今回から、第一クールと第二クールにまたがる形で、三部作となる新たな物語が始まります。
サブタイトルに「夜」とありますから、おそらくは夜重の秘密について紐解かれることになるのでしょう。
夜重推しの私としては、ワクワクが止まりません。
本編の視聴に入る前に、ここで本作の「甘神夜重」という人物に残されているであろう心の闇、ひいては本作そのものテーマ性について、現時点で掘り下げられたポイントをもとに、軽く整理しておこうと思います。
夜重はご存知の通り、甘神三姉妹の長女です。しかし、幼少期の記憶の描写や、いつぞやの上終の「たとえ血が繋がっていなくても」という言葉などから、作中の端々で「甘神家の本当の子ではない」可能性が色濃く示唆されています。
わかりやすく言えば「夜重は甘神ママが産んだ子ではない」可能性があるということです。
まぁ現状、仮に夜重が上終と同様に甘神家の里子や養子だったとしても、それによって夜重の見え方や立ち位置が変わる要素は、何もありません。夜重が甘神家で疎まれているわけではないですし、夜重が実の母に焦がれている様子もありません。妹達が事実を知っているかはさておき、(「三姉妹がまとめて甘神家に入ってきた」ということでなければ)妹達とも血が繋がっていないことになりますが、それが三姉妹の絆に陰を落とす要因にもなっていません。
これは「無駄な設定である」ということではなく、「夜重は(少なくとも我々の見える範囲では)今のところ自分が甘神家の実子でないことを、特に問題にしていない」というだけのことです。あくまで「今のところ」ですから、夜重にとって「とうに乗り越えた問題」でない限り、どこかできちんと向き合っておくべきことだとは思います。
周知のとおり、上終も甘神家の里子です。特に深い意味はなく、単なる物語の導線の面もあるでしょうが、里子という事実に変わりはありません。
上終もまた、三姉妹や、舞昼先生に白日、きせき園の子どもたちとは、なんの血縁関係もありませんが、本物の家族と呼んで差し支えないほど、しっかりと心を通わせています。
七話〜九話の三回にわたって語られた月神さんのエピソードでも、月神さんが「血が繋がっていないが、我が子のように想っている三姉妹」と良好な関係を築く様子が描かれました。
当時の感想記事で私は月神さんのことを「しなくてもいい遠慮をしちゃてさぁ〜」と悪く言い過ぎてしまいましたが、今考えれば、「血の繋がっていない者同士が本当に理解しあうことは、難儀なことである」という考え方が本作の根底にあるのだとしたら、月神さんの遠慮や悩みは、あながち「気にしすぎ」ということでもなかったのかな、と受け止められます。
上記のような要素から、本作のテーマのひとつが「血の繋がっていない者同士が、心から分かり合うことはできるのか」であることが推測されます。
「そんなに難しいことか?」と思う方はいるでしょうが、これを文字通りに受け取ってはなりません。
「血の繋がっていない人同士が、心を通わせて共に生きる」ケースは、里子や養子縁組のほか、「一度離婚した親が、子持ちの人と再婚して、その連れ子ときょうだいになる」みたいなギャルゲの導入のような話もまぁあるっちゃありますが、もっとメジャーなパターンがありますよね。夫婦です。
本作は、一組の男女(女性側が誰になるかはまだ決まっていませんが)が共に惹かれ合い、本物の家族になるまでの過程のエッセンスとして、「血の繋がり」という要素を用いているのですね。
であれば、「血が繋がっているのに、分かり合えない人」が作中にいると、対比として非常に面白そうですが、私にはそういう人物に心当たりがあります。
夜重の幼少期の記憶に出てきた女性です。彼女がもし「夜重の生みの母親」だとしたら、夜重にとって「血が繋がっていないのに、母のような人」である月神さんと、見事な対比になっていると思いませんか?
回想の中の女性が夜重に「あなたの未来は決まっている」と刷り込んでいたのが、彼女自身のためなのか、夜重のためなのか、はたまた別の「大いなる存在」のためなのかはわかりませんが、少なくとも夜重が「肉親なのに、(きっかけがなければ)彼女のことを思い出しもしない」という現状を見れば、そうやって刷り込みを行っていた彼女のことを夜重がどう思っているのかは、容易に想像がつきますよね。
この構図によって、夜重が他人との血の繋がりの有無を「まったく気にしていない」わけでも「何よりも最重視している」わけでもないことがきちんと示されていて、本作における夜重の決断には、簡単に予想がつかないようになっています。
余談ですが、夜重の半ば病的な放浪癖は、彼女の「自由に生きたい」という深層心理の裏返しなのかもしれませんね。
今はその放浪癖によって上終に迷惑をかけてしまっていますし、表向き謝りはしますが、根本的には改められていません。ですがそれは夜重に悪意があったり、他人を顧みないのではなく、彼女の中で「自由に生きること」は「上終に心配をかけないこと」よりも優先されるべきことだとして処理されている、というだけのことなのかも。
であれば、もしその優先順位が逆転する日が来れば、きっと彼女も素晴らしい伴侶になってくれることでしょう。
少しと言いつつ、長くなってしまいましたね。最推しの夜重ちゃんの話ということで、大目に見てください。
こちらの気も済みましたし、そろそろ本編に参りましょうか。
とある人里離れた森の中。「駐輪場入口」と書かれた古びた出入り口はありますが、その周囲には樹木が鬱蒼と生い茂っています。
そこで会話するのは、ランドセルを背負った少年と、腰掛けた和服の少女。
あっ、この和服の子、見覚えありますよ。
八話の夜重の回想に出てきた「幼少期の夜重」ですよね。
その時にも伺い知れましたが、現在のようなクルクルパー天真爛漫な子ではないようです。
少年は幼き日の夜重に「迷子になったのか?」と語り掛けます。夜重の口は動いていますが、何を言っているのかは、我々にはまったく聞こえてきません。
その少年の正体は、なんと幼き日の上終でした。
もしこのビジョンが「何かしらの力で生み出された『まやかしの記憶』」ではなく「本物の過去」であったとしたら、上終と夜重は、上終が甘神家に来る前から、何かしらの接点があったということになります。
物語の前提を揺るがす、重要な事実と言えましょう。
手を差し伸べる上終少年に応える形で、ようやく夜重の声が聞こえてきました。
「私は…」
そこで目が覚める上終。相変わらず、変な夢ばっかり見ちゃいますね。
前述のとおり、これが「事実」なのか「幻」なのかは、まだハッキリと示されてはいません。
ですが、ミソとなるのは、夢の端々に見えた、なんだか見覚えのある朱色の紐です。
今まで上終が見てきた、この紐がついている謎のビジョンは、ほとんどが「実際に起きた出来事」でした。
この紐の存在が、この夢の中のビジョンが紛れもない事実であることを示唆しているのでしょうか。
答えを知るためにも、とりあえず、視聴を進めましょう。
ある日の夜。ところは某所の居酒屋「ニューかんさい」。
実際の京都には、俗に「ニュー系列」と呼ばれる、昭和レトロな居酒屋チェーン店が実在するそうです。
その中に「ニューかんさい」という店舗はありませんが、そんな風に各地方の名前が店名に入っているのが特徴です。
お料理の写真を検索してみましたが、おほー、どれもボリューミーでおいしそう。
その店内には、上終と、その上終に寄りかかる、ベロンベロンに酔った夜重が。
未成年であるはずの上終にお酒を勧め、「間接キッスだよ?」なんて言う夜重ですが、うーん、ちょっと解釈違いです。
私の中の夜重さんは、何も考えずにグラスを共有したあと「…あれ?これって間接キッスになっちゃうんじゃない?」と気付いて目を丸くし、それに気付いた私が赤面してしまうと「えへへ、なんだか、恥ずかしいね…♪」と一緒に照れちゃう感じです。我ながら最っ高にキモいですね。
んで、なんでこんなことになっているのかというと、上終は夜重のサークルの飲み会の「ボディーガード」を頼まれたからなのでした。
依頼主は夕奈と朝姫だそうですが、二人が言うには「夜重は酔うと誰彼構わず抱きついたりするし、最悪『お持ち帰り』されてしまう可能性があるため、見守っていてほしい」ということなので、正確にはボディーガードではなく「監視役」ですね。
ここまでの夜重の様子を見ていると、妹達の懸念はごもっともですし、夜重の貞操は上終にとっても大いに関係のあることですので、断るに断れませんね。
…うーん、言うかどうか迷ったけど、言っとくか。
朝姫さん。あなたはとうに忘れているでしょうが、あなたが夜重と上終を一緒にお風呂に入れようとしたこと、私は忘れてないですからね。
上終がちょっと目を離した隙に、他のテーブルに出張し、サークル仲間とおぼしき男達のお酌を受けている夜重。
男達の口ぶりから、「夜重を酔いつぶして、お持ち帰りしよう」という魂胆が見え見えです。
大好きなお酒をしこたま飲まされて、夜重は目がトロンとするほどの酩酊状態に陥っているようです。かわいいなぁ
私は大の下戸なので、「酔いつぶれるほどお酒を飲む」という経験がないのですが、どんな感じなんですかね?
本当に「どこからか記憶がなくなって、気が付いたら、家で寝てる」みたいな感じなんですか?
そんなことを繰り返していて、怖さを感じることはないのでしょうか?
あと、お持ち帰りという行為も当然したことがないのですが、
この場には女性のサークル仲間も多数いるようですが、「女性が酔いつぶれた時は、女性が率先して介抱するべき」みたいな風潮は特にないのでしょうか。
「酔った女性の介抱を複数の男性に任せる」なんてことをしたらどんなことになるか、これまで女性と一緒にお酒を飲む経験など(会社の飲み会以外では)一度もない私でも容易に想像がつきますが、それでも周囲の女性達は「自業自得じゃん、あたしは知らねー」とそそくさと帰ってしまうものなんでしょうか。
すみません、なんか今回、本編と関係ない話ばっかりしてますね。
上終は男達の前に立ち、「俺は夜重の彼氏だ」と言い放ち、自重を迫ります。
半分以上は噓ですが、さりとて「俺はボディーガードだ」じゃ、相手もよくわかりませんもんね。
夜重もそれ(上終が自分の彼氏であること)を否定しなかったので、夜重をお持ち帰りしようとした不届き者達は、大人しく引き下がることになりました。
ここ、「一時的に恋人のフリをする」という甘酸っぱいシーンのはずなんですけど、やたらスピード感がありすぎるのと、「夜重の性格なら、たとえその気がなくても、悪ノリしちゃうわな」と想像がついてしまうので、これによって関係が進展したという感じはあんまりしなくて、なんだかビミョーです。
別にそうしろって言ってるわけじゃないですが、もしこの時の相手が夕奈だったら、顔を真っ赤にしながらも、事態の収拾のために必死に恋人のフリに徹する、かわいらしい姿が目に浮かびますね。笑えるしドキドキする、見どころの多いシーンになると思います。
上終についてサークル仲間から詳しく聞かれた夜重は、「上終は京大の医学部に通っている」ということにしてしまいます。
なんの意味があるんですかね、その嘘。「私は高校生に手を出すような女じゃない」って言いたいんでしょうか。
上終が京大医学部を目指しているから、仲間の前ではそういうことにして、鼻高々な気分にしてやりたかったのかも知れませんが、上終がなりたがっているのは「京大の医学部生」ではなく「医者」です。
しかし、夜重のサークル仲間によると、奇しくもこのサークルに本物の「京大の医学部の子」がいるそうです。
てっきり夜重が通ってる芸大の中だけのサークルかと思ってましたが、京大の子も属しているということは、他校の生徒でも入れる、いわゆる「インカレサークル」ってやつですね。
でも「なんのサークルなのか」は一切明かしてくれないんですね。
夜重が所属しているということは、運動部とかではなさそうですが、何かしらの専門的な話を一切せず、みんなこぞってお酒をかっくらっている様子を見ると、飲酒しながらの交流を楽しむ、俗に言う「飲みサー」の可能性もありますね。
ちなみにですが、「インカレの飲みサー」というと、世間一般的には不純異性交遊の代名詞です。
夜重のサークルがそういう集団だと断言するつもりはないですが、つい先ほど男性陣が夜重をお持ち帰りしようとしたことは揺るがぬ事実なので、真っ向から否定する要素もありません。
もし仮にですが、夜重のサークルが本当に「そういうサークル」だったとすると、夜重はなぜそんなサークルに身を置いているのでしょうか。
夜重がこう見えて「ヤから始まってンで終わる、四文字の人(※ヤエサンじゃないよ)」だという解釈もあるかもですが、さすがにそうは思いたくないので、私は「夜重は本当はすごく寂しがっている」説を推しておきます。
愛に飢えた子が、異性の肉体欲を愛情だと誤解して、ハメを外してしまうことは、言うほど珍しいことではありません。甘神ママの愛情は今でもちゃんと覚えているとはいえ、遠い記憶の中の愛情にすがり続けるのにも、限度というものがありますし。
夜重がお酒やサークルを拠り所にするのは、夜重の中の「寂しさ」の裏返しなのかもしれませんね。
さっきサークル仲間が言った「京大の医学部の子」というのが、近くの席でジュースを片手にたたずむ眼鏡っ子、竹田 真(たけだ まこと)です。
竹田さんは上終に挨拶するどころか、上終をギロリと一睨み。
その冷たい視線の理由は、まもなくわかります。
夜重を外に連れ出し、「なぜあんな嘘をついたんだ」と詰問する上終ですが、夜重は相変わらずのんきなご様子。
そこに現れたのは、先ほどの竹田さん。二人の様子を「マヌケすぎ」と評するとともに、夜重に水を手渡し、少し休むように言い聞かせます。
ほうほう、本作にもようやく「話が通じそうな子」が現れましたね。
しかも竹田さんは夜重の幼馴染だそうです。
夜重によると、竹田さんは夜重経由で既に甘神家の事情を把握しているとのこと。つまり上終が甘神家の婿養子候補であり、夜重を含む三姉妹の誰かと結婚することになるかもしれないことも、ちゃんと知っています。
夜重に振り回される者同士ということで親近感が湧いたのか、「よろしく」と気さくに握手を求める上終。その手を、竹田さんはパチンと振り払います。
竹田さんは、上終のことを「夜重のパートナー(候補)」とは認めていないのでした。その理由は「甘神家に居候しにきたばかりだし、夜重のことも何も知らないから」だそうです。
上終が甘神家に入ってきたばかりなのも、夜重のことを何も知らないのもその通りですが、夜重の上面だけを見て「夜重を選びたい」と言ってくる浅慮な男を追い払う気持ちには理解を示せても、「夜重が選ぼうとしている男」のことを悪く言うのは、出過ぎた真似だと思いますけどねぇ。
夜重に変な虫がつくのを嫌うのは、幼馴染として夜重を大切に想う気持ちの裏返しと見ることはできますが、その割には、ついさっき夜重にサークル仲間の男性達がお酒を飲ませていたのを、黙って見ていましたよね。
もし(竹田さんが認めていない)上終がこの場にいなかったら、いたとしてもあなたと同様にただ傍観するだけで何もしなかったら、夜重は本当に取り返しのつかないことになっていたかもしれません。
竹田さんにも何か思うところがあるのかもしれませんが、「夜重をサークル仲間にお持ち帰りさせるのはよくて、上終がそばで守るのはダメ」という思考回路は、私の直感と反します。
ちょっと話は変わるけど、竹田さんの「お前(上終)は夜重のことを何も知らない」という言葉は、解釈の仕方によっては「夜重のことを知らない奴に夜重を任せたくない」ではなく「夜重は心の中に『それを知ったら、誰も夜重と結ばれようとは考えなくなるほどの爆弾』を抱えているが、それでもいいのか?」という忠告にも聞こえて、なんか怖いなぁ。
冗談ですけど、サークル仲間との間に子どもがいるとか?いや本当に冗談ですけど。あはは。
あと細かいですが、竹田さんは上終のことを居候呼ばわりしますが、上終は正式な手続きを経て里子になっているので、上終の現在の境遇を甘神家の者が「居候」と例えることには問題がなくても、部外者が用いていい表現ではないですよ。「実子に対して後から入ってきた里子を家族として認めない」っていう思考、完全に差別じゃん。
せっかくなんで、竹田さんにもあの団子頭の自称マブダチと同じ質問をしておきましょうか。
あなた、例大祭には来てくれましたか?
来てくれたんだとしたら、「(竹田さん的に)夜重と結ばれる資格のないヤツ」のツラを拝んで、今日言ったようなことを言ってやろうという気はなかったのでしょうか。
来てくれなかったんだとしたら、神社や自宅が没収される危機の中、万感の想いを胸に例大祭に臨む夜重の雄姿を見てあげて、労ってやろうという気はなかったのでしょうか。
まぁ、出てくる人物を片っ端から疑っていくのは本当に哀しい営みなので、もう少しだけ「話が通じそうな子」と思っておきますが。
帰りの電車にて、のほほんとした会話をする上終と夜重。
夜重にはまだ酔いが多分に残っていて、言ってることが本音なのか冗談なのかがわかりづらいため、掘り下げとしての意味を見出しにくいですが、この場面で夜重の発言に一喜一憂する上終が本当に愛らしいです。
一話視聴時点では「そういう人間」とまで評した上終を今や「愛らしい」と感じられるのは、上終の変化も多分にあるでしょうが、この作品を紐解いていった中での、私自身の変化の結果なのかもしれません。
話の中では、夜重の過去や心の曇りをほのめかす発言や描写もありますが、やっぱりちょっと判然としませんね。
帰宅した上終は、見覚えのある夜重の財布が廊下の片隅に落ちているのを発見します。
上終はそれを拾い、ちょっとした出来心から、夜重の財布を物色します。一体何が入ってるんでしょうね。
「ゴム風船の入った小袋」とか「やたら包装シートがデカい、1錠だけ入った薬」とか出てきたら、おじさん泣いちゃうからね。
出てきたのは、夜重の運転免許証。
それではみなさんご唱和ください。せーのっ
どうやってとったんだ!?!?!?
冗談はさておき、せっかくテキストへのこだわりに定評のある「甘神さんちの縁結び」を視聴しているのですから、夜重の運転免許証も、もう少し細かく見てみましょうか。
誕生日は10月15日。これは公式設定で既に明らかにされている設定なので、とりあえずスルーします。
住所は「京都府」としか書かれていませんが、創作において細かく設定する必要はないので、「夜重は京都府内在住である」ことが改めて確認できれば十分です。
写真の顔つきを見るに、現在と比べて大きな変化はありません。交付日や期限が隠れているので、夜重が何歳で免許を取得したかは不明ですが、仮に18歳で取得したとしても、現在二十歳の夜重にとってはたったの2年前のことですからね。
トレードマークである母の形見の紐も、ちゃんと身に着けています。
で、私が驚いたのは、「準中型で~」という文言ですが、これはこの免許証が「準中型免許」であることを表します。
細かい話は割愛しますが、実は準中型免許には、この駄文を書いている2025年4月現在「AT限定」がありません。
現に、まぁ上記のとおりAT限定がないので自明ですが、夜重の免許証には「ATに限る」の文言も書いていませんよね。
これはつまり「夜重はMT車で教習を突破した」ということに他なりません。
甘神家がマイカーを所有している描写はまだないので、現在はペーパードライバーかも知れませんが、免許取得の際には、(AT限定でもそうですけど)ちゃんと路上教習や卒業検定をパスする必要があります。
あの夜重が全国的に見ても運転マナーがよろしくない方とされる京都の街中を、クラッチをふみふみ、シフトレバーをガッコンガッコンさせながら、軽トラみたいな準中型教習車で爆走している光景など、想像しただけでもゾッとしますね。
そして名前はもちろん…あれ?「一乗寺 澪子(いちじょうじ れいこ)」?
我々が知っている名前とは、まったく違いますね。名前はもちろん、名字にすら見覚えがありません。
これは一体どういうことなのか、上終も当然気になります。
上終は夜重の部屋を訪ねますが、ついさっきベロンベロンの状態で部屋に運び込んだはずの夜重は、忽然と消えてしまっていました。
上終の反応がギャグっぽいのでアレですが、私は夜重が「放っておくとどこかへ消えていってしまう人」という風に見えはじめました。
いや元からそうなんですけど、そのままの意味じゃなくて、なんていうか「常に大切に想っておかないと、いつだってどこかへ羽ばたいていってしまう人」といった感じです。たまごっちみたいな。
その時、別の部屋から明るい声が聞こえてきます。
声の主は夜重。とっくに就寝していた夕奈と朝姫を叩き起こし、「どこか遊びに行きたい」とダダをこねているのでした。
ついさっきまで飲みに出かけていたくせに、帰るやいなや外出を提案する夜重に対し「頼むから寝かせてくれよ」と嘆く妹達ですが、夜重は引き下がりません。
現在が何時かは描写されていませんが、「高校生や中学生が就寝している時間」であることと、さっきまで電車が動いていたことを考えると、午後11時〜翌午前1時の間くらいでしょうか。
結局、夜重が力説する夜ならではの絶景やおいしいものに釣られて折れた妹達と、彼女らだけで遊びに行かせるわけにいかない上終は、夜重の提案を呑み、こんな時間からですが、外出を企画します。
しかし彼らには、足がありません。甘神家にマイカーがないのか、夜重に運転を任せるのがヤバすぎるのかはわかりませんが、どこに行くにも、移動手段がないのでは、始まりません。
夜重はついさっきまで一緒に飲んでいた竹田さんに連絡します。
飲み会に付き合ってクタクタなのに、やっと休めると思った矢先に「遊びに行きたいから車を出して」なんて慇懃無礼なお願いをされれば、普通の人間ならばソッコーで縁を切るところですが、なんと竹田さんは二つ返事で馳せ参じます。
ああ、竹田さんの思考回路がおぼろげながらわかってきました。この人、夜重といることを楽しんでいるんだ。
夜重に変な虫がつかないように見張っているのも、夜重の未来を案じているという以上に、夜重が甲斐性のない男に嫁ぐことで「愛する夜重がいなくなってしまうこと」を怖れているのでしょう。
そう考えたら、先ほど私が感じた「お持ち帰りはよくて、上終はダメなの?」という疑問にも説明がつきます。
こんなこと考えたくもないけど、もし夜重がお持ち帰りされて、男性達と一夜限りの肉体関係を持っても、夜重は次の日には何食わぬ顔で、竹田さんのもとに戻ってきます。
しかし上終が夜重を娶ったにもかかわらず、夜重を蔑ろにした結果、夜重が「いなくなって」しまえば、竹田さんが愛した夜重は、二度と戻ってきません。
また、竹田さんが上終を夜重のパートナーとして認める条件も、これで明らかになりました。
「夜重をいなくならせない男になること」です。具体的に言えば、「何があっても常に夜重のことを第一に考え、愛してくれるのだと信じさせてくれる男になること」です。
上終に「お前は夜重のことを何も知らない」と言ったのも、「何も知らないからダメ」ではなく、「何も知らずに夜重と結ばれようとするお前を、私には信じ抜くことができない」という意味なのでした。
なんだ、めちゃくちゃいい人じゃないか、竹田さん。これからもよろしくね、まこちゃん。
そして一行は車に乗り込み、夜の街に繰り出します。
…の前に、上終は拾っていた財布を夜重に返します。
その際、「いつか二人きりで話がしたい」と、約束を取り付けます。
何も知らない夕奈と朝姫は「ふたりの関係を前に進めるための話」と思い込み、思わず赤面しますが、我々には上終が夜重と何を話したがってるのか、もうわかりますよね。
後部座席に上終、夕奈、朝姫が並んで座り、助手席には夜重が、運転席にま…竹田さんが座ります。
この時の上終と妹達、ま…竹田さんが「さすがにもう疲れたから、運転は夜重がやって」とか言い出さないか、気が気でなかったでしょうね。
あと、突然いなくなった彼らを見て、千鳥さんが腰を抜かすと思うので、せめて置き手紙くらいはしときましょうね。
一行はまず夜重おすすめの「ホタルスポット」に向かいます。
しかし夜重の期待とは裏腹に、ホタルの姿はまったく見えません。そらホタルも寝とるわい
ま…竹田さんが「もっと上流に行ってみよう」と提案すると、夜重と夕奈はそれに付いていってしまいました。
夜重は単純に「綺麗なホタルが見たい」の一心でしょうが、夕奈についてはおそらく「わざわざ来たのに、何も見れずに帰るのが癪に障る」という性分のためでしょうね。
ダメとは言いませんが、夕奈は間違いなく「狙ったキャラが出るまで、湯水のように課金してガチャを回し続ける」タイプでしょう。「出るまで回せば爆死しない」とか屁理屈をこねながら。
上終と朝姫が、その場に取り残されてしまいます。
一緒に行かなくていいのかと問う上終に、朝姫は「この歳になって、ホタルくらいではしゃぎませんよ」と苦笑い。
この時の朝姫は、別にホタルそのものとか、ホタルが好きでわざわざ見に行く人のことをバカにしているのではありません。「こんな夜更けに叩き起こして、ホタルを見に外に連れ出す人」に心底あきれているだけです。
「ならば、ここでゆっくりしよう」と、水路のほとりに腰掛け、尻ポケットから参考書を取り出す上終。
彼、どこにでも参考書を持っていくんですね。さすが京大医学部志望だけはあります。
夕奈が事あるごとに彼を「ガリ勉」と罵ってましたが、「夕奈が楽しげに話している途中で、おもむろに参考書を取り出して勉強を始める」みたいな失礼をして、夕奈をイラッとさせてたのかもしれませんね。
隣に腰掛けた朝姫が、上終に「大きい○っぱいと、小さい○っぱいは、どちらが好きか」と問います。
大きい○っぱいです!お前には聞いてねーよ
※突然のおっ○い発言に心底ビビリ散らし、とっさにバレバレの伏字を用いることになってしまいました。
当方は吹けば飛ぶような零細ブログに過ぎませんので、過激な表現をそのまま用いた結果、運営様の怒りを買い、万が一本記事やこのブログそのものが消し飛ぶようなことがあっては、これまで何十時間とかけて感想記事を書いてきた過去の自分に申し訳が立ちません。
若干読みづらくなってしまいますが、しばしの間、ご堪忍くださいませ。
「過激な表現なんて、この感想記事シリーズには既に腐るほどあるでしょ」と思ったあなた、よく見てますね。
さっきの朝姫の質問、ストレートに言えば「私と夜重、どっちが好き?」って聞いてるんですよね。
しかも○っぱいというのは、ケツと並んで、俗に言う「チョメチョメアピール」の代表格とも言える部位ですよね。
反論もあるでしょうが、男性が女性に「君の○っぱいが好き」と宣言することは、忌憚なく言えば「君を抱きたい」と同義です。
例えば、朝姫が普通に「私と夜重、どっちが好き?」と聞いていたら、たとえ上終が「朝姫だよ」と答えたとしても、それは「一緒にいると楽しい」とか「妹みたいでかわいい」みたいな意味かも知れません。朝姫にとって、今はそんなことは聞いていませんし、むしろ「どういう意味の『好き』なんだろう…?」って、余計に悩むだけです。
ですが「君の○っぱいが好き」と言わせれば、それは「君とスケベしたい」「君のすべてを自分のものにしたい」「君と愛し合いたい」といった意味に直結され、他の解釈は全て潰せます。
賢いなぁ、この子。お風呂の件はまだ忘れてないけどね。
あと、以前私が「朝姫は本心を隠す時、お色気な言動をとる癖がある」と指摘しましたが、まさしくこういうことです。
冗談交じりに「○っぱい」の話に置き換えることで、朝姫なりに打ち明けやすい内容に仕上げた、というわけです。
私は九話の感想記事で「誰かが何か喋るたびに、何行も感想を書かないといけないから、視聴が進まない」と嘆きましたが、今回も完全にそれと同じ状態に陥っています。
ですが「何行も感想を書かないといけない」理由は、当時と違って、本話が「実に考察のしがいがある物語だから」なので、とても楽しんで書き進めることができています。
これは長い戦いになりますよぉ。
先ほどの質問について、上終には「別にどっちとかいうのはない」とかわされてしまった朝姫。
朝姫は続けて「髪の長さ」に置き換えて聞きますが、髪型は割と気軽に変えられますし、それはちょっと苦しいですねぇ。
やがて朝姫は心の中で「素直に気持ちを聞けばいいのに、何やってるんだろ」と自己嫌悪に陥ってしまいます。
朝姫の思案は、「やっぱり私は夜重には敵わない」という悩みにまで飛び火します。
三姉妹が何かを競っている様子はなかったですし、このような思考の朝姫が露呈したのは今回が初めてなので、ちょっと意外でしたね。
今のところの甘神三姉妹は違いますが、「妹が好きになった男の子を、姉が全部取っちゃう」みたいな姉妹、ありますもんね。
しかも、夜重はそれを無意識に、そして何の苦労もなしにやってしまいそうな姉です。むしろ夜重にはその気が一切なくても、男の子側が勝手に鞍替えしてしまいそうな、魅力的なお姉ちゃんです。
上終との会話の中で、朝姫は夜重を「ホタル」に例えます。
とても美しくて、周囲の心をたちまち掴んでしまう、そんな存在であることの表現です。
まぁ、夜重を貶める意図はありませんが、私に言わせれば「誘蛾灯」ですかね。
直後、ホタルを見つけた朝姫が声をあげますが、残念ながら水面に映った月明かりの見間違いでした。
自己嫌悪しながら上終のそばにいることに対する気まずさもあって、「ホタル(夜重のことではなく、マジモンのホタルのこと)を見てくる」とその場を後にしようとする朝姫ですが、「俺はこっちの景色も好きだけどな」と上終に止められ、つい顔を赤らめます。
比喩表現として、「ホタル」が夜重なら、「こっちの景色」は朝姫です。上終にその気があってかはわかりませんが、この言葉は朝姫にとって「上終は朝姫といることを選んだ」という風に受け止められますよね。
前述のとおり「上終の気持ちを、齟齬なく確認する」ために工夫を凝らした朝姫でしたが、結局はどちらとも読み取れる微妙な言動に揺り動かされ、翻弄されてしまうのでした。
切ないなぁ。「私が好きな相手は、私のことをどう思っているんだろう」って、気になってしょうがないよね。恋愛って、こういうもんだったよね。
上流のほうから戻ってきたホタル達。どうやら三人はちゃんと本物のホタルに出会えたそうです。
朝姫も一緒に見ようと誘われますが、睡魔が限界に達した朝姫は上終の肩を借りて、眠ってしまいます。
しかし朝姫は、本当に眠ってしまったわけではありません。
目をうるませながら、「なんでこんなことしているんだろう」と心の中でつぶやきます。
嫌いと言われたわけでも、そばにいられないわけでもないのに、なぜか涙が出ちゃう。だって女の子だもん。
いやぁ、本当に思い知らされました。原作者・内藤マーシー先生の恋愛描写は天下一品です。まさしく日本の宝です。
断じてお世辞じゃありません。「ラブコメなんて、出会って、イチャイチャして、なんかの問題を乗り越えて、くっつくだけじゃろ」みたいに思っていた私は、ここの朝姫の描写を見て、まさしく雷に打たれたような衝撃を受けました。
今後も恋愛描写はどんどん行われていくでしょうから、さらに期待が持てますね。
その後一行が向かったのは、某所のコンビニ。次はここで酒とつまみを買ってから買い食いして楽しむそうです。
どうやら三姉妹にとってコンビニは「近くて便利なお店」ではなく「購買意欲を満たすための場所」のようですねぇ。
なんか、田舎モンの考え方ですね。甘神家の近所には、十話で三姉妹が人だかりに囲まれたところのような繁華街もちゃんとあるようですが、あまり栄えたところではないのかな。
ちなみに私の自宅から最寄りのコンビニまで歩いて片道20分です。田舎モンで悪かったな。
みなさん、朗報です。なんと太っ腹まこちゃんが全員おごってくれるそうです。(ただし上終は除く)
たぶん、普段から夜重にあれこれおごっているというよりも、夜重の妹達がいるから、気を遣ったのでしょう。さすが幼馴染はダテじゃないようですね。例大祭には来なかったけど。
おごりと聞いて、心を躍らせる夜重と朝姫。しかし、夕奈だけは遠慮してしまいます。
遠慮は甘神家のお家芸なのはご存知のとおりですが、ここまでしてくれる太っ腹まこちゃんにすら遠慮してしまうとは、夕奈だけはもはや病的ですね。
上終も「遠慮しすぎると却って失礼だよ」とまっとうな意見を述べますが、
夕奈は余計に色々と考え込んでしまい、しまいには「落ち込みモード」に突入してしまいます。また乳揉んでやれば?
夕奈は「竹田さんの財布にダメージを与えず、それでいて竹田さんに気を遣わせない、絶妙なところを攻めよう」と変な思考を巡らせ、買ってもらうものを吟味します。
完全に小ネタですが、もしかしたら作中の税込み価格表示が小数点以下まで表示されていることに驚いた方がいるかも知れませんが、これは某大手コンビニチェーンにおいて「消費税は各商品にそれぞれかける形態であるにも関わらず、小数点以下を表示していなかったところ、税込み100円の商品が内部的には100.4円とかになっていて、3つ買うとなぜか301円請求された」みたいなトラブル…というかイザコザがあったためだそうです。
ふと甘神ママの記憶が頭をよぎった夕奈は、「ワガママだけはダメだ」という言葉をつぶやきます。
早くも、いやこれまでの甘神三姉妹の「ひかえめ(A↓C↑)」っぷりを見ていたら「ようやく」なのかもしれませんが、夕奈をはじめとする三姉妹が「やたらと遠慮する理由」が垣間見えましたね。
彼女は時として、他人を頼ったり、厚意に甘えることを「ワガママ」と捉えることがあるようです。
夜重や朝姫については、今現在太っ腹まこちゃんのお金で豪遊しているのを見ると、九話の月神さんの一件で「過度に遠慮しなくてもいい」ことをちゃんと学び、行動に移せているようです。
上終は夜重に「お前はもうちょっと遠慮しろ」とギャグテイストで突っ込んでいたけど、太っ腹まこちゃんはこの世界の住人にしておくにはあまりにも惜しいほどの聖人なので、僕はいいと思いますよ。
うーん、夕奈はなんでまだ他人に遠慮してるんですかねぇ。
性格と言ってしまえばそれまでなんですが、上終の「相手の気持ちがわからなくても、まず踏み込むことが大事」という言葉は、別に月神さんに対してだけの話ではなかったはずです。
上終はちゃんと「誰に対しても、その姿勢で行けばいいんだよ」というニュアンスで諭していたはずですよ。
それでも余計な遠慮を繰り返しているってことは、「夕奈はあの経験から、なんにも学んでなかった」ってことになりますけど、合ってますでしょうか。
やっぱりこの子、GFジャンクションしてんのかなぁ。まぁ夕奈はバラムガーデンの生徒ですから、きっとそうでしょうね。
結局夕奈はしょぼいミネラルウォーターみたいなのを一本だけ買ってもらって、店から出てきました。
これ多分、プライベートブランドのやっすーーーーーいやつですよね。
どっかの公園にでも行って蛇口をひねれば出てくるレベルの水を、すぐクシャクシャになる薄いペットボトルに詰めて、80円くらいの値札を貼って売ってるやつ。
精算してくれた店員さんに「いい歳こいて、もうちょっといいもん買えないの?」と言わんばかりに白い目で見られるやつ。
その夕奈を見て、「それだけでいいのか?」と声をかける上終。
アイスをほおばる上終の目前には、大量のアイスが入った袋が。
夕奈は「どんだけご馳走になってるんだ!」とツッコミを入れますが、上終は先ほどけちんぼまこちゃんに「だが上終、テメーはダメだ」と宣言されているので、どうやら自腹で買ってますね、これ。
上終は少し顔を赤らめながら、夕奈に「さすがに買いすぎたから、食べるのを手伝ってくれ」と言い、遠回しに誘います。
ここ普通に「一緒に食べようぜ」でもいい気がしますが、それだと夕奈が遠慮するからってことでしょうか。
だったら、過去に夕奈が「上終に大変な家事を押し付け、追い出そうとした」ことなどからもわかるとおり、夕奈は上終には全然遠慮なんかしていないので、「これ全部俺が買ったから、竹田さんは関係ないよ」とか言えばいいだけなんですけどね。
日本語の文法的に表現が難しいですが、「相手に気を遣わせないように遠慮する人」と「相手が遠慮しないように気を遣う人」って、わりかし同類だと思うなぁ。
上終の対応の是非はともかく、上終の狙い通り、夕奈は「しょうがないなぁ」とアイスをぱくり。
その幸せそうな顔を見て、上終も追わず頬が緩みます。それに気付いた夕奈も赤面し、いつもの調子で取り繕いました。
公衆の面前でイチャつく上終と夕奈を、「お熱いですなぁ」みたいな顔で遠巻きに見つめる夜重と朝姫。けちんぼまこちゃんもいますが、眼鏡に光が反射して、表情は読み取れません。
えっと、ちょっと気になったんですが、朝姫って「夜重に上終を取られるのが怖い」んじゃなかったでしたっけ。
夕奈がイチャついているのを見て、なんとも思わないどころか、ほほえましく見ているというのは、いささか異様に映ります。
朝姫ったら、夕奈のこと「上終争奪戦において、こいつはうちの足元にも及ばんな」って侮ってますね?
こっそり教えときますが、とっくの昔に乳揉まれてますよ、この「中くらいの○っぱい」。
このあと結局三姉妹ともソフトクリームをしゃぶっているので、夕奈もちゃんと太っ腹まこちゃんにおねだりできたみたいですね。知らんけど。
ちなみに、この時夕奈と朝姫はチョコレート味のソフトクリームを食べていますが、夜重だけは純白のミルクがそそり立つバニラ味になってます。
…いえ、しょうもないことを言おうとしましたが、やめただけです。
その後、まこちゃん…いや、もうやめるか。竹田さんと二人になった上終は、藪から棒に「一乗寺 澪子」の名前を出し、竹田さんの様子を伺います。
竹田さんは、その名前に確かな反応を示しました。竹田さんも夜重の本当の名前のことは、ちゃんと知っていたようですね。
いままで書くのを省いていましたが、竹田さんは「夜重と上終を二人きりにしない」ような行動をとっていました。
それは、出発前に上終が夜重の財布を持っていたことから「上終が免許証から夜重の本名を知った」と推測し、そのことを夜重と話させないようにするためです。
上記の推測は、「夜重の免許証は財布に入っている」とか「それを見てみる奴もいる」等を総合的にロジックしなければ導き出すことができないので、すさまじい洞察力ですね。
でも、今日はそうやって邪魔できますけど、明日は?あさっては?
毎日甘神家に来て、見張っとく気なんですかね。上終が諦めるより先に、あなたの胃に穴が開きますよ。
それと、竹田さんが躍起になりすぎることで、どうしても夜重とうまく話す機会を得られない上終が「夕奈や朝姫に聞く」という選択肢をとる可能性があることにも、注意を配る必要があります。
家族に対して本名を伏せて生活するなんて普通に考えたら無理ですし、「妹なのだから、姉のことは知ってて当然」と軽い気持ちで聞いてしまうことは十分に考えられますが、万が一妹達も夜重の真相を知らず、それで姉妹の絆が脅かされることになったら、上終も、そして竹田さんも、思うところではないですよね。
上終が安易に妹達に確認しないのも、そういう懸念とか配慮をちゃんと持っているということですね。
竹田さんは上終に「夜重の名前のことは、忘れなさい」と忠告し、上終と三姉妹を車に乗せて、次なる行き先であるお稲荷さんへと車を走らせます。
「忘れなさい」と言われたって、「記憶から消す」ことはGFでもジャンクションしない限り無理なので、「これ以上詮索するな」という意味合いですね。
当の夜重は、「上終に自分の本名が知られた」ことも「上終はそのことを話したがっている」ことも、何も知りません。
竹田さんの二人きり阻止作戦むなしく上終にメッセージで「次に行くお稲荷さんで二人きりになり、そこでゆっくり話すこと」を約束したのでした。
いやぁ、大変満足したひと時でした。
夜重の心の闇を解き放つだけの物語かと思いきや、朝姫や夕奈についても、彼女達を舞台装置にすることなく、その心をどんどん掘り下げていきます。
むしろ「上終と心を通わせる」という面では、現状夜重が一番後れをとっている気もします。序盤は二人でいましたが、その時の夜重は終始酔っていましたし、腹を割った話はできていません。その後も夜重と上終は竹田さんの奮闘あって二人きりにはなれていません。
そのあたりは、次回やその次のお楽しみ、ということですね。
これまでひた隠してきた「自分の正体」について、上終に打ち明けなければならない時が近づいている夜重。
「ワガママはダメだ」と自分に言い聞かせ、向き合っていく夕奈。
「上終は自分をどう思っているのか」が気になって仕方ないのに、うまく答えを得られず、淡い恋心を不器用に膨らませていく朝姫。
それぞれが自分に与えられた試練に挑む、とても複雑な人間模様が、現在進行形で描かれています。
水面に揺らめくホタルの光のように、ゆらゆらと揺れ動く彼女達の心を、上終がどう抱き寄せていくのか。ぜひとも次回に期待しましょう。