神奈川県司法書士会には、会員用電子会議室があって、
業務のことやそれ以外のことを議論したりすることができますが、
最初は、会の相談事業についての議論だったはずが、
脱線して、「日本語は非統一なところがすごくて……」
とかいう意見が出てきました。
それで私も、脱線に便乗して下のようなことを
冗談交じりに書きました。
(多少修正しました。)
なお、この議論の前に前提の話があって、
別に、どの言語が優れているとか劣っているとか、
ヘイト的に議論しているのではありません。
どの言語にも、長所短所があると思います。
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そもそも、言語って、煩雑というか非論理的ではあ~りませんか?
英語でも不規則活用動詞なんていうのがあって、
go~went~goneもひどいですが、
be(am,are,is)~were(was)~beenなんて、もうメチャクチャです。
EU離脱するかどうかとか、TPPに加入するとかしないとかの前に、
ここまずをすっきりさせて来やがれ!
(……と○○さん(議論相手)が言っていました。)
結局こういうのは理屈抜きに覚えざるを得ないわけですけど、
実は、ラテン系言語(仏、伊、西など)はもっとすごいらしいです。
それから、英語の綴りだって、なぜnaitではなくて、nightなのか、
なぜ、Hi!とhighがあるのか(読まないghは不要だ~~~~)、
meikでなくてmakeなのか(読まないeは不要じゃ~~~~~~~)、などなど、
学ぶ側からは文句タラタラだけど、文句言っても仕方ないよね。
で、そういうのが良くないし大変だから、ということで、
エスぺラントなんていう人造言語を作った人もいて、
これなら不規則活用とか、綴り字と発音との齟齬とか、
解消できるし習得も容易なのだけど、
しかし、あまり普及しなかったわけです。
なぜかといえば、1つには、母国語が発想や思考回路、
さらには行動にまで影響を与えていて、
一度身に着けた母国語というのは、簡単には捨てられないことと、
もう1つは、文化や芸術にまで影響を与えているというか、
ある名作文学がある言語で書かれたら、本当に味わうには、
翻訳でなくてその言語で読むしかない、というわけです。
それから、エスぺランドを、世界共通語にしたいとなると、
やはり基盤は西洋言語に置かれているので、
言語は西洋言語だけじゃないだろ~~~、
という批判も出てくるわけです。
と、あれこれ申しましたが、私は語学とか歴史のような、
論理を求めるより暗記という科目が苦手でございまして、
日本語以外に読み書きできる言語というのもとくにはありませんが
(ですので、誤りがありましたら優しくご指摘ください)、
1つ言えることは、日本語の複雑さによって、
日本人の基礎的教養の高さというものが
保たれている、という話を以下します。
そもそも、高等教育を、母国語で行っているなんて言うのは、
とっても例が少ないのです。
なぜなら、学問ごとの専門用語やその論理的展開を、
その学問が発祥した以外の言語で行うことは、困難だからです。
だから、基本的には、英語か、あるいは独仏あたりで、
学ばないといけないし、
学問を取得するには、英語等の語学が
まずできないといけないし、
逆に、語学ができることが、
教養があることのステイタスにもなっていたりします。
それは、日本語でも、漢字やその熟語を一切排して、
漢字渡来以前の大和言葉だけで、
諸学問をやっていこう、と考えると、
非常な困難を覚えることで分かると思います。
ところが、日本語は、漢字と、カナとが混在していて、
特に漢字は非常に造語力があるので、明治の文明開化の時、
一生懸命明治の先人は、新しい学問用語を作って、
母国語で学べるようにしたわけです。
しかし、こういう言葉は、日本語固有ではないので、
学生の時など、とても違和感を感じたりしませんでしたか?
それは、明治の先人が飛び越えたハードルを、
私たちも、やはり飛び越えないといけないわけで、
やはり各人が、そのハードル越えを
やっていかざるを得ないということです。
また、漢字や熟語を日本語化するときに、
「~する」とか、「~的な(に)」とかすれば、
容易に動詞や形容詞(副詞)等々もできるわけで、
だから、西洋外来語も、同じ手法で取り入れられたわけです。
で、今話題の多い韓国や北朝鮮ですが、
ハングルって、日本語でいえばカナ文字なんです。
全部、カナ文字で書かれたら、日本語だって、とても読みにくいし、
漢字、監事、幹事、寛治、莞爾……みたいに、
同音異義語があるとカナだけでは区別が困難で、
元々は韓国も漢字を使っていたので、
この種の漢字熟語発祥の単語が多いわけです。
(しかも、明治以来日本人が作った専門用語の熟語も多い、
これは中国語も同じ。)
これが、専門教育上、問題となってくるわけで、
これは韓国の学者自身が指摘しています。
では、中国語のように漢字を並べるだけで、
カナを使わないのはどうかというと、
やはり読み方・区切り方がいくつか出てきたりして、
困ることもあるわけです。
(これも中国人自身がおっしゃってました。)
したがって、面倒に思える、
日本語の漢字カナ交じり文というのは、
実は学問をするにはとても良い方法なんです。
まあ、どの言語でも、意味が2通り以上取れる、
なんてことはあって、
そういう意味では「いい加減」なんですが、
でも、それを逆用して、
「洒落」「ジョーク」なんて言うお笑いや、
和歌の「枕詞」「序詞」なんていう風流なところも
出てくるわけでございます。
さらに言えば、数字も、日本語固有のものもありますが、
しかし、単純な呼称も併存しているため、
西洋言語のような、12進法や、20進法で
複雑怪奇となっていないので、
計算能力も高いし、数学専攻の高等教育を
受けていない庶民なのに、
物を買うと即座に正確にお釣りが返ってくるなんて言うのは、
外国人から見ると仰天もので、
最初は騙されていると思うらしいです。
(最近は、レジ機でお釣りを計算してしまいますけどね。)
もっとも、長所と短所は裏表で、
だから英語が苦手でもなんとかなるし、
それに、外来語をむやみに取り入れて
氾濫させることもできるわけですね。