クラボウの惨敗後、株売買から遠ざかる。

それでも日経を読み、投資本は欠かさない。

 

年齢は20代の後半、

仕事の限界も見えてきた。

自分なりに仕事の努力はした。

しかし、才能とか凄いデキるヤツにはかなわない。

組織という息苦しさ。

会社が悪いわけではない。

自分には向いてない。

相場で言う「損切」を思いはじめた。

 

独立?

いや、その才能で本当にリターンあんの?

理不尽な顧客だって、どこにもいる。

 

社内の異動や転職?

組織の論理はどこにもある。

 

将来の上場までしがみつく?

それまで自分の心が持つのか。

 

やはり、個人投資家。

中学高校のとき、読む本なくて眺めていた四季報。

ここで買って、ここで売れば儲かる。

「マーケットの魔術師」で読んだ

ジム・ロジャーズの活き活きした投資家人生。

さまざまな本、新聞、資料を読み、

自分一人で考える。

心理学的なアプローチの本など、特に面白かった。

簡単な四則演算(それ位の算数ならできた)

誰にも指図されず、自分だけが決裁者。

面倒なプレゼン資料つくって、

お客の顔色伺う必要のない仕事。

 

俺はやる。

貯めこんだタネ銭を原資に

20代の後半より再び株を買い始めた。

未上場の自社株は毎年値上がりして、資産は増加の一途。

上場株の売買でも成功して、

会社リタイアの道筋をつけたい。

 

いくつか買ったなかに生化学工業があった。

膝関節剤「アルツ」で

横綱の曙が再び土俵にとか話題性も大きかった。

今でいうバイオ株ブームのようなもの。

糖鎖工学という目新しい言葉も人々を巻き込んだ。

同社、脚光を浴びていたときは株価1万以上。

(分割考慮後3500円1992~93年頃)

1万円でも注目と、

日経金融新聞(廃刊/日経ヴェリタスとして再生)に

「21世紀には糖鎖工学で飛躍的発展」として

アナリストが紹介。

 

日経金融新聞のアナリストが選ぶ有望企業で

店頭株で第2位だったと記憶している。

 

それが、1万円から急落を始めた。

成分が同じ後発品の攻勢が始まったのだ。

2年ほど下げを続け、

ある時、3千円台からストンと2千円台まで急落。

 

投げ売りの最終局面。もう底だろう。

勝手にそう思い2百数十万円の買い物。

 

そして数週間後。

衝撃的な下方修正を発表。

再び暴落が始まった。