神戸 | 理学療法士養成校教員 下井ゼミ研究ノート

神戸

昨日も簡単に報告しましたが、先週金曜日から神戸で開催された、IPE教育ウィークのセミナーとワークショップに参加してきました。

主催の神戸大学は、医学部と、医学部保健学科に看護、理学療法、作業療法、検査技術の専攻を持っていて、IPE(専門職間教育)にも力を入れている大学の1つです。千葉大学同様、IPEで現代GPも取得していますし、「IPE教育開発支援センター」という専門組織も作っています。

今回のセミナーでは、世界で最初にIPEを開始したスウェーデンのLinköping(リンシェーピング)大学から招かれた Pelling先生とKalen先生のセミナーと、PBLのワークショップに参加してきましたが、かなり有益な2日間でした。







IPEは国内でも、その重要性の認識は高まっています。来年、岐阜で開催される第45回日本理学療法学術大会の主題口述発表のテーマの1つが「多職種協働に対して役割を発揮するチャレンジ」にもなっているくらいです。
ですが、今回のセミナーなどで、IPEに対する認識の違いを、改めて痛感させられました。

単なる羨望感として、諸外国の取り組みを報告するのは建設的ではないので、個人的には好きではありません。でも、今回のセミナーの講師の両氏が所属するLinköping大学のIPEの取り組みは、IPEの1つのあり方を示すものと思いますので、ご紹介しておきます。

Linköping大学のIPEの大きな特徴は次の3点です。
1) 各学科の最終学期に、2週間にわたって実施される。
2) IPEを実践する病棟(IPTW; Interprofessional training ward)を有し、病棟の勤務シフトに入って、実際の入院患者の治療にあたる。
3) 各専門職の教員がプリセプターとなり、IPW(多職種協働・実践)に関するフィードバックに加えて、専門職としての実習同様、各専門に関するフィードバックも受ける。

こうしてみると、その取り組み方、我が大学、あるいは日本の大学と比べものになりません。特に各専門の臨床実習と同等の位置付け、重要度が設定されていることに驚きます。

もちろん、Linköping大学の取り組みをそのまま日本の大学に流用することは、単位認定などの制度上の限界があります。しかし同大学の取り組みは、IPE無しに医学教育が成り立たないことを教えてくれるのではないでしょうか。

こうしたセミナーの影響とはいいませんが、来年度より、下井班所属の学部生は、大学のIPE履修は必修となる予定です。