を認められるかもしれませんが

(断られる可能性もあります)、

基本的には制限にかなった文書以外は

同封できないのです。

 

※ ここにも、

内容文書以外の物

(図面や返信用封筒等)を

同封することはできません。

また、為替証書や小切手等の

有価証券についても同様です。

とあります。

 

 

3 (コメント欄より)確定日付付きの

状況説明と発言メモが10枚も貯まれば、

会社はもうそれがあとからの

捏造とは言えなくなり、裁判などで

記録としての信用性が高まります。

 

⇒これも一概には言えないと思います。

たしかに、遡って作成されたものではない、

とはなりますが、しかし、上記のように

内容が真実という証明とはされません。

 

もちろん、普通のメモとか、

手帳の記載、また、

(アメブロはダメですが)

日付や本文を修正できないブログも

「それなりの」証拠力はあります。

(裁判官の自由心証主義)

 

でもまあ、一番いいのは、

暴言の録音のような気がします。

やはり上司の肉声で、

暴言を吐いているという

何よりの証拠となりますし。

 

4 (コメント)所詮ただの日付入りの

メモが公文書になると何か法的な効力が

増すのでしょうか?

 

これについて、こんな問答が続きます。

一部抄録して引用します。

 

「公証人役場で作成された公文書は、

法的に有効な証拠として使用できます。

訴訟において、上司(社長)の発言や

行動が記録された公文書は、

裁判所に提出する証拠資料として

大いに役立ちます。」

 

「何の証拠になるのですか?
例えば別の誰かが全く逆の主張

(日付入りのメモ)を公証人役場にて

同時に公文書を作成した場合、

どちらの主張が証拠になるのでしょうか?」

 

「「このやり取りがあった」という書面を

公正な第三者である公務員が

その権限に基づいて作成した文書ですから、

文書の成立について真正である

(その文書が作成名義人の意思に

基づいて作成されたものである)との

強い推定が働きます。

これを形式的証明力といいます。

その文書の真偽については別で争うとして、

一般的な私文書よりも強い意志が働きます。」

 

「何も暴言吐かれていないけど、

何度もメモを偽造して公証人役場で

日付ハンコ押してもらえたら、

上司を陥れる事が出来そうなんですが

どうなんでしょうか?」

 

このやり取りでは、

疑問を提示している側の方が正しく

申し訳ないが、

答えている側の内容は誤りです。

(確定日付と公正証書を

区別できず混同している。)

 

先程の確定日付の件で考えれば、

確定日付部分だけは公文書ですが、

それ以外の部分は私文書です。

確定日付が押されたからと言って、

全体が公文書になるわけではありません。

 

前述の日本公証人連合会のサイトの

Q2の回答の後半を再掲します。

 

文書の成立や内容の真実性については
何ら公証するものではありません。

この点、文書の内容である法律行為等
記載された事項を公証する「
公正証書」や、
文書等の署名押印等が真実になされたことを
公証する「
認証」とは異なります。

 

なお、公正証書の説明

Q1. 公正証書とは、どのようなものですか?
   

公正証書とは、私人

(個人又は会社その他の法人)からの

嘱託により、公務員である公証人が

その権限に基づいて作成する公文書のことです。
   
公文書は、文書の成立について

真正であるとの強い推定(形式的証明力)が

働きます。公証人が当事者の嘱託により

作成した文書には、公正の効力が生じ、

反証のない限り、完全な証拠力を

有しております。このように公正証書は、

極めて強力な証拠力を有しております。

 

私署証書の認証

 

Q2. 公証人の行う私署証書の

「認証」とは、何ですか?
 

⇒  私文書の成立の真正を証明するため、

私文書にされた署名(署名押印)

または記名押印(押印)が本人のもので

あることを、公証人が証明することです。
   私文書であっても、作成者の署名

(署名押印)または記名押印のないものは、

認証の対象とはなりません。

 

ということで、苫米地先生のお考え、

また、コメント欄での擁護意見は、

法的には誤りです。

 

それでは、確定日付印が

全く意味が無いか?というと、

実はそうでもないのです。

 

確定日付印の画像が出ているサイト

(こんな感じです。)

 

(公証役場)

 

 

(おまけ)

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji83.html

 

(法務局)

 

https://office-takahashi.way-nifty.com/photos/uncategorized/210115_.jpg

 

まあ、いかめしい日付表示と、

「公証人〇〇役場」とか

「〇〇法務局」とか書いてあると、

なんか、文書作成にも、この辺の

役所が関与したようにも思えませんか?

 

変な話ですが、私もたまに

遺産分割協議書」に

確定日付印をもらうことがあります。

 

ある同業者が、「そうすると銀行等の

手続がスムーズになるみたいだよ」

と言っていたのですが、

上記の知識のある人ならともかく、

そうでなければ、もしかしたら、

銀行等が勝手に誤解してくれて

いるのかもしれません。

 

まあ、700円なので、

公証役場や法務局に行くのに

支障がない方なら、やってみるのも

一方法かと思います。

 

もちろん、労基署への通報や

前述の録音等も検討される

ことをお勧めします。

 

 


司法書士 ブログランキングへ

 

にほんブログ村 士業ブログ 司法書士へ
にほんブログ村


にほんブログ村 士業ブログへ
にほんブログ村