口から食べるということ | ほっこり 知恵袋

ほっこり 知恵袋

三軒茶屋の歯医者さん 下馬デンタルクリニックのブログです。詳しくはこちら⇒http://shimouma-dentalclinic.jp/

数年前、終末期を在宅で迎えることになった患者さんが、せめて口から食べたいので、「入れ歯を作って欲しい。」と来院されました。
入れ歯が口はいると、ものが美味しく感じられて嬉しいと言われました。
口から食べることとはどういうことなのか考えてみました。
①五感を刺激する
食べ物をみて、美味しそう。➡視覚
食事を用意している音、お鍋がグズグズしている音を聞く。➡聴覚
美味しそうな匂い、風味。➡嗅覚
歯ごたえ、手掴み食べ➡触覚
舌で味わう➡味覚
②噛む(咀嚼する)、飲み込む(嚥下する)ことで、大脳を刺激する。
大脳では、感覚野から運動野に伝わり、食べるための筋肉へ指令がいく。
③内臓が目覚める
五感の刺激によって、胃や腸が動きだし、肝臓、膵臓も活動し始め、腸全体が蠕動運動する。
④唾液が出る
消化作用、抗菌作用、自浄作用、唾液のPHを中性に戻す(緩衝作用)

口から食べることは、身体の多くの機能と関わっています。人間の本能である、食欲を満たすことは、幸福感を得ることができます。
もう、その患者さんは他界してしまいましたが、最期の時を人間らしく迎えられたことで満足されたのではないでしょうか。




iPhoneからの投稿