今回は池袋の書店員さんのお悩み!

【下田美咲の書店員さんのお悩み(勝手に)解決!】

>書店員さんの本気のお悩み10
子どもの鉛筆や箸の持ち方がおかしく、なかなか直りません。
TVで、正しい持ち方にしたほうが脳科学的にもよいようなことを見たので直してあげたいです。
3分に1回は注意しますが、その瞬間は直ってもすぐにまた元の持ち方に戻っています。
しかも姿勢も傾いてしまうほど。
私自身も持ち方が悪かったので、外国人向けの矯正箸で直しましたが、
子どもには合わないようで。どうすれば正しい持ち方になるでしょうか。(38歳・女性)


■下田の名案

箸問題が起きた時に

まず子供に説明する必要があるのが

「なぜ、直す必要があるのか」

という点です。

なぜ、箸を正しく持つ必要があるのか。

それを教えてあげなくては

この持ち方で自分は快適に食べられるんだから、これで良くない?

と思い

直せる直せないの前に

直す気が起きない、という壁が立ちはだかります。



直した方がいい理由としては

箸(や鉛筆など)の持ち方が

一般的な「正しい」と異なる場合

大人になったときに

「箸の持ち方すら直せない人」と

思われてしまうことが損、という点です。



箸の持ち方すら直せない人



「融通のきかない、扱いにくい人」

「親の教育が雑」「育ちが悪い」

というようなジャッジを下される場合があります。


自分の独特の持ち方にこだわりがあって

「色々研究した結果、この持ち方が最高だった」と語れるのならありなのですが

そうで無いのであれば、

箸の持ち方なんかで

人間性を疑われるのは損なので

正しい持ち方を直したほうが、人生がスムーズ。




ということを

直す気がない、が理由で

直ってない場合は

まず説明してあげましょう。



しかしながら

こういった「正しい方法が出来ない」問題において

さらに注目してほしいのが

なぜ、そうなっているのか

の部分です。



理由が無く起きる変な事態など

世の中には、あまり、ないものです。

普通なら、普通になるのが普通なのに、そうでなく変なことになっている場合

そこには、そうなる理由があるものです。


体の構造上の問題で

そうなるべくしてなっている

ということは

実は、すごく多いです。


変な箸の持ち方を始め

変な鉛筆の握り方、姿勢が悪い、歩く時の足音がうるさいなど

「本人が意識すれば直せる」「気をつければ直るもの」「教育の問題」

と言われがちなこと

メンタル的な問題とされがちなことは

そうではなく

身体の都合である場合が多い。

指の一部が少し長い、背骨の構造的にまっすぐ伸ばすほうが負担になる、など。




言っても言っても直らない、は

本人が「直さない」のではなく

身体の作り上、どうしても直せない可能性がある。



「『正しい箸の持ち方』がこの子には合わないのではないか」

ということは

検証してみたほうがいいです。

正しいとされている持ち方は

日本人の平均した手の形状にとって、です。

お子さんの手の構造、体の仕組みが

平均の範囲内に収まっていなければ

平均用の「正しい」は合わないし

そうなってくると

脳科学的な効果も、一般論が当てはめられない。



「正しい箸の持ち方」は果たして

すべての手にとって正解なのか。

平均的な手の構造に合っているだけのことでは?

特に箸に関しては

日本やいくつかの国にしかない風習なので

より、データが偏っています。

ベーシックがベストなのか、は疑う余地があります。


手に少し個性がある場合は

一般的な「正しい」をなぞることが

体に負担をかける状態を作ってしまう場合もあると思います。

お子さんは今の持ち方に、なるべくして、なっているのかもしれません。



今回のお子さんは

直す気があるけれども、気を抜くと楽な持ち方になってしまう

とのことなので

手の構造が問題かもしれません。

現在のところは。



お子さんがまだ成長期である場合は

成長にしたがって

骨格や体の仕組み、構造も変化するので

「正しい持ち方」がしっくりくる日が来る可能性が

まだあります。


今年は合わなかった矯正箸も

来年、5年後は、しっくりくるかもしれないので

身体が成長している間は、毎年チェックした方が良いです。




その可能性も踏まえた上で

やれるだけのことは、やってあげた方が良いと思います。

箸なんかで人間性をジャッジされるのは厄介なことなので。

箸を変える、ネットで出てくる方法を片っ端から試す、

おばあちゃんの知恵袋的なこと(小豆や大豆運びで訓練とか)も試す、

手の外科など当てはまる病院の医師に相談してみる、というように、

出来る限りの方法を試して、

尽くせる手は尽くしましょう。


そこまでして直らない場合であれば

将来、「箸の持ち方、変だね」と言われても

「これだけの手をつくしたけど駄目だった」という説明が出来るので

だいぶ違います。

それはエピソードとして印象的で可愛いのでプラマイプラにさえ、なり得ます。


■まとめ

①なぜ、正しい持ち方をした方が良いのか、説明する。
②「正しい持ち方」になるよう手を尽くす。
③体の仕組み、構造を検証してみる。
④毎年チェックしてあげる。


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■タイトル:「生きているだけで死にたくなるような世の中で 生きていてもいいような気がしてくる119の名案」
 
■著者名:下田美咲 

■定価1000円+税

■発売日:2014年6月3日(火) 

■竹書房発行