1
ようやく弁護士が書くような記事を書きます(笑)。
でも,他の弁護士があまり書かないような内容になっちゃうと思います。
弁護士のHPやブログが乱立する中,どこでも得られるような情報を書いても仕方ありませんし…
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私は,長々と以下のシリーズ記事を書いてきました。
「意味のある我慢」シリーズ
「離婚の道のりと目指すもの」シリーズ
「早い解決と満足できる解決」シリーズ
これらのシリーズで私は,繰り返し次のことを書いてきました(もちろん他にもいろいろ書いてます。)。
1)
意味喪失の痛みを引き受けて離婚を決めたあなたは,「幸せ」を目指している。
「幸せ」について,私は,「あなたがあなた一人分の人生を誇りと自尊感情を感じつつ安全と安心の感覚の中で生きること」とひとまず表現したい。
2)
あなたが加害者夫によって無力化されているとしたら,あなた自身の誇りや自尊感情や現実対処の能力を取り戻していくためには,離婚の道のりにおいて,あなたが適切な支援を利用しつつ,あなた自身が物事を決めていくことがもっとも有用である。その道のり自体が,あなたの意思と気持ちが十分に尊重されるものでなければならない。
3)
離婚の道のりにおいて,心理や法律の専門職は,その専門による支援が適切であればあなたにとって有用である。しかし,専門のパワーによってあなたをコントロールしてしまう専門職支配の危険があり,この場合,離婚の道のりにおいてあなたが多大な二次被害を受けるリスクがある。専門職支配が,加害者夫によって無力化されてきたあなたをさらに無力化してしまう。
この2),3)を,単純に図式化すると以下のようにイメージできます。
A あなたにとって有用な関係
①あなた自身が実質的に自己決定をする(あなたの人生の操舵者)
and
②専門職は,あなたの自己決定を実質的に支援する(短い期間の伴走者)
B あなたにとって有害な関係
①専門職支配(パワーとコントロールを駆使する支配者)
vs
②自立を目指して歩み始めたあなた(本来の加害者夫と闘う前に専門職と闘わなければならない。)
3
具体的にお話しましょう。
DV被害者で私に依頼された方で,私の前に,女性弁護士に依頼されていた方がいました。その方が私にこう話したことがありました。
前の○○先生とお会いして打ち合わせとか協議とかしているとき,辛くて仕方なかった。悪い人ではないんだろうけど,ピリピリしていて私が気になることとか質問すると不機嫌な怒ったような様子になって,私の質問に対する説明が上からがーんとかぶさってくるようだった。こんなことを気にしていちいち質問する私がいけないんだという気持ちになっていった。最初はそうでもなかったけれど,だんだんその先生が恐くなり,一緒にいるととてもストレスを感じるようになっていた。
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弁護士報酬を払って自分を手助けしてほしいと思って依頼しているのに,その弁護士といるとまるで彼といるような感じ方になってストレスいっぱいって…
これが,DV関係が専門職とご本人との間に横滑りしてしまうということです。
いろいろな本でこの危険が指摘されています。ということは,それだけ,現実に発生しているということでしょう。
では,こんなトンデモな危険を避けるにはどうしたらいいのでしょう?
次の記事へ続く…