こんにちは、みなさんお元気ですか?


先日、笠間市にある茨城県陶芸美術館で開かれている、陶聖・板谷波山先生(陶芸家として初の文化勲章受章者)の展覧会「生誕150年記念 板谷波山の陶芸~皇室のマエストロによる至高のわざ」へ行って来ました↓



同展は、波山先生の生誕地・茨城県筑西市にある3施設(しもだて美術館板谷波山記念館廣澤美術館)の協働開催による展覧会を皮切りに、石川県立美術館(金沢市)、泉屋博古館(京都市)、泉屋博古館東京(東京都港区)、茨城県陶芸美術館(笠間市)を巡る巡回展。金沢と京都は少し距離があって行けませんでしたが、筑西市の3施設と泉屋博古館東京は訪れたので、ここで3ヶ所目となります。



ここ筑西市から茨城県陶芸美術館がある笠間芸術の森公園までは、車で国道50号北関東自動車道を通り向かいました↓


ちなみに笠間芸術の森公園は、「伝統工芸と新しい造形美術」をテーマに、茨城の新しい文化の発信基地として整備されたものです。

それでは陶芸美術館へ↓





展示室内は撮影禁止。以下は陶芸美術館HPより引用させていただきました↓

板谷波山は明治5年(1872)に茨城県下館町(現:筑西市)に生まれました。東京美術学校(現:東京藝術大学 )で彫刻を学んだ波山は、戦前は帝室技芸員として活躍し、戦後は工芸家として初の文化勲章を受章しました。そ の作風は、初期のアール・ヌーヴォーの表現を取り入れたものから、マットな質感が特徴的な葆光彩磁や、青磁や 白磁など多岐にわたります。波山はこれらの表現を、妥協を許さない強い信念のもと91年の生涯に渡って展開しま した。2022年に波山生誕150年を迎えたことを記念した本展では、全国から集まった波山の選りすぐりの名作を一堂 に展示するとともに、故郷・茨城での作品を通じた地元の人々との交流についても紹介し、その多彩な業績をたど ります。 

【主な作品】
「元禄美人」1894年 東京藝術大学蔵↓


この「元禄美人」、今回後ろからも見る事が出来る展示になっていて、和服表面の文様が背中まで彫られてることに気がつきました(波山先生のファンなら百も承知の事でしょうが・・・)。作品の表面に文様を彫刻する「薄肉彫」は、波山先生の代表的な技法の1つ。その「薄肉彫」が、既に東京美術学校時代に行われていたのです。
波山作品の完成までには、ろくろ師の現田さんによる器成形、波山先生による薄肉彫、彩色、釉薬、焼成という工程を経るようです。ただし、最初期の作品にはまだ薄肉彫は見られません。もしかしたら、ある時ふとこの「元禄美人」が頭をよぎり、器に「薄肉彫」をする事を思いついたのかもしれません。単なる想像ですが・・・。


「彩磁蕗葉文大花瓶」19111年 廣澤美術館蔵↓


「彩磁瑞花祥鳳文花瓶」1916年 MOA美術館蔵↓


「葆光彩磁草花文花瓶」1917年 石川県立美術館蔵↓


「葆光彩磁牡丹文様花瓶」1922年 東京国立近代美術館蔵↓


「葆光彩磁鳳凰文花瓶」裏側画像1923年 個人蔵↓


「彩磁珍果文香炉[火舎北原千鹿]」1925年 廣澤美術館↓


「天目茶碗」1944年 筑西市(神林コレクション)蔵↓


残念ながら、泉屋博古館所蔵の国指定重要文化財「葆光彩磁珍果文花瓶 」1917(大正6年) は展示されていないようでしたが、たくさんの波山先生の作品にまた会う事が出来ました。

展示作品のリストと、ミュージアムショップで購入した図録です↓


図録の一冊は、昨年(令和4年)10月から11月に三重県桑名市の桑名市立博物館で開催された特別企画展「華ひらく近代工芸の美−板谷波山と香取秀真−」 のもの。ネットで存在を知り、興味はあったのですがちょっと遠くて行けなかった展覧会です。
もう一冊は平成25年から26年にかけて、茨城県陶芸美術館と山形美術館、泉屋博古館分館(現:泉屋博古館東京)、兵庫陶芸美術館で開催された「没後50年板谷波山展」の図録。既に持ってはいるのですが、また買ってしまいました。


というわけで、「生誕150年記念 板谷波山の陶芸」もここ茨城県陶芸美術館が最終会場。これだけ大規模な波山先生の回顧展が開催されるのは当面無いかもしれませんので、まだご覧になっていない方はぜひご来場ください。

【追記】
令和5年2月12日(日)にNHK日曜美術館で波山特集「完璧なやきものを求めて 板谷波山の挑戦」が放送されたためか、このブログの波山先生関連記事への訪問者が増えています(わたくし臣(しん)は録画したものの現時点で未視聴)。
最も増えているのは、俳優・三浦春馬さんとの関係を書いた「三浦春馬さん『日本製』と板谷波山先生」という記事。番組は2月19日(日)午後8時から再放送、同日まで見逃し配信中のようなので、みなさんもぜひご覧ください。


■生誕150年記念 板谷波山の陶芸~皇室のマエストロによる至高のわざ」
日時 令和5年1月2日(月)~2月26日(日)午前9時30分〜午後5時(入場は午後4時30分まで) 
休館 月曜(祝日の場合は開館し翌日休館)
料金 一般840円、70歳以上420円、高大生630円、小中生320円*団体料金(20名以上)有*身体障害者手帳など所持者と付き添い(1名)無料*土曜は高校生以下無料*1月28日(土)70歳以上無料
場所 茨城県笠間市笠間2,345番地(笠間芸術の森公園内)TEL0296-70-0011
主催 茨城県陶芸美術館
後援 笠間市、朝日新聞水戸総局、茨城新聞社、NHK水戸放送局、産経新聞社水戸支局、東京新聞水戸支局、 毎日新聞水戸支局、読売新聞水戸支局
特別協力 筑西市、公益財団法人波山先生記念会、廣澤美術館
企画協力 株式会社キュレイターズ

■巡回展情報

◇令和4年4月16日(土)~6月19日(日)しもだて美術館、板谷波山記念館、廣澤美術館(茨城県筑西市)*終了

◇6月25日(土)~7月24日(日)石川県立美術館(金沢市) *終了
◇9月3日(土)~10月23日(日)泉屋博古館(京都市) *終了

◇11月3日(木・祝)~12月18日(日)泉屋博古館東京(東京都港区)*終了

◇令和5年1月2日(月)~2月26日(日)茨城県陶芸美術館(茨城県笠間市)


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