いまや婚姻費用,養育費といったら算定表という世界です。
この算定表,もともとは,判例タイムズ1111号(2003年4月1日)で,『簡易迅速な養育費等の算定を目指してー養育費・婚姻費用の算定方式と算定表の提案ー』(東京・大阪養育費等研究会…裁判官のグループ)によって発表されたものでした。
その後,あれよあれよという間に実務に浸透しました。
2.
この算定表方式について,日弁連は,平成24年3月15日付の意見書を発表し,この算定表が子どもの成長発達の保障を満たさないものであることから,早急に,新たな算定方式を研究して公表すべきだとしています。
「養育費・婚姻費用の簡易算定方式・簡易算定表」に対する意見書
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その日弁連意見書,確かにそのとおりと思います。
他方で,算定表が実務に定着してしまった感もあります。
この算定表とは違った方法での計算を主張した場合,調停合意はまず成立せず,さらに審判移行してもこちらの主張するどおりの結果が得られるだろうかという問題があります。
制度を変えていくためには,異議申立てしてくれる人は必要です。
しかし,現実に日々の生活があり,兵糧攻めに遭っているDV・モラハラ被害者の苦渋の決断として,算定表を前提にした結論を受け入れるというのも,私は,合理的選択だと思います。
ここは,私も,煮え切らない態度ですが。
私は,ご本人の意思尊重が最大原則ですので。
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仮に算定表方式に従わない主張をするにせよ,算定表だとどうなるかをきちんと意識しておくことはとても大事なことです。
そこで,このシリーズでは,養育費について,とりあえず,算定表方式を前提にして,いろいろな問題を考えていこうと思います。
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